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映画館スタッフが教える映画業界のホント

昨年末にゲスト出演させてもらった【姫路まちづくり喫茶】でのこと。参加者の方から「映画業界がなかなか厳しい今、伊木さんはどう考えていますか」という質問を頂いたのだ。

ごもっともな質問だ。

Youtubeを代表する動画配信サービスにはじまり、ニコニコ動画・Ustreamといったライブ配信。そしてVineやInstagramのストーリー機能などなど、誰もが映像を配信し、見たいときに見ることが出来る。そんな現代に映画って古臭いし、二時間なんて長すぎ。マジ卍。

と、そこまでは行かなくとも「漠然と映画業界が衰退している」と感じている人たちは少ないくない。でもこれは、ある意味間違っている。逆を言うと、ある意味正しいのも事実。

歴代記録を塗り替える近年の映画業界

あるウェブサイトの2016年のデータによると、日本全国のスクリーン数は1970年以来最高の3,472スクリーンで、25年前から今も増え続けている。興行収入は歴代最高の2,355億円。さらに入場者数は1.8億人で2000年以来最高だが、これを超えたことは過去2年しかない。と、言うことはこのウェブサイトに掲載している1955年から現在までで歴代3位の入場者数ということになる。

※一般社団法人日本映画製作者連盟ウェブサイト参照 [ http://www.eiren.org/toukei/data.html ]

え、盛り上がってんじゃん。映画業界。

そう思いませんか。そしてこれは映画館で上映したものだけのデータで、「映画業界」とくくるならDVDやブルーレイの販売・レンタル、さらにNetflixやamazon primeなどの配信サービスによって、映画に触れている人は莫大に増加しているはずだ。

こんなことから個人的に「ある意味、映画業界は盛り上がっている」と感じている。

衰退、からの淘汰。そして...

何を持って「衰退」とするのかで捉え方は様々だ、と理解した上でこの記事を書いている。正直、今までにもこういった質問をいただくことが多々あった。ただ、確実に衰退だけではない現状があること。漠然とした世間のイメージだけでは内包するリアルな要素は見えてこない。物事にはあらゆる側面が存在し、一方向からしか見ない人には真実は一つしか存在しない。真実はいつも一つなんかではない。

上記の映画業界に関してもそうだ。ある側面では数値的に増加していても、ある側面では衰退の一途を辿っている部分もある。まさに地方の映画館がそれだ。スクリーン総数の増加は施設内に10、もしくはそれ以上のスクリーンを抱えるシネコンの増加に伴ったもので、ここ数年で閉館した地方の小さな映画館は数百とも言われている。

興行収入の増加も、地方映画館の減少も。
どちらも紛れもない真実であり、業界の側面なのだ。

4年前、まだ劇場リニューアルの構想段階で現オーナーの石橋さんに聞いたことがあった。「映画なんてもっと見られなくなりますよ。そうなると映画館なんてもっと人が来ないんじゃないですか」そしたらこんな答えが返って来たのをいまだに覚えている。

「映画はまだ確実に生きている。生かすも殺すもやり方次第だ」


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