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悠冴紀/小説家・詩人
2021年8月4日 12:04
作:悠冴紀答えなどはじめからどこにも存在しない誰かの導き出した明確な答えは他の誰かにとっての問いとなる私にも誰にも答えようがないその時どきに見出す小刻みの持論ならすでに幾度となく言葉にしてきた年月を経てそれら全てが問いに帰するだから朽ちない循環により生を得る終局を迎え 落ちた木の葉は残像だけをおいて土にかえる土を踏みしめる誰かが樹を見上げるときそこに
2020年6月14日 10:56
作: 悠冴紀荒野から荒野へ廃墟から廃墟へ誰も訪れなくなった場所を訪れ乾いた風景を眺め歩くそこはかつて川のあった場所あとから塗り込められた灰色のコンクリートも今は朽ち果てさながら墓地の佇まい川辺を舞っていたあの蛍たちは一体どこへ消えたのか……二度とは戻らぬ初夏の灯火彼等の水は枯れてしまった草木も川も 今はない私はここに 嘆きに来たのか?いや、心は至って穏やか
2021年4月10日 22:12
作:悠冴紀暗く 冷たい 水の中で独り静かに佇んでいたい冷ややかな眼差しを持つ あの鮫々のように笑うことなく馴れ合うことなく誰も寄り付かないほどの深みに溺れて……差し伸べる手など 必要ない人々が救いと信じるものが私には死だ現に私は日に日に崩れ 朽ち果てて元在る力すら見失ってしまった己の本質に見合わぬ生ぬるいところへ無理やりこの身を引上げてしまったからだ一体どの