介護職をスタートする方へ♯8
介護職をスタートする方に向けてシリーズでご紹介
医療福祉業界に20年近く携わっており、現在は介護職の人事・採用活動や面接官、人材育成、事業運営(6事業所)、マネジメントに関わっています。
先日、新しく介護職として働き始める方から「入職してまずは何から始めるのが良いのか」というご相談をいただきました。
はじめて働き始める時は誰もが緊張したり不安になるものですよね。
今回は「介護職をスタートする方へ♯8」と題して、介護職として入職したあとにすべきことをご紹介したいと思います。
とはいえ…
すべてを一度にご紹介していくと文章量が多くなり過ぎてしまうので、シリーズ(続きもの)として、1記事3項目ずつに分けて投稿していきたいと思います。
私自身、キャリアのスタートは無資格の介護職でした。
自分自身の経験や、現在新人研修で伝達している内容なども踏まえてご紹介できたらと思います。
一記事、約3分~5分程度(3項目の本文は1500文字)で読み終わる内容を目安にご紹介していきます。
これから介護職・介護福祉士として活躍する方、介護職・介護福祉士の仕事にご興味のある方はぜひ最後までご覧ください。
この記事を読んだあと、おもしろかった、役に立ったと思っていただけましたら、フォローボタン・スキを押していただければと思います。
前回ご紹介した内容
前回は…
➀利用者・家族の思いに目を向けよう
➁6つのミルを大切にする
➂疾患と生活の関係を学ぶ
基本技術や業務を覚えるといったことも勿論大切ですが、まずは働くうえでの基本となるものから紹介しました。
他の専門職も同じですが、専門職と言えど働くことの基本として求められることの多くは、そこまで大きな差はありません。
その中でも#7では、介護職としての専門的な思考や視点に焦点をあててご紹介しました。
介護に限らず言える事ですが、利用者様・家族様の思いに目を向ける、ニーズを知ることや意識することが大切です。
これは消費者ニーズに目を大切にするということに他なりません。
ニーズに応えていくには、6つのミルを意識して、ニーズをどのように捉えて経過をみてケアを実践していくかが重要になります。
また、支援を必要とされる方は何かしらの疾患や症状を抱えておられる方が大半です。
疾患を把握し身体的・精神的・環境面などからどのような支援が必要となるのかを考えてケアを行うことが大切になります。
疾患を理解していなければ、生活の中での不安や困りごとを予測したり想像しにくくなってケアの質を損ねてしまうだけでなく、命に関わるような重大な事象(アクシデント)になりかねません。
介護職は医療としての判断はできませんが、疾患についての理解を深め、医療的な視点をもってケアを行うことは専門職として非常に大切なことなんです。
働き始めた段階で、これらのことを意識できているかどうかは、専門職としての成長に大きく関わります。
「そんなことから?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、当たり前のようなことでも本質的な理解があって実行しているかどうかは、仕事の質に大きく影響するものです。
その積み重ねが後に大きな力となっていきます。
まだご覧になっていない方で、ご興味のある方は下記からご参照ください。
今回は♯8
前回同様、基本的介護の知識や技術ではなく、まずは働くうえでの基本について介護業界ならではの視点でご紹介いたします。
詳細は目次をご覧ください。
➀認知症ケアについて理解を深める
介護職で働くうえで、認知症ケアについて理解を深めることは大切です。
そもそもの認知症についての理解も勿論ですが…
認知症によってどのような生活のしづらさが出てくるのか(思い)
認知症によって生活に支障を来す行動や状況にはどのようなことがあるのか(ADLやIADL)
これらについて、理解を深めたうえで関わることができなければ、与えられた業務やケア内容をただ実践するだけになってしまい「ニーズに応えるケア」はできません。
それどころか、認知症ケアについて理解が深まっていない、もしくは学んでいない状況だと、利用者様の思いや言動に寄り添うことができずに不適切ケアに繋がったり、無意識に虐待と捉えられるようなことをしてしまうようになってしまいます。
専門職として質の高いケアなどできるはずがありません。
「認知症」と一言で表されることが多いのですが、認知症にも種類があります。
種類によって行動として表出されるものも違ううえに、ご自身の思考(嗜好)・性格なども合わさり、一言で「認知症」として捉えることはできないものなんです。
代表的なものを紹介すると…
・アルツハイマー型認知症
・血管性認知症
・レビー小体型認知症
・前頭側頭型認知症
これらが代表的な認知症です。
一つだけでなく併発している場合もあり、同じ認知症とはいえ、様々な特徴・利用者様の現状は異なるものなんです。
違い等は参考書やインターネット上でもすぐに検索することができますので、一度調べてみてください(機会をみて、認知症の種類等をご紹介する記事も投稿していきます)
ここでは、認知症について理解を深め、表出されることが違うことやそのことを理解したうえでケアを実践することが大切であるということを押さえていただければと思います。
➁多岐にわたる支援の種類を考える
介護を実践するうえで支援の種類を考えることは重要です。
採用の面接で「介護の仕事での実務について、どのようなことをイメージしていますか」と質問をすると、
ご飯を食べるお手伝い
お風呂のお手伝い
トイレやオムツ交換
お話ししたり、散歩したり
ベッドから起こしたり、抱えたり…etc
という返答がよくあります。
その中でも多くの方が主な支援の内容として捉えられていることが、移乗・移動介助や排泄介助、食事介助、入浴介助です。
もちろんこれらのこともケアとして行うものではありますが、全てではありません。
介護の仕事(ケア)は、利用者様の大切な命をお預かりし人生をサポートすることであり、生活するうえで必要な支援をさせていただく仕事です。
ですので、支援の内容としては多くのことがあります。
様々な表現があるので、これが正解というわけではありませんが、厚生労働省 ICF(国際生活機能分類)ー「生きることの全体像」をもとに、忘れてはならない支援の分類を簡単にご紹介します。
≪健康状態≫
普段の健康管理に対する支援
≪心身機能、身体構造≫
心や体の動きなどに対する支援
≪活動≫
生活行為に関する支援(している活動/できている活動)
≪参加≫
社会との関り、家庭内の役割、仕事など
≪環境因子≫
物理的環境、人的環境、社会的環境(制度・サービスなど)
≪個人因子≫
年齢、性別、ライフスタイル、価値観など
例えば…ベッドから起こすという一つの身体的なケアを行うにしても、動作支援ができれば良いというわけではなく、利用者様の思いや思考、健康状態など他にも様々な支援すべき内容(気に掛けるべき)があるということです。
詳細にご紹介すると長くなりすぎてしまうので、別の記事で改めて投稿いたします。
ここでは支援を行う上で、一部や限定的な解釈として支援を行うものではないということを押さえていただければと思います。
➂インシデント・アクシデント(事故)への意識を高めよう
人生をサポート・生活を支援する中で、インシデント・アクシデント(事故)への意識を高く持つことは非常に大切です。
危険が常にある状態では生活の質を高めることは難しく、安全な状態がある程度確保されていなければ、安定した生活を送ることはできないためです。
そのため、インシデント・アクシデントに対する意識をしっかりと持てているかどうかは、ケアの質(専門職としての仕事の質)とも大きく関係します。
とは言え、人は意思をもっており、自身の判断で動作されますのでインシデントやアクシデントを100%防ぐことはできません。
よくありがちなのが「事故を防ぐ」ということへの意識が過度になりすぎて、その方の尊厳を支えるという肝心なところが抜け落ちてしまうことです。
難しいところではありますが、インシデント・アクシデントが起こっても当たり前と開き直ってしまうのではなく、どうすればその方の尊厳を支えながら安全に過ごしていただけるのかという考え方を持つようにしましょう。
そのためには、利用者様自身や家族様、チームで情報と方向性に関する共通認識を持ちながら、情報をアップデートしながらケアをすすめていかなければなりません。
文章にすると簡単に見えますが、介護の仕事をしはじめてすぐには合理的な判断はできないものであり、いざその状況を目の当たりにしたり、直面するとどうすれば良いのかわからないものです。
インシデント・アクシデントを起こさないようにする目的は何か、起こさないようにするためにはどのようなことが大切なのかを意識して、チームや先輩に相談していくことが重要です。
発生した場合「自分が○○してしまった…」と悔やんでしまい、過度に自分を責めてしまいがちですが、普段から発生を防ぐための準備と行動を怠らずにケアを実践していれば、このような思いにならずに済みます。
利用者様の命と生活を守り、より良い生活を送っていただけるようにするため、そして自分自身を守るためにも、働き始めて間もないうちからインシデント・アクシデントに対する意識を持つことが大切なんです。
介護職・介護福祉士としてレベルアップが現状を変える(継続は力なり)
いかがでしたでしょうか。
今回は♯8として…
➀認知症について理解を深める
➁支援の種類を考える
➂インシデント・アクシデント(事故)への意識を高めよう
以上の3つを簡単にご紹介いたしました。
介護は大変な仕事であるということが良く言われているように、確かに大変な仕事ではあります。
しかし、よくよく考えてみれば人様の大切な命、尊い人生をサポートする仕事が大変でないわけがないという見方もできます。
大変な仕事に対しても日々学びを深めて追究(追求)することにより、自分自身をレベルアップさせたり現状への最適解を導き出しながら、大変さを軽減させていくことは可能だと私は思います。
確かに一足飛びにはいきませんが、積み重ねることで大きな力となり、このプロセスの中で介護職としてのやりがいに必ず出会うことができます。
私は介護職・介護福祉士の仕事は誇りある仕事だと思っています。
介護の仕事をしている
介護職・介護福祉士としてキャリアアップを目指している
介護に悩んだり不安になっている
そんな方々の少しでも力になれたらと思い、今後も投稿いたします。
よければ、今後ともよろしくお願いします。
また、ありがたいことに最近では多くのご質問やご相談をいただくようになりました。
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いただいた内容に全力でお答えいたします。
自分の能力でお答えできない場合はsabukurochaで調べた後にお応えします。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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医療福祉業界に20年近く在籍する中で、患者様や利用者様、家族から学ばせていただいた「人生をより良いものをにするために必要なこと」についてご紹介しています。
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今後ともよろしくお願いします。
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