マガジンのカバー画像

映画と音楽

35
「好きなものを好きなだけ」 映画と音楽に纏わるエッセイやコラムを集めたマガジン。」
運営しているクリエイター

#映画

『花束みたいな恋をした』を観ても、まったく胸が苦しくならなかった

『花束みたいな恋をした』を観ても、まったく胸が苦しくならなかった

遅ればせながら『花束みたいな恋をした』を観た。

周りの人から早く観てほしいと言われていた作品で、過去の恋愛を思い出すとか、恋愛と結婚は違うとか、観ていて胸が苦しくなるとか。以前からいろんな感想を聞いていた。

お互いに終電を逃して、運命的な出会いをした麦(菅田将暉)と絹(有村架純)。サブカル好きという共通点を発見し、徐々に2人の仲が縮まっていく。絹の部屋に入ってすぐに麦が「ほぼうちの本棚じゃん」

もっとみる
【愛がなんだ】「幸せになりたいっすね」から考える幸せの定義

【愛がなんだ】「幸せになりたいっすね」から考える幸せの定義

「幸せになりたいっすね」

映画『愛がなんだ』でナカハラが言った台詞である。以前『愛がなんだ』のテルコにまったく共感できないという記事を書いた。

この記事を書いてから1年近くが経ったが、やっぱりテルコの気持ちはわからないままだ。でも、なぜかナカハラの「幸せになりたいっすね」はずっと胸に残っていて、学生時代に同じ台詞をよく言っていたことを思い出した。

自分が不幸あるいは疲れているときは、他人の幸

もっとみる
かけがえのない1日を丁寧に生きることの大切さは全部「アバウトタイム」が教えてくれた

かけがえのない1日を丁寧に生きることの大切さは全部「アバウトタイム」が教えてくれた

いつかの過去を思い出して、あのときああしていれば、もう一度やり直せるならなんてありもしないもしもを考えてしまう人は多いだろう。もう2度と過去には戻れやしないのに、過去にばかり目を向けて、過去の思い出をずっと思い出している。2度と戻らない過去を思い出してしまうあの現象を、誰かが勝手に「後悔」と名付けた。

過去に後悔を馳せるたびに、観たいと思ってしまう映画がある。その映画の名前は「アバウトタイム」だ

もっとみる
『サマーフィルムにのって』みたいな青春時代を送りたかった

『サマーフィルムにのって』みたいな青春時代を送りたかった

これほどまでに「こんな高校生活を送りたかった」と思えた作品は、これまでにあっただろうか。ただの青春と言えばそうとも言える。でも、その一言では片付けられないとある高校生の青春物語がそこにはあった。

恋愛、時代劇、SF、高校生、友情など、あらゆるジャンルがミックスされた現代版恋愛SF青春映画。主人公は伊藤万理華が演じるハダシ、謎の高校生・凛太朗を演じる金子大地。ハダシの幼馴染・ビート板を演じる河合優

もっとみる
「愛がなんだ」のテルコの気持ちは一生理解できない

「愛がなんだ」のテルコの気持ちは一生理解できない

片思いの代表作品として、名を挙げた「愛がなんだ」。物語の率直な感想は「テルコの気持ちが全然わからない」だった。好きな人のために、自分の人生を簡単に犠牲にしてしまうテルコ。好きな人にいつ呼び出されてもいいように、仕事をやめ、好きな人の喜ぶ顔を見るためになんだって喜んでやる。そのくせして片思いは一向に報われない。

報われない片思いというやつは、他人からすれば儚いものである。当人は必死で悩んでいるのに

もっとみる
『百円の恋』:あなたにはまだ戦う覚悟はあるか?

『百円の恋』:あなたにはまだ戦う覚悟はあるか?

「自分に闘志がなくなったかもしれない」と疑問に思ったときは、決まって『百円の恋』の見返すようにしている。たぶんもう5回以上は観たはずだ。本作を観るたびに、もう1度頑張るぞと勇気が出る。音楽で言えば、阿部真央の『這い上がれMY WAY』や、UVERworldの『PLAYING RUN』を聴くんだけれど、この話は本筋と逸れるので一旦置いておく。

いま振り返ると、昔から殴り合いが大の苦手だった。ボクシ

もっとみる