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いつかのための詩集

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どこかで酒と出会うための詩集。
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#回想

日々ポテトあるいはチップス

日々ポテトあるいはチップス

今はもうない

実家の階段の途中



クソ狭いステップ

に身を

かがめ 今日もまた

何度も読んだコミックに熱中

意識の外に母の声が

宿題とか やれとか

へえ

そうかコレ

6巻はこんな感じだったっけ

主人公のバッシュまがいが

破れ敗れた

シーンを読んでる、いや

見てる

空想の負けを見ながら

狭いスペースで

心地よい広さをとるには

どうしたらよいのか

考えていた

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このドキュメントで駆けるんだ

このドキュメントで駆けるんだ

このドキュメントで駆けるんだ

LとRで迷って飛んで

出来上がった文字たちが跳ねる

湧いて止まって淀んで光る

直線と曲線と連なりの連なり

このドキュメントで駆けるんだ

夜は今や劇場となって

暗がりの圧で指に絡まる

溶ける震える握る押す

三歩進んで二歩下がり

のプロセスインターバルに

琥珀色の酒の夢を見るのだ

それは色付きながら澄んでいて

リビングデッドであった いや

デッ

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ランチタイムに亡霊を見て、夜

ランチタイムに亡霊を見て、夜

スプーンをぷすーんと刺して出かけよう

もう何もいらない喉につるりつるりつる

りと流し込んでゆく、今日もまた来てし

まったという市松模様の後悔をぴしゃり

と閉じきって左手でベルを鳴らそう、あ

なたと、ポテトと。「こんな夜だからこ

んな夜だから」とあなたが言っていた、

フォークを持つととどの詰まりそれは死

刑宣告の幕開けマクアケお開きが予想さ

れますご注意ください今日も明日も色の

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あなたと涙は音楽となりて

あなたと涙は音楽となりて

あなたと涙は音楽となりて

今私を包んでいる気がした

夕方17時を知らせる鐘が

車のガラスを高音に染める

爆撃機のようなヘリの音が

心臓の皮と共鳴をした気が

したから今私が摘んでいる

おぼろげなあなたはくしゃ

くしゃに泣いている、明日

の朝には大洋の小舟同士ね

、なんて呟いて私達は難波

しだした、とたんに高波に

さらわれてしまって、岸壁

すらすすり泣きを続けてい

る、空は

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巡る覆水ばかり

巡る覆水ばかり

水風船われた 君のそばで 水風船われた

水風船われた 水風船われた

あいつにかかった 水風船われた 澄んだ極彩色が 

水風船われた 月がしめった 枕が香った 水風船われた

気がした

水風船われた 水風船われた 水風船われた

君が笑って 水風船われた 水風船われた

ぬれてしまった 水風船われた 

水風船われた 麦わら帽が麦茶味

水風船われた 水風船われた

20年越しで 水風船われ

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詩 「さざなみの私」

詩 「さざなみの私」

さざなみが文字をさらっていく

立ちつくす私

足元に砂 あるいは貝など

狐の嫁入り

眩しいしずく

さざなみが文字をさらっていく
 
 
 

さざなみが文字をさらっていく

浮き輪の群れ

ブイに海猫 麦わら帽がとけてゆく

みゃーみゃーと

クェークェーに

さざなみが文字をさらっていく
 
 
 

さざなみが私をさらってゆく

反った腰 灼熱の腕 強いしおかぜ

それはもう この季節

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