マガジンのカバー画像

「ソロの細道」47都道府県エッセイ

30
2021年年末にかけての50日間チャレンジ。全国を旅した思い出をエッセイに。47都道府県の紀行文を連載します。
運営しているクリエイター

記事一覧

「国宝ドライブ」”ソロの細道”Vol.29「奈良」~47都道府県一人旅エッセイ~

「国宝ドライブ」”ソロの細道”Vol.29「奈良」~47都道府県一人旅エッセイ~

「国宝」とは、国の宝。

「重要文化財のうち、世界文化から見ても価値が高く、たぐいない国民の宝」(文化財保護法27条より)

日本における「国宝」は、戦前と戦後で違いがある(戦前の「国宝」は「重要文化財」と「国宝」に分けられた)が、2020年において日本の国宝の件数は、「建造物」が227件、美術工芸品が897件となっている。

私自身、特に建造物の国宝巡りが趣味となっていることもあり、全国各地にあ

もっとみる
「日本誕生の地にて」”ソロの細道”Vol.28「兵庫」~47都道府県一人旅エッセイ~

「日本誕生の地にて」”ソロの細道”Vol.28「兵庫」~47都道府県一人旅エッセイ~

自分の国がどのようにして誕生したのだろう、という疑問は、誰もが子供の頃に一度は考えることなのだと思う。

そうした意味において、日本のように世界でも類を見ない国、つまりは世界最古の皇族である天皇が治める国であり、紀元前660年の建国以来ずっと同じ国であり続けている稀有な国の国民である日本人は、最も興味深い問いなのかもしれない。

日本神話の中の「国生み」によれば、日本で最も最初に作られたのが”オノ

もっとみる
「やっぱ好きやねん」”ソロの細道”Vol.27「大阪」~47都道府県一人旅エッセイ~

「やっぱ好きやねん」”ソロの細道”Vol.27「大阪」~47都道府県一人旅エッセイ~

大阪への憧れが私の中で育まれたのは、幼い頃から見ていた「吉本新喜劇」の影響だったのかもしれない。

沖縄ではなぜかしばらくの間、土曜の午後にテレビで吉本新喜劇が放送されていて、まだ週休五日になっていなかった小学校の土曜日の授業を終えて帰宅し、家でお昼を食べながら見ていた記憶が今でもある。

その劇の中で繰り広げられるドタバタと、出演者が話す関西弁は、幼心にインパクトを残していたようで、いつの間にか

もっとみる
「丹後の天酒、至極なり」”ソロの細道”Vol.26「京都」~47都道府県一人旅エッセイ~

「丹後の天酒、至極なり」”ソロの細道”Vol.26「京都」~47都道府県一人旅エッセイ~

京都と言えば、修学旅行の主要な行き先の一つであり、沖縄の高校生にとってもそれは同じだった。

そのタイミングで初の京都へ行き、あまり寺社仏閣が無い沖縄人が金閣寺や清水寺といった有名なお寺を見て感動する、ということも多い。

といいつつ私の高校はというと、生徒の投票によって「東京&北海道プラン」が選ばれ、京都へ行くことは無かったのだが。

ただ私自身は小学生の頃に家族で北陸と京都へ旅行をしたことがあ

もっとみる
「琵琶湖の湖畔でわれ思う」”ソロの細道”Vol.25「滋賀」~47都道府県一人旅エッセイ~

「琵琶湖の湖畔でわれ思う」”ソロの細道”Vol.25「滋賀」~47都道府県一人旅エッセイ~

琵琶湖で有名な滋賀県には、長い間降り立ったことが無かった。

大阪へは出張で何十回と新幹線にて往復しているので、その回数分は滋賀を通過しているのだけれど、なかなかに立ち寄るきっかけが無かったのだ。

滋賀に魅力が無かったわけではない。

戦国好きにとっては、安土城に長浜城、坂本城に近江八幡城、そして国宝の彦根城と沢山の有名な城があるし、京都との県境には比叡山がある。

そしてなんといってもやはり琵

もっとみる
「名古屋どて煮ストリート」”ソロの細道”Vol.24「愛知」~47都道府県一人旅エッセイ~

「名古屋どて煮ストリート」”ソロの細道”Vol.24「愛知」~47都道府県一人旅エッセイ~

愛知県と言えば、”戦国の三英傑”を生んだ地であり、織田信長に豊臣秀吉、徳川家康という日本の歴史を変えた三人共に、この愛知県で生まれたのだ。

そういったこともあり、愛知県内には様々な史跡が残っていて、戦国時代好きにはたまらないエリア。

かくいう私も、大の戦国好きなので、ここ10年に何度も訪れた名古屋出張のついでに、色々な史跡を巡ってきた。

そして名古屋と言えば、もう一つ有名なのがやはり”名古屋

もっとみる
「忍者の街を歩く」”ソロの細道”Vol.23「三重」~47都道府県一人旅エッセイ~

「忍者の街を歩く」”ソロの細道”Vol.23「三重」~47都道府県一人旅エッセイ~

個人的に三重県は、ここ10年、仕事以外でも毎年訪問している唯一の場所だ。

その目的は伊勢参り。

2009年に仲間と会社を立ち上げた時に、皆で伊勢参りをしてその会社の繁栄を願った。

そこからもう12年経ち、3人で立ち上げた会社には1人しか残っていないけれど、この「毎年お伊勢参りをする」という習慣は、今でも私の中に残っている。

10年以上毎年伊勢に行っているとはいえ、決まった時期があるわけでは

もっとみる
「大雨の大井川鉄道」”ソロの細道”Vol.22「静岡」~47都道府県一人旅エッセイ~

「大雨の大井川鉄道」”ソロの細道”Vol.22「静岡」~47都道府県一人旅エッセイ~

日本各地には様々な”吊り橋”があるけれど、最も人気があるのは静岡県にある”夢の吊り橋”ではないかと思う。

もう名称からして凄い。”夢の”なのだ。しかしそれは決してオーバーでも無く、一度実際に見た人は「確かに」と納得してしまうような魅力がある。

そんな名所の事を私が放っておけるわけもなく、会社の休みを利用して静岡旅を計画。数日の静岡旅行の最終日に選んだのが、”夢の吊り橋”や”奥大井湖上駅”がある

もっとみる
「オフ会で感じた絆」”ソロの細道”Vol.21「岐阜」~47都道府県一人旅エッセイ~

「オフ会で感じた絆」”ソロの細道”Vol.21「岐阜」~47都道府県一人旅エッセイ~

以前にこのnoteでも書いたことがあるが、私にとってのインターネットとの繋がりは、高校一年生の頃。今から25年近くも前の話。

原因不明の体調不良によって、夏休みの一か月間を自宅療養となった私は、活路をインターネットに求めた。

そして行き着いたのが、戦国時代好きのユーザーが夜な夜な集まるチャットルーム。

ここでは参加者が思い思いの武将名をハンドルネームとして使用し、当時は”テレホーダイ”という

もっとみる
「天下一の桜と伊那ローメン」”ソロの細道”Vol.20「長野」~47都道府県一人旅エッセイ~

「天下一の桜と伊那ローメン」”ソロの細道”Vol.20「長野」~47都道府県一人旅エッセイ~

日本人にとって”桜”は最も愛されている花ではないだろうか。

毎年日本全国で花見が楽しまれていて、多くの人で賑わっている。

そして全国の「名所」と呼ばれる場所には、各地から見物客が押し寄せ、桜を見に来ているのだか、人込みを見に来ているのかわからない、という声も聞こえたほど。

特にコロナ前まではインバウンド客も多く、大変な混雑になっていたという。

そんな桜は「春の到来」とセットで語られることが

もっとみる
「栄枯盛衰、武田の栄光」”ソロの細道”Vol.19「山梨」~47都道府県一人旅エッセイ~

「栄枯盛衰、武田の栄光」”ソロの細道”Vol.19「山梨」~47都道府県一人旅エッセイ~

思い返せば、山梨は何かと縁のある場所だった。

大学のゼミの合宿では山中湖や河口湖でやることが多かったし、大学時代の彼女が山梨出身だったこともあって、彼女の実家に泊まらせてもらいつつ、八ヶ岳や清里、昇仙峡や勝沼などにも連れて行ってもらった。

新宿から高速バスに乗れば結構近い、ということを知ったことも大きかったかもしれない。

そんなこともあって私にとっては身近な存在だった山梨だが、一人旅で訪れた

もっとみる
「身に染みる おでんと燗と 夫婦愛」”ソロの細道”Vol.18「福井」~47都道府県一人旅エッセイ~

「身に染みる おでんと燗と 夫婦愛」”ソロの細道”Vol.18「福井」~47都道府県一人旅エッセイ~

福井に初めて訪れたのは、小学生の頃の家族旅行だった。

そのころの記憶と言えば、このエッセイの一つ前で書いた「雪の記憶」と、幼心に雄大さと海風の顔を貫くかのような冷たさが記憶に残っている「東尋坊」のこと。そして家族皆が美味しそうに蟹を食べるのを見ていた記憶(私が甲殻類アレルギーで食べられないのだ)だろうか。

福井には結局それ以来足を踏み入れていなかったのだが、3年前の年末年始旅で久々に訪問し、3

もっとみる
「能登の雪道ドライブ」”ソロの細道”Vol.17「石川」~47都道府県一人旅エッセイ~

「能登の雪道ドライブ」”ソロの細道”Vol.17「石川」~47都道府県一人旅エッセイ~

沖縄で生まれ育った私であるが、実は意外と北陸には思い入れがある。

というのも、小学校の時に家族で沖縄以外に出掛けた唯一の旅行で訪れたのが、当時福井に住んでいた叔父家族に会いに行った旅行であり、その時に福井と石川で見た大雪というのが、私が物心をついて初めて触れた雪だった。

駅まで迎えに来てくれた叔父の車に乗り、窓から眺める一面の雪景色がとても幻想的に見えたのを、30年経った今でも朧気ではあるが覚

もっとみる
「秘湯と足湯とブルーシール」”ソロの細道”Vol.16「富山」~47都道府県一人旅エッセイ~

「秘湯と足湯とブルーシール」”ソロの細道”Vol.16「富山」~47都道府県一人旅エッセイ~

私にとって富山県は、47都道府県のうちで最後まで残った未踏の地だった。

そんな富山を初めて訪れ、47都道府県制覇を成し遂げたのはちょうど3年前の年末年始。

新潟から日本海側を西に進み、遂に富山へと到達したのだった。

その時は富山市を散策して「世界で一番きれいなスターバックス」などを見たり、富山ブラックを食べたり、氷見に移動して氷見グルメや藤子不二雄A先生の生家を堪能したり、最後は高岡に移動し

もっとみる