記事一覧
発表!町田ミュージカル賞2023
昨年の今頃は個人的な長尺ブームのさなかにあったため、町田ミュージカル賞2022の記事も思いつくことをひたすらダラダラと書き綴っていったが、ブームの去った今年は従来の私に戻ってコンパクトな文章でお届け。しかも今年は、結果については冒頭の無料パートで早速公開してしまい、有料パートでは選出理由を述べていくスタイルにしてみる。私にとってnoteは常に個人的な実験の場、毎度お付き合いいただきありがとうござい
もっとみる発表!町田ミュージカル賞2022
今年も町田ミュージカル賞の季節がやってきた。……「今年も」と言えるほど定着なんて全くしてないしする気配もない上、「季節」と言えるほど決まった時期に発表もしていないのだが、1年間に日本で上演されたミュージカルのうち最も心動かされた作品と俳優に、ミュージカル文筆家・町田麻子が個人的に進呈して4年目となる賞である。
文筆を生業として20年弱、何事もできるだけコンパクトにまとめることを身上とし、もはやそ
おたく目線のミュージカル訳詞論
幸か不幸か、ミュージカルを観始めた子どもの頃から、日本だけでなくブロードウェイやウエストエンドで観劇する機会の多い環境にあった。キャストのパフォーマンスとか、なんなら脚本や音楽や演出の出来以上に、とかく訳詞と音響が気になってしまうおたくに育ったのはそのためだと思う。若い頃は――いや、この仕事を始めてからもしばらくは、そこには〝正解″があると思っていた。おこがましくも、自分が良いと感じる訳詞と音響こ
もっとみる2022年版『ミス・サイゴン』を無理やり総括してみるnote
『レ・ミゼラブル』と『ミス・サイゴン』は、私にとってボジョレヌーボーみたいな作品だ。ワインなんてロクに飲めない分際で何を言うかという話だが、数年おきにちょっとずつ形を変えて再演されるため、「今年のレミゼは/今年のサイゴンは〇〇だね!」みたいなノリで話題にしたくなる点が似ているのだ。しかし、である。
あまりにも久しぶり(2017年6月にブロードウェイで観たのが最後。日本版は同年1月の名古屋公演ぶり
発表!町田ミュージカル賞2021
有料記事に初めて挑戦した前回、予想以上にたくさんの方が読んでくださったことでそれなりの可能性を感じて続けてみようと思ったものの、改めて読み直すと「忖度なし」と言っていながらだいぶ遠慮しているなとちょっと笑ってしまった。いやもちろん、依頼原稿には書けないことを書いてはいるのだが、身を削って創作した皆さんやそれを楽しんだ方々を怒らせたり傷つけたりするのは違うと思うあまり、奥歯にものの挟まったような書き
もっとみる指揮法概論を取ってみた
実技系の授業は、音感ない者は人間にあらず的な考えの先生に当たるとメンタルやられるから積極的に取りたくはないのだが、いっとき血迷って教員免許取ろうかなって思った時に必要な授業を調べるなかで「指揮法概論」という集中講義の存在を知り、教職妄想が消えたあともそれだけなぜか残ってて。そもそも私、指揮者の役割と存在意義が理屈で理解はしててもずっと納得はできずにいて、やってみれば分かるかなって思ったのと、教職課
もっとみる忖度なしのミュージカルレポート【2021年3~4月編】
まだミュージカルファンになりたてだった中学生の頃、宮本亜門演出、唐沢寿明主演の『熱帯祝祭劇マウイ』というオリジナルミュージカルを観た。血沸き肉躍るような興奮を得て3度ほどリピートしたが、新聞の劇評では酷評されていた。自分が感動したものを批判されるのは、まるで自分自身が否定されたようでとても悲しい。悲しみを払拭するために、識者の冷静な批評眼よりも若者の純粋な感性が捉えたことのほうが正しい可能性だって
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