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GEIDAI見聞録

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「38歳、芸大受験してみた。」の続編。日々の芸大生活の中で感じるあれこれの、正確には備忘録だけど、この学生生活はまるっと取材なのだ!と自分に言い聞かせたいから見聞録。
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【見聞録マガジン最終回】4年生の授業を振り返る~金曜編~

【見聞録マガジン最終回】4年生の授業を振り返る~金曜編~

「声楽の月曜」と「能楽の水曜」は昼過ぎには終わってたから、4年生で1日中授業だったのは金曜だけ。前期はオールリモートだったけど3コマもあって、そして後期は2コマしかなかったけどどっちも遠い北千住校舎での対面授業だったから、基本的にほかのことはできなかったということで、名付けて「大学の金曜」を振り返ってまいります。ああこれを書き終わったらGEIDAI見聞録ももう終わりなのか、寂しいな…。

■金曜①

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4年生の授業を振り返る~月・水曜編~

4年生の授業を振り返る~月・水曜編~

ここに来てなぜか曜日で分けるという(笑)。4年生ともなると授業の数が少なくて、3年生の時に倣って実技系・演習系・講義系で分けるとなんだかアンバランスなことになり、また振り返るとちょうど曜日ごとにカラーの異なる年でもあったので、まずは「声楽の月曜」と「能楽の水曜」にスポットを当ててまいります。

という流れで、本題に入る前に在学中よく聞かれたことを備忘録しておくと、会社とか家庭のある人はともかく、公

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42歳、芸大卒業しました。

42歳、芸大卒業しました。

二足のわらじ生活楽しいからもっと長引かせたいし、リモート授業のまま終わるのももったいないし。というわけで3年生の春休み、まずは1年間の休学を考えたのだけど、考え始めた時にはもう前期休学の申請期限を過ぎていて。じゃあ後期だけでもと思ったら、前期に卒論を出すことはできないシステム=もし卒業を目指すなら(まだ目指してはなかったけど閉ざす覚悟もなかった)、この年の後期に加えて翌年の前期も休学するしかないこ

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指揮法概論を取ってみた

指揮法概論を取ってみた

実技系の授業は、音感ない者は人間にあらず的な考えの先生に当たるとメンタルやられるから積極的に取りたくはないのだが、いっとき血迷って教員免許取ろうかなって思った時に必要な授業を調べるなかで「指揮法概論」という集中講義の存在を知り、教職妄想が消えたあともそれだけなぜか残ってて。そもそも私、指揮者の役割と存在意義が理屈で理解はしててもずっと納得はできずにいて、やってみれば分かるかなって思ったのと、教職課

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3年生の授業を振り返る④~和声との3年間の戦いの記録~

3年生の授業を振り返る④~和声との3年間の戦いの記録~

「芸大受験してみた。」のほうに書いた通り、ワタクシ、和声については完全なる付け焼刃で受験を乗り切りました。それは、時間的にそれしか手段がなかったのもあるけれど、楽理科では「中級」が必修科目ながら楽理科以外の科ではそもそも和声が受験科目にないことから、入学してからほかの科の「初級」を聴講することから始めようという目論見もあってのこと。しかしながら、和声を牛耳る作曲科は聴講というものを頑として受け付け

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3年生の授業を振り返る③講義系

日本音楽史講義【前期のみ:秀】これも「講義」に属する授業なので先生が自分の専門分野をひたすら語る感じ。この先生の専門は歌舞伎音楽の東西交流という、私も興味の持てる分野だったので普通に面白かったです。配信されるのが動画じゃなく音声のみだったことと、出席代わりのレスポンスシートに質問を書き込んでも書き込んでも何も返ってこないことには閉口したけれど(授業全部終わってレポートも出し終わってからまとめて返事

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3年生の授業を振り返る②演習系

音楽美学演習【前期:優/後期:優】私の生涯のプチテーマである「音楽に伴われると言葉はなぜ力を持つのか問題」の答えが、美学にあると思ってたらなかったから次は科学に求めますってレポートに書いて、科学から美学に戻ってきたららまた違う景色が見えるかもよって言われた1年時の音楽美学概説(かなり脚色した言い方ですが)。新設されたこの東大の先生の授業がシラバス読む限り例年よりだいぶ基礎的な内容っぽかったから、戻

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3年生の授業を振り返る①実技系

はあ~またなんだかんだ1年近く放置してしまった。後期の長唄を除きオールリモートだった3年生の授業は試験含めてすべて終了し、現在は結果(単位と成績)待ちの春休みです。

リモート授業は不便なこと、物足りないこともいっぱいあったけど、社会人学生にとっては僅差で良いことのほうが多かった印象。ただ、それは4年間のうち1年くらいはそういう年があっても――もしくは、卒業を目指すなら「あったほうが」――いいし、

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社会人(=デジタルネイティブじゃない)芸大生のリモート授業体験記

リモート授業が始まって2週間が過ぎました。芸大は基本的に、該当授業受講生への一斉連絡と課題のやりとりができる「Googleクラスルーム」+オンライン授業ができる「GoogleMeet」の合わせ技を推奨しつつ、具体的には各先生に任せている模様。まずもってこの基本方針を掴むのに時間がかかり、フライング的に来る様々な連絡によって翻弄された日々を経て、掴んでからも結局は先生によって使うツールが違うため(Z

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1~2年の授業を振り返る③選択科目編

・初級演習:西洋音楽・基礎【1年前期:優】

6つの中から4つを選ぶ選択必修。内容は先生に任されているようで、同じ「西洋」でも全く違ったなか、何も分からなかった時に一発目としてたまたま選んだこれが基礎的な内容だったのは幸運でした。海のように広い音楽学のうち、王道と思われる「クラシック音楽の資料研究」についての知識や具体的な方法を先生が伝授してる時間が半分で、演習の主たる発表はそのやってみよう編とい

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1~2年の授業を振り返る④一般教養科目編

・著作権概論【1年前期:良/1年後期:優】

これも1限ソルフェに出るモチベ確保のためだけに取り始めた2限の授業なんだけど、音楽著作権関連の案件を多く扱っていることで割と有名な弁護士先生が体験談を交えて講義してくれるのでそれなりに面白かった。主には作曲科とかの自分の著作物を持ってる学生向けの内容なんだけど、出席取らないせいでそんなに人数多くなかったから、ライター目線の質問をしてみたりも。いわく、イ

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1~2年の授業を振り返る②必修科目(語学&実技)編

・楽書講読(英語)【1年通年:良】

音楽学に関する英語の文献を輪読する1年生必修の授業。出席番号によって自動的に2クラスに振り分けられ、私は大嫌いな先生のほうのクラスに入れられました。大嫌いとはいえ超テキトーなので楽ではあって、もう一方の先生はかなりの予習復習を要求すると聞いていたので、最初は得した気分でいたのですが。履修し終わってから知ったところによると、何を読むかを決めるのも先生で、もう一方

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1~2年の授業を振り返る①必修科目(音楽学)編

GEIDAI見聞録なんてカテゴリーを作っておきながら学期中ほぼ放置してしまった…。マストじゃない原稿はやはりどうにも進みませんが、見聞録はどう考えたって残しておいたほうがいいと思われるため、1~2年生の間に学んだこと・考えたことをここらでまとめて振り返っておこうかと思います。必修科目(音楽学)編、必修科目(語学&実技)編、選択科目編、一般教養科目編の全4回連載予定。

■必修科目:音楽学編

・西

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誤算の好転について

何を隠そう、最近学校が楽しい。2年生になってから、なんだかんだほぼ皆勤賞なんじゃないかってくらい毎日学校に行っている。思うのは、私の興味は結局のところ、人間というものに向かっているのだなということ。音楽のことを勉強したくて入ったけど、その音楽を生み出してるのも聴いてるのも人間なんだもんな。人間だもの(あさを)。

誤算1:フランス語思い起こせば、入った頃には誤算が数々あって、こんなはずじゃなかった

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