町田麻子AsakoMachida

ミュージカル文筆家。38歳だった2018年に東京藝術大学を一般受験して入学し、2022…

町田麻子AsakoMachida

ミュージカル文筆家。38歳だった2018年に東京藝術大学を一般受験して入学し、2022年に卒業しました。ここには主に受験体験記、藝大見聞録、公の媒体では書けないミュージカル関連記事をあげてます。 www.rodsputs.com

マガジン

  • ミュージカル

    仕事関係の記事まとめ。

  • 38歳、芸大受験してみた。

    37歳で東京藝大音楽学部楽理科受験を思い立ち、半年後に本当に受けてしまった38歳(当時)フリーライターの体験記。 ※受験相談のコメントやメッセージを度々いただきますが、基本的に返信しておりません。ただし、有料記事の購入やサポートをしてくださった方からのコメントには何かしらお返しするようにしています(お察しください)。

  • GEIDAI見聞録

    「38歳、芸大受験してみた。」の続編。日々の芸大生活の中で感じるあれこれの、正確には備忘録だけど、この学生生活はまるっと取材なのだ!と自分に言い聞かせたいから見聞録。

最近の記事

発表!町田ミュージカル賞2023

昨年の今頃は個人的な長尺ブームのさなかにあったため、町田ミュージカル賞2022の記事も思いつくことをひたすらダラダラと書き綴っていったが、ブームの去った今年は従来の私に戻ってコンパクトな文章でお届け。しかも今年は、結果については冒頭の無料パートで早速公開してしまい、有料パートでは選出理由を述べていくスタイルにしてみる。私にとってnoteは常に個人的な実験の場、毎度お付き合いいただきありがとうございますm(__)m いきなり結果発表!第5回町田ミュージカル賞 ■作品賞: 小

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    • 発表!町田ミュージカル賞2022

      今年も町田ミュージカル賞の季節がやってきた。……「今年も」と言えるほど定着なんて全くしてないしする気配もない上、「季節」と言えるほど決まった時期に発表もしていないのだが、1年間に日本で上演されたミュージカルのうち最も心動かされた作品と俳優に、ミュージカル文筆家・町田麻子が個人的に進呈して4年目となる賞である。 文筆を生業として20年弱、何事もできるだけコンパクトにまとめることを身上とし、もはやそれが癖にもなっている私に2022年末、降って沸いた「長尺」への興味。その実験段階

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      • おたく目線のミュージカル訳詞論

        幸か不幸か、ミュージカルを観始めた子どもの頃から、日本だけでなくブロードウェイやウエストエンドで観劇する機会の多い環境にあった。キャストのパフォーマンスとか、なんなら脚本や音楽や演出の出来以上に、とかく訳詞と音響が気になってしまうおたくに育ったのはそのためだと思う。若い頃は――いや、この仕事を始めてからもしばらくは、そこには〝正解″があると思っていた。おこがましくも、自分が良いと感じる訳詞と音響こそ正しいのに、みたいな気になっていたのだ。でも今は、訳詞も音響も結局は〝好み″な

        • 2022年版『ミス・サイゴン』を無理やり総括してみるnote

          『レ・ミゼラブル』と『ミス・サイゴン』は、私にとってボジョレヌーボーみたいな作品だ。ワインなんてロクに飲めない分際で何を言うかという話だが、数年おきにちょっとずつ形を変えて再演されるため、「今年のレミゼは/今年のサイゴンは〇〇だね!」みたいなノリで話題にしたくなる点が似ているのだ。しかし、である。 あまりにも久しぶり(2017年6月にブロードウェイで観たのが最後。日本版は同年1月の名古屋公演ぶり)だったからか、アフガニスタンやウクライナがチラつくご時世だからか、日本に住んで

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        発表!町田ミュージカル賞2023

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        • ミュージカル
          8本
        • 38歳、芸大受験してみた。
          15本
        • GEIDAI見聞録
          16本

        記事

          【見聞録マガジン最終回】4年生の授業を振り返る~金曜編~

          「声楽の月曜」と「能楽の水曜」は昼過ぎには終わってたから、4年生で1日中授業だったのは金曜だけ。前期はオールリモートだったけど3コマもあって、そして後期は2コマしかなかったけどどっちも遠い北千住校舎での対面授業だったから、基本的にほかのことはできなかったということで、名付けて「大学の金曜」を振り返ってまいります。ああこれを書き終わったらGEIDAI見聞録ももう終わりなのか、寂しいな…。 ■金曜①音楽音響学【前期:優/後期:優】 「ホール音響概論」「楽器学」「音響学」「音声

          【見聞録マガジン最終回】4年生の授業を振り返る~金曜編~

          4年生の授業を振り返る~月・水曜編~

          ここに来てなぜか曜日で分けるという(笑)。4年生ともなると授業の数が少なくて、3年生の時に倣って実技系・演習系・講義系で分けるとなんだかアンバランスなことになり、また振り返るとちょうど曜日ごとにカラーの異なる年でもあったので、まずは「声楽の月曜」と「能楽の水曜」にスポットを当ててまいります。 という流れで、本題に入る前に在学中よく聞かれたことを備忘録しておくと、会社とか家庭のある人はともかく、公私ともにフリーランスならば仕事と学部通いの両立は問題なく可能だと思う。少なくとも

          4年生の授業を振り返る~月・水曜編~

          42歳、芸大卒業しました。

          二足のわらじ生活楽しいからもっと長引かせたいし、リモート授業のまま終わるのももったいないし。というわけで3年生の春休み、まずは1年間の休学を考えたのだけど、考え始めた時にはもう前期休学の申請期限を過ぎていて。じゃあ後期だけでもと思ったら、前期に卒論を出すことはできないシステム=もし卒業を目指すなら(まだ目指してはなかったけど閉ざす覚悟もなかった)、この年の後期に加えて翌年の前期も休学するしかないことが分かり。前期休んじゃうと通年授業が取れず、芸大の授業って通年ものと前期だけも

          42歳、芸大卒業しました。

          発表!町田ミュージカル賞2021

          有料記事に初めて挑戦した前回、予想以上にたくさんの方が読んでくださったことでそれなりの可能性を感じて続けてみようと思ったものの、改めて読み直すと「忖度なし」と言っていながらだいぶ遠慮しているなとちょっと笑ってしまった。いやもちろん、依頼原稿には書けないことを書いてはいるのだが、身を削って創作した皆さんやそれを楽しんだ方々を怒らせたり傷つけたりするのは違うと思うあまり、奥歯にものの挟まったような書き方になっている。要はまあ、中途半端。楽しめなかった作品について書くのはやはり難し

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          発表!町田ミュージカル賞2021

          指揮法概論を取ってみた

          実技系の授業は、音感ない者は人間にあらず的な考えの先生に当たるとメンタルやられるから積極的に取りたくはないのだが、いっとき血迷って教員免許取ろうかなって思った時に必要な授業を調べるなかで「指揮法概論」という集中講義の存在を知り、教職妄想が消えたあともそれだけなぜか残ってて。そもそも私、指揮者の役割と存在意義が理屈で理解はしててもずっと納得はできずにいて、やってみれば分かるかなって思ったのと、教職課程の必修ってことはそこまでガチ授業ではないはずという仄かな希望もあって、クソ忙し

          指揮法概論を取ってみた

          忖度なしのミュージカルレポート【2021年3~4月編】

          まだミュージカルファンになりたてだった中学生の頃、宮本亜門演出、唐沢寿明主演の『熱帯祝祭劇マウイ』というオリジナルミュージカルを観た。血沸き肉躍るような興奮を得て3度ほどリピートしたが、新聞の劇評では酷評されていた。自分が感動したものを批判されるのは、まるで自分自身が否定されたようでとても悲しい。悲しみを払拭するために、識者の冷静な批評眼よりも若者の純粋な感性が捉えたことのほうが正しい可能性だってある、という理論を自分で打ち立てた。なんならその思いを、演劇誌の読者ページに投稿

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          忖度なしのミュージカルレポート【2021年3~4月編】

          3年生の授業を振り返る④~和声との3年間の戦いの記録~

          「芸大受験してみた。」のほうに書いた通り、ワタクシ、和声については完全なる付け焼刃で受験を乗り切りました。それは、時間的にそれしか手段がなかったのもあるけれど、楽理科では「中級」が必修科目ながら楽理科以外の科ではそもそも和声が受験科目にないことから、入学してからほかの科の「初級」を聴講することから始めようという目論見もあってのこと。しかしながら、和声を牛耳る作曲科は聴講というものを頑として受け付けておらず、それはソルフェで親しくなった初級和声の担当でもある先生に「絶対に邪魔し

          3年生の授業を振り返る④~和声との3年間の戦いの記録~

          3年生の授業を振り返る③講義系

          日本音楽史講義【前期のみ:秀】これも「講義」に属する授業なので先生が自分の専門分野をひたすら語る感じ。この先生の専門は歌舞伎音楽の東西交流という、私も興味の持てる分野だったので普通に面白かったです。配信されるのが動画じゃなく音声のみだったことと、出席代わりのレスポンスシートに質問を書き込んでも書き込んでも何も返ってこないことには閉口したけれど(授業全部終わってレポートも出し終わってからまとめて返事きたけど、その頃にはもう私の興味は失われていた。リモート授業あるある。いや違う)

          3年生の授業を振り返る③講義系

          3年生の授業を振り返る②演習系

          音楽美学演習【前期:優/後期:優】私の生涯のプチテーマである「音楽に伴われると言葉はなぜ力を持つのか問題」の答えが、美学にあると思ってたらなかったから次は科学に求めますってレポートに書いて、科学から美学に戻ってきたららまた違う景色が見えるかもよって言われた1年時の音楽美学概説(かなり脚色した言い方ですが)。新設されたこの東大の先生の授業がシラバス読む限り例年よりだいぶ基礎的な内容っぽかったから、戻るなら今かなと思って受けてみました。前期はグレイシックの『音楽の哲学入門』+いく

          3年生の授業を振り返る②演習系

          3年生の授業を振り返る①実技系

          はあ~またなんだかんだ1年近く放置してしまった。後期の長唄を除きオールリモートだった3年生の授業は試験含めてすべて終了し、現在は結果(単位と成績)待ちの春休みです。 リモート授業は不便なこと、物足りないこともいっぱいあったけど、社会人学生にとっては僅差で良いことのほうが多かった印象。ただ、それは4年間のうち1年くらいはそういう年があっても――もしくは、卒業を目指すなら「あったほうが」――いいし、それが3年時だったのはラッキーだったなっていうところなので、来年度も継続となると

          3年生の授業を振り返る①実技系

          社会人(=デジタルネイティブじゃない)芸大生のリモート授業体験記

          リモート授業が始まって2週間が過ぎました。芸大は基本的に、該当授業受講生への一斉連絡と課題のやりとりができる「Googleクラスルーム」+オンライン授業ができる「GoogleMeet」の合わせ技を推奨しつつ、具体的には各先生に任せている模様。まずもってこの基本方針を掴むのに時間がかかり、フライング的に来る様々な連絡によって翻弄された日々を経て、掴んでからも結局は先生によって使うツールが違うため(ZOOMとかSLACKを使うう場合も)、デジタルにそう強くないというか精神的距離が

          社会人(=デジタルネイティブじゃない)芸大生のリモート授業体験記

          1~2年の授業を振り返る④一般教養科目編

          ・著作権概論【1年前期:良/1年後期:優】 これも1限ソルフェに出るモチベ確保のためだけに取り始めた2限の授業なんだけど、音楽著作権関連の案件を多く扱っていることで割と有名な弁護士先生が体験談を交えて講義してくれるのでそれなりに面白かった。主には作曲科とかの自分の著作物を持ってる学生向けの内容なんだけど、出席取らないせいでそんなに人数多くなかったから、ライター目線の質問をしてみたりも。いわく、インタビュー原稿はやっぱり私の著作物らしいよ?本人直しが入っても共同著作物になるだ

          1~2年の授業を振り返る④一般教養科目編