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他人様の記事。

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ぐっときたり、勉強になったり、思わずうーんとうなる他人様の記事。
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#小説

冷麺

冷麺

冷麺ですが、今ってnoteで創作大賞やってるじゃないですか。

私も一応応募していますが、どーせ箸にも棒にも引っかからないじゃないですか。

そこで、私は創作大賞での推し活を実施したいと思います。

そんな私が創作系noterさんを推すといったら一人しかいないじゃないですか。

はい、りんこさんですよ、りんこさん。

私ね、大ファンなんですよ。

ご本人は元ナースでお綺麗だから萌え萌えじゃないです

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ショートショート やがて、世界が海に

ショートショート やがて、世界が海に

 大学に通うために引っ越してきたアパートの近くに海がある、と越す前から知ってはいたのだけれど、いざ歩いて行ってみると本当に海で、今更ながら驚いて堤防に座ってしばらく見ていた。片道20分。歩いて来てよかったと思った。
 春の海は穏やかで、人気もそれほどない。犬の散歩をしている人がいる。少し毛深すぎる小型犬が長い紐に繋がれて得意そうに風を切っていた。

 ここにくるまでに飲んでいたペットボトルの水がち

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人間ドック後に秋谷りんこさんに泣かされた話

人間ドック後に秋谷りんこさんに泣かされた話

今日人間ドックだったんですよ。
去年と違いジャングルクルーズな人は不在で
静かな人間ドックとなりました。

あまりに静かで腹部エコーの時に
睡魔に襲われ「息してください」
と言われました。

深い呼吸を繰り返していたので
知らないうちに寝てしまったようです。

人間ドックも終わりウキウキと
サービスランチを取りに病院内の
レストランへ向かいました。

注文を済ませ、いそいそとnoteを開けると

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小説|雪男は麓の町へ

小説|雪男は麓の町へ

 雪山から麓の町へ雪男が下りてきました。時計台広場にある長椅子に座りつづけて、はや一か月。雪男はパンも食べず水も飲まず、ただただ町に雪を降らせます。町の人々はみな雪男を怖がりました。ひとりの少女を除いて。

 以前、少女は雪男と会ったことがあります。戦争にとられた父に代わり、病に伏す母に舐めさせようと山で蜂蜜を採った帰り道でした。猟銃で撃たれたか、木陰で動けずにいる雪男のそばに、少女は蜂蜜を置いて

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バナナATM【ショートショートnote杯】

バナナATM【ショートショートnote杯】

寂れつつある商店街には何か話題が必要だった。

商店組合員たちは苦肉の策、いや果肉の策に打って出た。

商店街の目立つ場所に「バナナATM」を設置したのだ。

好きな時に好きなだけバナナを引き落とせるし、好きな時に好きなだけバナナを振り込める。

そしてなんとこのバナナATM、現在だけではなく過去や未来にも送る事が出来てしまう優れもの。

しかし初めはみんな面白がってバナナを預けたり引き落としたり

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青色のおままごと #月刊撚り糸

青色のおままごと #月刊撚り糸

そろそろだと思いました。
そろそろいい頃合いだと。
木曜日の午前十時きっかり、私はあなたのクローゼットを開けました。あなたの匂いがしました。昨日の夜のあなた、そのままでした。
左隅に置かれた三段プラケース、その一番下の引き出しをゆっくりと味わうようにスライドさせていくと、あなたの匂いは一段と濃くなっていきます。

一昨日はありませんでした。昨日もありませんでした。しかし遂に今日、見つけました。プラ

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小説|欠くとき、書くこと

小説|欠くとき、書くこと

 もう会えなくなった人がいます。その人から私が教わったのは書くこと。便宜上であっても「その人」と呼ぶのが心苦しいほど、その人は私には欠くことのできない親しい存在でした。その人は私にこう語ったものです。

 書くことは癒えること。大事なものを欠いたとき、あるいは大切なものを欠くのを恐れるとき、人は書く。欠いたこと、欠く恐れを、書いて埋める。書くことは、まず自分、次に他人を、癒やすものであってほしい。

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前略 #あなたへの手紙コンテスト

前略 #あなたへの手紙コンテスト

前略

 便箋の先頭に「前略」と書くたび、「前略 中略 後略」という手紙をくれたあなたを思い出します。わたしがそれになんと書いて返事を送ったか、あなたは覚えていますか?

 手紙の先頭に書く前略には、時候の挨拶を省略するという意味があるそうです。その非礼を詫びるために、末尾に草々と書く。でもあなたから届く手紙はいつも、前略で始まっていて草々はありませんでした。あなたの手紙では、前略で略された部分に

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無数の針

無数の針

短編小説

◇◇◇

 海に向かう街道の少し手前でスーパーマーケットに立ち寄り、そこでぼくと十歳になる姪は、チョコレートやキャンディーやスナックなどの菓子類をしこたま買い込んだ。ここから海水浴場までには長い峠道を越えなければならず、三十分くらいでは着きそうにないから、車の中でおやつを食べようと、ぼくが姪に提案したのだ。

 お菓子に関しては子供の方が目利きだろうと思い、姪が選ぶに任せたのだが、買い

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半月たちの哀歌

半月たちの哀歌

短編小説

◇◇◇

 寺林涼子は職員室にある自分の机に置いてあった二つ折りのメモを見つけて、高校三年生のある男子生徒の顔を思い浮かべた。

 涼子は以前、その男子生徒から詩のようなものが書かれた手紙を受け取っていた。性器を見たことがない……とか、そういった気味の悪いセクハラまがいの文面だった。もしもそれが、ポストに入っていた差出人不明の手紙なら、最後まで読まずに破り捨てていたと思うが、涼子はその

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