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詩、なのか?これは

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【詩】6月なんて

【詩】6月なんて

突き抜ける青い空なんて望んでいない。
高い位置から見下すように照らしつける太陽の顔なんて見たくない。
分厚い雲に阻まれていて欲しいと思う反面、安定した気圧を望む。
毎朝脳に不具合を感じつつ目を覚まして、痛む頭と付き合わなきゃいけないこの季節を恨む。
6月なんて大嫌い。

鮮やかな色が無い空なんてつまらない。
それに抗うように空へと顔を向ける色とりどりの傘が眩しい。
湿度が肌にまとわりつく感覚。想定

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【詩】不眠症

【詩】不眠症

不道徳なまま流されたい。絶え間ない時間の上を、揺蕩うように浮かんでいたい。「なんだか眠れない」の模範回答。短くなっていく夜が、私を眠らせない。
ほんの少しの体温変化。こんなに慌てて求める何か。掬い上げられた水中の魚。踏み躙られた私の住処。
あなたには関係無い。柔らかい肌に重ねていたい。鼓動に時間を合わせたい。内側からリズムを奏でたい。
夜は長く移ろい、その間隔に戸惑い、優しくあなたに寄り添い、そん

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【詩】Who dances inside you?

【詩】Who dances inside you?

脚が勝手に動き出す三拍子。つーたんたん、つーたんたん。変なところに住むピアノ。ドラムと踊るベース。誰もいないところで顔を出すギター。

目を瞑って広がるその景色。らんたったー、らんたったー。点をひと摘み甦る日々を、奏でる色に染まる音。誰もいないところで顔を隠すわたし。

無機質な部屋のなか、光さす。

白と灰と仲良しに。帰路の解は彷徨いし。

死を怖いと見紛って、陽は辛いと遮って。

カーテンを締

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【詩】無力さ

【詩】無力さ

突き刺す風。鼻を突き抜ける赤の香り。どうしようもなくやることのない日常。鳩を見るばかり。

一人の女。たたずむ姿。その俯瞰。

視界には彩られた風景。心の中は灰色。目に映る木々の煌めき。影を落とす目。

ベンチに腰をかける。バスの手すりを掴む。電車の椅子で微睡む。ベッドの中で彷徨う。

焦り。哀しみ。怒り。戸惑い。

救済。

助けを請う目。固く閉ざされた口元。荒れた肌。乱れる神経。

滞りなく進

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【詩】夜誘い

【詩】夜誘い

右を向けばあなた。息を吐けば彼方。夜に響くソナタ。欲に満ちる夜鷹。

隣には誰も立っていない。帷には影も這って来ない。

季節に沈み込む。素面で踊り狂う。青白く揺蕩う。摩擦なく彷徨う。

こっちにおいでとあなたは歌う。

音楽になれば良かった。夜が苦にと言って笑った。染まるにはまだ早かった。澱まずに流れたかった。

困り顔は柔らかく崩れて。世迷言は堆く積まれて。来ない夜を予め呪って。止り木は空高く

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【詩】甘い匂い、青い世界

【詩】甘い匂い、青い世界

甘い香りが肺を満たす。肺で感じる、甘い匂い。

青い景色を脳で感じる、脳でえがく、青い世界。

その甘い匂いは、誰もが嗅ぐことができて、でも、嗅ごうと思った、想ったときには嗅げない。嗅ぎたいときには嗅げない。

その青い世界は、誰もが描くことができて、でも、描こうと思った、想ったときには描けない。描きたいときには描けない。

ふとした時に香る匂い。砂糖のようでいて、ハチミツのようでいて、なんだか分

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