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Nちゃんの 読み切り小説

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他人の骨を拾う

他人の骨を拾う

ふと、思い出した。

母と2人で行った、火葬場。

私達以外に人はおらず、通夜も葬式もなかった。

なくなったのは80才くらいのおじいちゃんだった。
母は確かその人をじっちゃん、と呼んでいた。

お見舞いには1度だけ付いて行った気がする。

母が着ていた服は丈が短く屈むと腰が見えた。

病室のベットで寝ていて、起き上がるのもやっと。
今にも死にそうな痩せこけたお爺さんは、
手を伸ばし母の肌に触れよ

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離れられない女

離れられない女

彼と離れようと決心して別れをほのめかす。

ー別れましょう。
と言えるほど強くない。

あなたはどうしたい?決まって私はクエスチョンを投げかけて彼に答えを委ねる。

彼はいつも言う。
僕が決めれる事じゃない。ただ君といると幸せだ。

言い回しを変えながら毎度同じ事を言う。

そうすると私は無意識に彼に近付き、
彼も無意識に私に手を伸ばす。

のどがじりじりと音をたて、私は空っぽの安い涙を流す。

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私以外の誰かと結婚して欲しい

私以外の誰かと結婚して欲しい

何か新しい自分の一部を作りたくて本を買った。
影響を受けやすいのだ。

自己啓発本と昔から好きな女性小説家の文庫本。
中身をじっくり読んで買ったわけじゃない。直感で選んだ。

自己啓発本の1ページ目には、
自分が変わりたいと思った時はそれは今がタイミングだと言う事。そう信じ込む事。

シンプルな文章でストンと心に落ちた。
あぁ私は今変わりたいんだ。と。

私以外の女を抱き続ける、狂うほど愛している

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腐敗

愛してる。
好き。
側にいて。
私だけを見て。
貴方だけを見てる。

腐る程溢れてる台詞。
きっと本当に腐ってる。

美しくあるのは、心に居る時だけ。

口から生まれてしまった途端に何か悍ましい、
毒々しい、それであって軽すぎて空に消えてしまう。

何に愛を感じ、何に愛を感じられなくなったの?

いっそずっと美しいまま留めておこうか。
#愛 #腐ってる #美 #好き #コラム #小説

飼われている彼

飼われている彼

付き合ってもう何年経ったんだろうね?

週に1回は会うようにしてる。

一緒に寝る時は手を繋いで寝る。

もうあんまり私に触れてこないね。

たまに軽くおでこにキスをしてくるね。

私は知っているよ。
あなたが私のおでこにキスをする日は

罪滅ぼしのキス、

私の知らない女の子をあなたは触った。

この同じベットの上であなたは動物になっている事を。

あなたは知らない。

私がその動物

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色っぽい声

色っぽい声

深夜2時過ぎ、

繁華街の少し外れに住んでいる私。

蒸し暑い今日は窓を開けて、Jazzを流しながら赤ワインを開けてみたり。
車の音が聞こえる。

外は眠らない。
ホステスの今日はありがとね。また。と色っぽい声が外から聞こえる。

見送られたタクシーの中の客の人生を想像してしまった。

家族はいるのか、はたまた独身か。
家まで送るという事は浅い客ではないなとか。

毎日違う音が聞こえる。
#短編

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寝息を聞かせて

寝息を聞かせて

これからも彼を愛し続けると信じながら
目的地に向かう。

実際に会うと会えない期間に思い描いていた、
彼とは違う。

私は誰に会いたかったんだろう?

会えない時間に作り出した別の誰かがいるのだろうか。

彼の話を聞きながら、会えたはずの本来の彼を想像してしまう。
あなたは誰?

私が会えたのは、私が愛せたはずのあなたはどこ?

本当の彼を探しに出かけるべきか、目の前の彼を本物と信じさせるか。

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愛を残したまま別れよう。

愛を残したまま別れよう。

脳内で何回も繰り返してるセリフ。
いっぱい練習した。あなたとの別れを。

言いたいことも伝えたいことも沢山ありすぎて、
泣きじゃくって話せないんじゃないかって。

あなた以上に誰かをを愛せる日はもう来ない。

でもあなたと一緒にいると私は永遠に後悔して生きる事になる。あの時別れておけば良かった。
そう思った時にはもう遅すぎる。

別れないで後悔して、愛が消えるなら
別れて後悔して愛を残した方が幸

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衝動

衝動

何も無いのに時々猛烈な不安に襲われる。

みぞおち辺りにジリジリと何かが走る。

漠然としたこの〈何か〉は理性を不安定にさせる。
どうにでもなってしまえ。って思ったりする。

今ある全てを捨てて中身を綺麗にしたい衝動に駆られる。
中身には一体何があるんだろう?
この体の中をめぐるジリジリとした感覚の正体は?

自分自身の力で片付けれればいいのに。
いつも誰かに求めてしまう。

この不安を取り除いて

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壊れた二人

壊れた二人

いつから壊れてしまったのだろう。

あなたに会う約束をしたその日から、
会うまでの間の時間さえ愛おしかった
あの感情はもう感じられないの?

何を恋とか愛っていうのだろう。

寄り添っていたい、側にいたい。
ただそれだけだったのに。

許しても、許しきれない。

彼を許してしまったあの日から私は汚れている。

好きだから許そうと思った。

憎しみと愛しさが混合した。

洗っても洗っても消えない。

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