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寝息を聞かせて

これからも彼を愛し続けると信じながら
目的地に向かう。

実際に会うと会えない期間に思い描いていた、
彼とは違う。

私は誰に会いたかったんだろう?

会えない時間に作り出した別の誰かがいるのだろうか。

彼の話を聞きながら、会えたはずの本来の彼を想像してしまう。
あなたは誰?

私が会えたのは、私が愛せたはずのあなたはどこ?

本当の彼を探しに出かけるべきか、目の前の彼を本物と信じさせるか。

愛しかった寝息を探して。

自分が誰かさえも分からなくなっていく。

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