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- 詩 -

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三日月

三日月

ぼくのちいさなあしあとが

三日月にむかってのびている

夜の国 輝く城

ここは時間の流れが

現実とはちょっとちがう

ぼくは 流れる水面にうかんだ

葉の船にのりこんだ

ゆらゆら 夢を見ているよう

ここでは涙も月の光に変わる

たくさんの思いを船にのせて

流してゆく

辛いことも 苦しいことも

ここではありのままのぼくになれる

三日月の夜 夜が明けるまで

いまはこのままで

ゆれ

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モラトリアム

風の足音がきこえる

春の芽吹きがそっとうごきはじめた

ため息が空に吸い込まれていく

子供の走る声 バイクが横切る音

ああ

消えたくてもお腹は空いて

時は進む ぼくの気持ちを置き去りにして

どこにいればいいだろう

僕の居場所はあるの?

お日さまのしたで みんな生きてる

ああ

暗いトンネルにも出口はありますか

ここにいてもいいですか

パンを食べる 美味しいと思う

生きている

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心の鏡

心の鏡

詩は心の鏡だ

ぼくの心をうつして文字になる

ぼくは声に出すのが苦手だから

文字に書いてたくすんだ

これをよんだ誰かに伝われって

ぼくはまた書くんだ

悩みを吐き出すように

紙に文字を書くんだ

それが詩になって

ぼくをうつしている

生きる覚悟

生きる覚悟

生きる覚悟をしなくちゃならない

この先どんなことがあっても

根っこが一本だけでは

そこが折れた時、倒れてしまうから

根っこはたくさん持っていい

逃げ道はたくさんあっていい

だから、ひとつが折れても倒れないで

生きていく覚悟をしなくちゃならない

面倒なことも退屈なときもあるかもしれない、けど

折れても逃げてもいいから生き延びて

いつか頂上についたとき

「生き延びてやったぞ!」と

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生きるのはつらい

生きるのはつらい

やりたいことが分からなくて

どうやって生きたらいいのかネット検索してた

啓発本を買っても最初の数ページしか読まず

筋トレも続かない

僕はどこへ行きたいのか

なにをしたいのか

わからないまま逃げているだけ

生きるのはつらい

でもそんなの僕がそう思っているだけだ

サイコロみたいに

きっと裏側は違う世界のはず

僕はどうしたいんだろう

ーーわからないまま時計が進む

僕はどこにいけ

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明日に咲く花

明日に咲く花

明日に咲く花

女の子はたねをまいた
きれいな花が咲くたねをまいた
まいにちお水をあげて
だいじにだいじに 育てた

やがて芽がでて
双葉がひらいた
お水をあげて きらきら光ってる
本葉がでてきて
つぼみができて

もうすぐ咲く もうすぐ咲く
けれど花が咲く前に
女の子は恋をしてしまった
彼の声 彼の手 彼の指先に
恋をしてしまった

お花は咲いた
きれいな花が咲いた
つぼみが増えて
3りん4りん

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40分の家出

40分の家出

家から飛び出した

街は気づかないうちに秋から冬になってた

うろこ雲が夕日にひかって

どこに向かうでもなく自転車を走らせた

冷たい風をきって廻る車輪

家には帰りたくなかった

頑張るだけの家

重たいだけ

頑張るのは嫌い

家が変わればいいのに

そうだ

僕が逃げ出さなくても済む家になればいいんだ

外には居場所なんてない

帰りたい家になればいいんだ

帰ろう

そうだ

ハンバーガ

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引き出し

自分の引き出しに入りきらないぐらいの

モノを持って

奥に何があるのか忘れたまま

ボクらはしあわせって呼べるのかな

大切なものをどこにしまったのか

わからないままで

ポケットにものを詰め込みすぎて

穴があいたみたいに

詰め込みすぎた心に

感情のブラックホールがあいている

真面目な死に損ない

朝が来て家を出る 仕事をして夜になる

安い缶チューハイのんでコンビニ夜食

夜が沈んで朝が昇る

階段を一段一段のぼるように

毎日を一歩一歩登っていく

真面目の死に損ないが地を這いながら

白黒の日々を一枚一枚飾ってく

溜まってゆく洗濯物

流しがカピカピに渇いてる

傘から雨の雫が垂れて

時計の針が進んでく

真面目な死に損ないが藁にしがみついて

急流の日々に流されていく

満たされたい

満たされたい

満たされたい 満たされたい

お腹が空く のどが渇く

満たされたい 満たされたい

お金を払う 物を買う

満たされたい 満たされたい

愛してると囁く 肌と肌を重ねる

満たされたい 満たされたい

朝まで眠る 心地よい布団で眠る

満ち足りない 満ち足りない

もっともっと もっともっと

溺れていく 沈んでいく

満たされたい 満たされたい

足るを知らない 学を知らない

満ち足りない 

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かんぺき

かんぺきじゃない自分を

手に入れよう

はじめてでも 失敗しても

大丈夫 明日は新品の一日

かんぺきじゃない自分を

受け入れよう

他のだれでもない自分を

だきしめて

きみはきみで、ぼくはぼくなのさ

それがこの世界のほんとうに大事なこと!

好き

好き

好きだって言った言葉の数

可愛くなれたらいいのにね

好きだって言われた言葉の数

あなたを好きになる

今日も近くのあなたを好きだって言う

明日も遠くのあなたを好きだって言う

言葉の数は真珠みたいに連なって

首飾りになってわたしとあなたを繋ぐの

指先からこぼれる "好き"

視線からとらえる "好き"

振り向いてこたえて "好き"

カメラの向こうにいる "好き"

好きで好きでぐち

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秋の匂い

あの頃の秋の匂いがしたけど

あの頃の秋はもう2度とこない

夢で見た子犬を探して土手にきたけど

もちろんいないものはいなかった

さみしい、さみしいとこぼした想いが

足にまとわりついて引きずっている

また明日、晴れるかな