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お迎え特殊課の火車9
第9話 天網恢恢、自業自得とはこのことかねえ(六)
「おや、そんにゃことが出来るのかい。さすがは国中に名前が知れ渡っている有名陰陽師にゃ神様だねえ」
葛乃葉の隣に現れた安倍晴明公に気安く声を掛ける火車。
「ええ。火車さんもご健勝ですね。――で、私は火車さんにお願いがあるのですよ」
晴明は、柔和な笑顔で火車を見ながら言った。
「にゃんだい? 神であるアンタがアタシにお願いだにゃんて、
お迎え特殊課の火車8
第8話 天網恢恢、自業自得とはこのことかねえ(五)
病室の、ベッドの上には瀕死の罪人。
火車とクロベエ直属の上司葛乃葉と睨み合う。猫耳美少女フィギュアの九十九神に成った白猫。
それは昨年の梅雨頃、火車がやらかした失敗だった。
亡者のお迎えの最中、まだ寿命が大いに残っている白猫をうっかり驚かせ、ショック死させてしまったのだ。
おまけに、その白猫が、とある施設に置かれたフィギ
お迎え特殊課の火車7
第7話 天網恢恢、自業自得とはこのことかねえ(四)
火の車の荷台には四体の亡骸。
と四人の亡者が特殊なロープでぐるぐる巻きにされて転がされ、同じく特殊なガムテープで口を塞がれ踠いていた。
が、そんな些末な事柄なぞ気にもかけず、火車は本日最後のお迎えに行く。
目的の場所は病院だ。
件の亡者は、まだ亡者ではなく生きている。かろうじて、ではあるが。
正月三ヶ日が明けた一月四日
お迎え特殊課の火車6
第6話 天網恢恢、自業自得とはこのことかねえ(三)
出棺の時間が近いらしい。
クロベエは出入り口付近まで悠々と歩いて行く。
棺を乗せる車と出入り口の距離は近い。
出棺が始まり、遺族や親しい人々が斎場から棺を運び出して来る。
その中には葬祭会館の職員の姿もあるが、職員達は火車の伝説を知っているだろうか?
『亡骸を火車に取られるは一族の恥』
火車にはそんな伝説がある。
お迎え特殊課の火車5
第5話 天網恢恢、自業自得とはこのことかねえ(二)
「……それから、神社の御奉神は菅原道真公です」
菅原道真公。
現在は学問の神として有名だが、元は日本屈指の怨霊だったお方だ。
火車は思わず火の車を停止させて叫んだ。
「そいつらはどれだけ馬鹿にゃんだい!」
火車の怒鳴り声を聞いて、クロベエは思わず耳を塞ぐ。
「俺に怒鳴らないで下さいよ……」
まさか、菅原道真
お迎え特殊課の火車4
第4話 天網恢恢、自業自得とはこのことかねえ(一)
白に幾房かの黒い部分が混じった長髪。着物を着た三十歳そこそこの色気のある美女が、赤い炎に包まれた黒いワゴンを操っている。
美女の名は火車。
死後、閻魔大王の裁判をするまでもなく地獄逝きが確定している亡者を、自らが操る名前通りの『火の車』――昔は牛車だったが時代に合わせてワゴンに変化――に乗せて、地獄まで運ぶ仕事をしている。
火