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今日のうんち

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食べたら、でるもの。なにかを食べては、今日も出す。 2018年4月16日よりまいにち更新される、白川烈が書くエッセイです。 クサいときもあるかもしれませんが、それはご愛嬌で。… もっと読む
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2023年12月の記事一覧

おおつごもり

おおつごもり

*あっちゅーまに大晦日。今年最後の日を迎えました。昨日も書きましたが、年末の空気感が苦手なぼくからすると、この空気感が終わるのか!と思える嬉しい日であります。明日は正月。美味いものを食べすぎたりしても、誰にも怒られない日だしね。

大晦日といえば、「年越しそば」ですな。うちは子供の頃からなんだかんだでそばを食べさせてもらっていた気がする。二十歳を超えてからは、特にそういう「しきたり」めいたものは毛

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年末限定社交辞令

年末限定社交辞令

*昔からずっと年末が苦手だった。この「一年が終わっていく感じ」にずっと慣れない。やり残したことが山ほどあるような気がして、この一年で自分は何かできたのだろうかと、振り返って後悔や反省がたくさん出てきてしまうのだ。これはもはや性分なので、慣れているのだが、この年末総決算はなかなかずーんとくるものがある。さみしいんだよなぁ、年末って。

今年の年末はけっこうバタバタしていて、気付けば30日になっていた

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生活の足し

生活の足し

*「生活の足し」ということばがある。これひとつで意味を成す言葉ではないので、「生活」と「足す」という二つの単語から成り立っているわけだ。ふと喫茶店でこのことばが耳に入って、「生活の足し」っておもしろいなぁと思ったのだ。

「これ、生活の足しにしなさい」なんて言われて、お金を受け取ったりするなんてこともあるかもしれない。「生活の足しだと思って、絵を買ってね」とかもありそうだ。「これっぽっちじゃ、生活

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接客という職業

接客という職業

*ぼくが毎日通っている喫茶店には、とても良い店員さんがいる。歳の頃にして20代前半だろうか。彼女は必ず、お会計や飲み物を持ってくるときに、一言添えてくれる。もちろんぼくだけにではない。すべてのお客さんにそうなのだ。彼女は週に二度ほどしか見かけないアルバイトだが、まちがいなくこの店の看板娘になっていると思う。彼女が働いているときの喫茶店は、どこか店内がうれしそうなのだ。

上手なバーテンダーは、お酒

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PERFECT DAYS

PERFECT DAYS

*噂になっていた、ヴィム・ヴェンダーズ監督の最新作『PERFECT DAYS』を観た。役所広司さんの最高傑作と聞いていたが、いやはや、これはたしかに最高傑作なんじゃないか!?と、役所さんの出ている映画ぜんぶ観たわけじゃないけれど、思ってしまうね。2時間近くある映像の中で、終始カメラは彼を捉えていて、そこには役所広司さんではなく、演じている「平山」という男性の生活がずっと、延々と映し出されている。

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町の魅力

町の魅力

*ふと何気なく行き来していた自分の住む「町」を、改めて目を凝らしてみるとおもしろい。駅前にはチェーンの焼き鳥屋の真横に、老夫婦が営んでいる老舗の焼き鳥屋があったり、ロータリーがあるのにタクシーがいつ見てもいなかったり、八百屋が駅の南側に3軒もあったり、商店街には個人店が並んでいるのに、小さな市場はシャッター街だったりする。いざ改めて、自分の住む町を「よそもの」の視点で見てみると、慣れ親しんだ町を「

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お祝い好きの才能

お祝い好きの才能

クリスマスやハロウィンみたいなイベントはさ、「キリスト教徒じゃないくせに!」とかいろいろ言われたりするけどさ。街は人でごった返して、それは大迷惑だったりするけどさ。一歩だけ後ろに引いて見たときに、人間の持つ「祝い好き」のような側面っておもしろいと思うんだよなぁ。なんでもかんでも理由を付けて、お祝いしたり集まったりしたりするでしょ、ボクら。

もちろん祝われるのがニガテという人はいるでしょう。かくい

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みんなで、というクリエイティブ

みんなで、というクリエイティブ

*今年の夏、甲子園を観に行ったときに思ったんだよなぁ。ここにいる人たちはみーんな、真剣に野球を観ているわけではないのだ。酒を飲むために来ているような人もいたり、応援しに来ている人もいたり、データを取りに来ている人もいれば、ただただ趣味で無言で観ている人もいるだろう。そういうさまざまな人たちが集まって、成している群衆が「甲子園」なのだ。根っからの野球好きが集まっている場所では決してないわけで。

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思い出の味

思い出の味

*先日、「紅茶豚」という料理を久しぶりにつくった。この料理は紅茶で豚を煮出して、臭みをとってタレに漬け込むいわゆる「煮豚」なんだけれど、ほとんどの人に言っても知らない。かくいうぼくも、二十歳になるまでこの料理を知らなかった。きっかけは、和歌山にあるクラフトビールの会社の社長が、たまたま友人の家に遊びに来ていて、そこでレシピを教えてくれたのだった。

たしか「思い出の味」についての話をしていたんだと

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入り口と出口の話。

入り口と出口の話。

*「家に帰って、ゴミ箱をのぞいてみてください。ゴミ箱の中と、あなたの身体の中はほとんど一緒ですよ」
いつだったか、どこかのお医者さんに言われたセリフだ。ハッとどこか怖いものに気付いたような感覚になった。のぞかずとも分かるし、言いたいことも即座にわかった。野菜の切り屑、お菓子の袋、いろんな食品や荷物のゴミがゴミ箱には当たり前に入っていて、それらがぼくを形作っている。

食べると自分の血肉になるから分

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春のチカラ。冬の厳しさ。

春のチカラ。冬の厳しさ。

*こちらは大阪。現在の外気温は5℃です。これを書いている僕の部屋の気温は3℃です。おかしい。辻褄が合わない。

急激に寒くなりました。うちの家は築年数が相当ありますから、夏は外より暑いし、冬は外より寒いです。季節からグラデーションがなくなっていって、冗談のように言っていた、夏と冬の「二季」しかないように本当になってきたなぁ。

「冬」ということばには、寒さの持つ厳しさというイメージが付きまといます

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編集とプレーヤー

編集とプレーヤー

*大人ができることのひとつが「編集」なんだと、ここ最近でようやく分かってきた。編集とはつまり、「編む」ことだから、まとめるという意味だ。散らばっているものをまとめる。もちろんただざっくばらんにまとめればいいという話ではない。見やすいように、それの魅力が伝わりやすいようにまとめることが「編集」の役割だ。

たった2歳の赤ん坊に「おもしろいものをつくってくれ!」と言っても、せいぜい絵を描いたりするのが

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私は上司であり部下である

私は上司であり部下である

*仕事で部下を持ったり、教育係についたりなんかすると、自分に付いている人へ何かを教える必要が出てきます。何も会社勤めの話だけじゃなくても、バイトとか部活とかでもそうだったでしょう。まだ右も左も分からない後輩へ、仕事の流儀や進め方を教えるのは、先輩の義務のようにも思います。

で、ここで教えるのが上手い・下手が出るのがおもしろいなぁと思うんですよ。同じマニュアルを教えているはずなのに、この人の教え方

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1年かけてできることを増やす

1年かけてできることを増やす

*これはもう、毎年毎年飽きることなく、口すっぱく年末に書いているんだけれど、ちょっと本気で自分を叱ってでもやろうと思う。一年にひとつ、何かができるようになること。自転車に乗れるでも、けん玉ができるでも、画像編集ができるようになるでも、なんでもいいわけですよ。それを年末に決めて、翌年にそれをできるようにしてやろうと意気込むのだけれど、本当にすっかり抜け落ちて忘れてしまっている。これはよくない。よくな

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