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今日のうんち

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食べたら、でるもの。なにかを食べては、今日も出す。 2018年4月16日よりまいにち更新される、白川烈が書くエッセイです。 クサいときもあるかもしれませんが、それはご愛嬌で。… もっと読む
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涸れた泉

涸れた泉

*最近、もっぱら文章を書く手が止まってしまう。毎日書いているこの文章もそうだし、毎週書いているエッセイもとうとう書く手が止まってしまい、ストックがなくなって取って出しの自転車操業になってしまった。泉が涸れてしまったかのように、同じ場所を掘っても掘ってもついに何も出てこなくなった。この状態は怖い、怖すぎる。掘っても掘っても自分には才能がないことを、掘れば掘るほど痛感させられてしまうようだ。

昔、大

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青虫、サナギになる

青虫、サナギになる

*昨日は久々にMy地蔵と会って話をした。My地蔵というのは、僕がいちばん心が近いと思っている年上の先輩のことだ。僕にとってお地蔵さんのような人なので、My地蔵と呼んでいる。彼とは数ヶ月おきに会っては、数時間ぐらいおしゃべりをする仲だ。マジメなことから不真面目なことまで、行き来しながらたくさん話をする。

「最近どうですか?」とざっくばらんに質問を投げると「サナギなんだよなぁ、最近」と返ってきた。そ

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笑顔で意見を述べること

笑顔で意見を述べること

*今年1年で身につけたいと思っているテクニックというか、スキルのようなものがある。ブラインドタッチでも、魚を捌くことでも、そばを打つことでもない。それは相手と反対意見を出したり、相手の意見に対して否定的なリアクションをするときに、「にっこりと笑顔で反対意見を言う」という、ものすごく局所的なスキルだ。

僕の欠点でもあるのだが、相手の意見に対して反対の意思があったり、ちょっと違うかなぁと思ったときに

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アップデ干支

アップデ干支

*突然ですが、「干支」ってあるじゃないですか。そう、あの干支です。12個あるアレです。ね、うし、とら、、、えーっとって思い出せないときに言っちゃうアレです。

子(ねずみ)、丑(うし)、寅(とら)、卯(うさぎ)、辰(たつ)、巳(へび)、午(うま)、未(ひつじ)、申(さる)、酉(とり)、戌(いぬ)、亥(いのしし)の十二支で干支っちゅーわけですな。どうしてこの十二匹の動物たちが選ばれたかって、一説では

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「実力」ではなく「出力」という考え方

「実力」ではなく「出力」という考え方

*知り合いのアートディレクターの方の研修を受けて、中でも目からウロコな言葉があった。それが「100%の実力ではなく、150%の出力をしてもらえる環境をつくる」という言葉だった。その言葉がスライドで映されたときには、もう真正面から右ストレート一発KOで、その場に倒れ込みたいほどくらってしまった。

「実力」ではなく「出力」なんだと。今までそんなふうに考えたことはなく、出されたものに対してどうか?とい

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うつくしい街

うつくしい街

*電車からゆるやかに流れる街並みを見ながら、思った。当たり前だが街はカラフルだ。建物によって色が違うし、そこに建てられている看板やポスター、「〇分〇〇円!」と書かれている謳い文句の紙の色も違う。建物も白や茶色がベースかと思いきや、意外にそうではない。青も緑も赤っぽいのもあれば、広告で埋め尽くされた壁はその広告の色が主体となっている。

街並みの色がカラフルなのは、つまり建物一つ一つの色が違うのは、

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ジャイアントパンダの音感

ジャイアントパンダの音感

*声に出して読みたい日本語って、見つけたら嬉しくなるよねえ。語呂やリズムが良いというのかな、ついつい何度も口にしたくなる言葉ってのがある。この前見かけた看板で「ジャイアントパンダ国家公園」というものがあって、思わず歩きながら何度も復唱してしまった。ジャイアントパンダ国家公園。語呂も語感も気持ちいいし、意味合いもすごく素敵だ。本当にあったなら行きたい、ジャイアントパンダ国家公園。

こういう語感の気

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他人の成長日記

他人の成長日記

*お手伝いしている会社で、半年前に初めて「部下」なるものができた。プロジェクトも被っていて、お互いに業務委託での外部の人間だったこともあるが、それ以上に人としての感覚や大事にしたい部分などが重なることもあり、非常にやりやすかった。歳は5つほど離れていたし、僕も先輩ヅラをしたいわけでも、そもそも「先輩」としての立ち居振る舞いなど分からないので「上司・部下というよりも、横一線でお互いに足らない部分や指

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食っても食い切らぬ楽しみ

食っても食い切らぬ楽しみ

*何かを学んだり、極めようとしたりすることは、本当に果てしない終わりのない道だ。それは、歩いた距離が長ければ長い人ほど、そのことを痛みいるように知っているのだと思う。これができたら、次はあんな疑問が生まれただとか、あれができるようになったら次はこの技術が目の前の壁になっただとか、その技術のおかげで見える範囲が広がって、さらにいろんなことを考えなければいけなくなっただとか。そういうことは、本当に往々

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ギャルの時代

ギャルの時代

*さいきん友人たちと話していて、なぜかもっぱらテーマに上がる言葉がある。「ギャル」だ。「ギャル」なのだ。仕事の話していても、不真面目な話をしていても、なぜか最近「ギャル」がクラスの中心に君臨するように、話題の中心にくる。いま、ぼくの周りでは、いや地球では「ギャル」が流行っているのかもしれない。

今日も知り合いのアートディレクターと「心の中にギャルを棲ませたい」という話になった。ギャルは「凹まない

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天性のあまのじゃく

天性のあまのじゃく

*ぼくは本当に根っからのあまのじゃくな性格をしてしまっているので、たいていその場の空気や流れと逆のことを考えたり思ったりしてしまう。今日も、会議や雑談の中身がすっごくマジメなものになっていたのに飽き飽きとしてしまって、ひとり頭の中で「なんの食べ物なら気持ちよく寝れそうか?」などと考えてしまっていた。ちなみに答えは天津飯である。炊き立てのご飯が敷布団になって、ふわとろたまごはこれ以上ない掛け布団です

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自分の言葉で伝えない

自分の言葉で伝えない

*人に何かを「伝えたい」と思ったとき、本当に使うべきことばは「自分のことば」ではなくて「相手のことば」でいかに説明できるかなんですよね。これ、ぼくもよく勘違いして「自分のことば」で自分の伝えたいことを、世界観を、メッセージを伝えようとしてしまうんだけれど、それはあくまで「自分のことば」なので、自分以外の人には伝わりにくいんですよ。それが最初から歯車が合っているみたいに伝わっている人なら、そもそも苦

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絵を描く筋肉

絵を描く筋肉

*小さい頃、絵を描くのは好きだったが得意ではなかった。というよりむしろ、ヘタな部類だったと思う。猫を描いたらタヌキと言われ、犬を描いたらキツネと言われる始末。しまいには中学の美術の授業で、先生から「君は絵は下手だね」と言われて明らかにやる気を失ったのを憶えている。いや、先生のせいにしてもいけない、そう言われてもやり続けるだけの熱量が自分にはなかっただけだ。

広告やコピーの仕事を担当していて、さい

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かっこつけ仕草

かっこつけ仕草

*知り合いに、よく髪をかき上げる仕草をするやつがいるんだけどさ。そいつはもう、その仕草をナルシスト的に、カッコつけてやってるのがバレバレなんだよね。本人にも言ってるし、認めてるからいいんだけれど、もう明らかにカッコつけた「かき上げ」なんだよ。自然じゃない、不自然な感じがおもしろいのでいーんだけれど。

さんざんそいつをいじっていたけれど、かくいう僕も、そーゆー「かっこつけ」みたいなものはあるっちゃ

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