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ジャイアントパンダの音感

*声に出して読みたい日本語って、見つけたら嬉しくなるよねえ。語呂やリズムが良いというのかな、ついつい何度も口にしたくなる言葉ってのがある。この前見かけた看板で「ジャイアントパンダ国家公園」というものがあって、思わず歩きながら何度も復唱してしまった。ジャイアントパンダ国家公園。語呂も語感も気持ちいいし、意味合いもすごく素敵だ。本当にあったなら行きたい、ジャイアントパンダ国家公園。

こういう語感の気持ちよさは、個人的に中華料理に多い気がしている。中華料理屋のメニューなんて読んでたら、ほとんど声に出したくなるようなものばかりだよ。「天津飯」とか「ワンタンメン」とかさ、「ん」の音が続くと、縦のリズムが加わって気持ちいいんだよなぁ。今まで見た中でいちばん気持ちよかったのは「麻辣坦々麺半チャンセット」だ。マーラータンタンメンハンチャンセット。言ってて美味しい、食べても美味しい究極のセットじゃあるまいか。

シンガーソングライターという職業の人は、自分で歌詞とメロディをつくって、それを歌にするわけだ。僕みたいな素人は「どっちから先にできるんですか?」とついつい聞いてしまいがちなんだけれど、ほとんどの人が「どっちというか、どっちもなんですよね」と言う。仮の言葉をメロディに当てはめたりしているうちに、メロディをハミングで口ずさんでいるうちに、その「音」とバチっとハマる言葉が見つかるんだそうだ。

当たり前だけれど、言葉は「音」だから、意味と同じようにそこに「音感」も存在するわけで。その「音」が楽器から演奏されるメロディとハマるかどうか、さらにいえば言葉の音だけでメロディができるかどうか?という作業をしているミュージシャンたちはおもしろいなぁと思う。いったいどんな感覚でつくっているのか分からないし、脳のどの部分を使っているんだろう?

例えば最近流行っている短歌にしたって、あれは音感もすごく大事だよなぁと思うわけでさ。本のタイトルだって、音感の良いタイトルはやっぱり気になっちゃうもんなぁ。字面を見たときにスッと「音」が入ってくる言葉ができたら、それは良い発明だとも言えるわけでさ。

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