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町の魅力

*ふと何気なく行き来していた自分の住む「町」を、改めて目を凝らしてみるとおもしろい。駅前にはチェーンの焼き鳥屋の真横に、老夫婦が営んでいる老舗の焼き鳥屋があったり、ロータリーがあるのにタクシーがいつ見てもいなかったり、八百屋が駅の南側に3軒もあったり、商店街には個人店が並んでいるのに、小さな市場はシャッター街だったりする。いざ改めて、自分の住む町を「よそもの」の視点で見てみると、慣れ親しんだ町を「ヘンだなぁ」と思ってみたりする。

チェーンの飲食店とか、パン屋とかスーパーとか駐車場とか、どこの駅でもあるようなものばかりで構成された「町」に魅力はなかなか感じづらい(そういう、取って代わられるような町、というカウンター的な魅力はあるかもしれないが)。かといって「うちの町はぜーんぶ地域のオリジナルの店舗です!」というのもどこかうそくさいし、それはそれで住人からすると困るだろう。どこに行っても売っているもの、どこでもこの価格で手に入るものがなければ、実際に住みづらいのはたしかだ。

あ、そうだ。結局のところ、町のおもしろさって「人」なんじゃないか。「おもしろい場所」を運営しているのは「おもしろい人」なのだ。パン屋でも酒屋でも豆腐屋でも塾でもブラジル語教室でもなんでもいい。そこがおもしろいわけは、おもしろいことをやろうと思ってやっている人がいるからおもしろいわけだよね。そういう場所や人は、どこの地域でもちゃんと存在しているものだ。くまなく歩いて、くまなく話を聞けば、おもしろい人っている。ぼくの体感覚だけれど、統計をとってみてもちゃんとしたデータがあるような気さえする(どうやって統計を取るのかは知らんが)。

どこの町にもおもしろい人はいるし、人がひとりその地域に住み着くだけで、わっと盛り上がる地域だってあるだろうね。でもそれは、その人がひとりでおもしろいことを頑張ったというより、今まで隠れていたおもしろい人たちをまとめたり取り上げたりしたんじゃないかなぁ。店を盛り上げることは一人でできても、町を盛り上げるって一人ではなかなかできないもの。

「まちあるき」って、たったそれだけでコンテンツになりそうだよなぁ。ガイドなんていなくたっておもしろくなるし、足と頭をぐるぐる使いながらやると、おもしろくない町なんてなかったりするかもしれない。

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