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PERFECT DAYS

*噂になっていた、ヴィム・ヴェンダーズ監督の最新作『PERFECT DAYS』を観た。役所広司さんの最高傑作と聞いていたが、いやはや、これはたしかに最高傑作なんじゃないか!?と、役所さんの出ている映画ぜんぶ観たわけじゃないけれど、思ってしまうね。2時間近くある映像の中で、終始カメラは彼を捉えていて、そこには役所広司さんではなく、演じている「平山」という男性の生活がずっと、延々と映し出されている。

ネタバレにならないよう気を付けて書くが、これはもう、うつくしい映画だったなぁ。淡々とした毎日の中に埋もれているうつくしさ。自分の平穏、生活、満たされているという実感。足るを知る、とも近いのかもしれない。ああいうふうに生きている大人を、ぼくは何人か知ってるよ。ああいう大人が、僕は大好きだ。不器用なだけでちょっとやさしい人。自分にとって何が幸せなのかを、分かりきったような人。

映画というより、長い長いCMやミュージックビデオを観終わったような感覚でした。それぐらいメッセージ性がいい意味でないというか、こちらが歩み寄らないとその光にまで辿り着けないというかね。それぐらい役所広司さんが「平山」というごく普通のおじさんで、美しすぎない美しさというか。本当にただのなんでもないシーンで、涙がぽろぽろとこぼれてしまった。上映期間中にもう1回は観たいと思っているが、そのときは同じようなまったく違うシーンで、同じような涙を流してしまうだろう自信さえある。

ああ、ほんとうにいい映画だったなぁ。いつどこでどうブツっと終わってもいいくらい、いい映画だった。僕は人生であと何本、こんな素晴らしい映画を見れるんだろうなぁと、さみしさとよろこびを同時に抱えて帰るほど、素晴らしい映画でした。

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