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今日のうんち

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食べたら、でるもの。なにかを食べては、今日も出す。 2018年4月16日よりまいにち更新される、白川烈が書くエッセイです。 クサいときもあるかもしれませんが、それはご愛嬌で。… もっと読む
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2023年11月の記事一覧

地動説では動かないもの

地動説では動かないもの

世の中には一定数、「自分の常識が世界の常識」だと思っているフシの人間がいる。これ、「常識」ってことばにしたけれど、「考え」や「思想」とか「評価」とか「好き嫌い」、「信じてるもの」だっていいですよ。そういう「自分基準」みたいな、地動説を地でいくような人って、何人か思い浮かんだりしませんか。僕の周りでも、数人います。

あなたの世界では、あなたの考えでいいのだけれど、わたしの世界では、わたしの考えがあ

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あなたのコンプレックスは?

あなたのコンプレックスは?

*ぼくにはそのときどきで「ハマっている質問」がある。半年くらい前は「さいきん見直した野菜ってありますか?」だったし、3ヶ月ほど前は「誰かが心にやわらかく触れてくれた瞬間っていつですか?」だった。そのほかにも、自分なりの質問がいくつか頭にメモされている。この質問を考えたり、思いついたときがいちばん楽しいんだよなぁ。この質問、あの人にもこの人にも、あいつもどいつも聴いてみたい!ってなるもの。

最近の

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偲ぶということ

偲ぶということ

*去年から始めた風習として、誕生日には「遺影」を撮りに行くことにしている。できれば毎年、死ぬまでつづけていきたい風習だ。祝われるのが苦手なので誕生日はもちろんどう過ごしていいか分からなかったが、この「遺影撮影」をはじめてからだいぶラクになった。大切な人にサクッと遺影を撮ってもらう。その枚数が増えれば増えるほど、僕は生き続けたことになる。

近くにいい場所を見つけたから、と案内されるがままに行き、今

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遺影を撮りにいく誕生日

遺影を撮りにいく誕生日

*さて、私事ではありますが、本日で29歳になりました。歳を重ねてくって、重ねれば重ねるほど本当に一瞬なんだな。28歳の誕生日も、本当についこないだのように思ってしまう。うかうかしていたら、うかつに歳をとる。一歩一歩のあゆみをきちんと踏みしめていないと、と毎年思うのだけれど、できたことなんて一度もない。きっとこれからもうかつに一年が過ぎ、うかつに歳をとっていくのだろう。

数年前から、もう「若い」と

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それぞれのうつくしさ

それぞれのうつくしさ

*昨日、手伝っている会社の後輩と飲んだ。彼女は会社の中でも唯一気が合うメンバーで、僕が話すといつも誰より早く頷いてくれる。いわゆる、相性がいいのだ。同じプロジェクトを持っているが、わりと阿吽の呼吸で物事を進めてくれる。

つい先日、会社のメンバーに「自分の哲学とか大事にしていることって何ですか?」という質問を投げた。その場では誰一人帰ってこなかった。あるけれど黙っていたのか、なかったのかは分からな

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まつ、しんじる

まつ、しんじる

*昨日は大阪・熊取町で行われたマルシェ「オリナスジカン」にて、絵本づくりのワークショップでした。昨年から開催されたこのマルシェ、初回から誘っていただいて、今年もお声がけしてもらい、やることに。去年も思ったけれど、本当にいいマルシェなんだよなー。車じゃないと来れないような場所に数千人が集まるし、手作り感がいいんだ。本当に素敵なマルシェですよ、これ。

ワークショップは、1時間15分の中で絵本をつくる

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揺れ動いてるか?

揺れ動いてるか?

*ぼくが言葉を使った職業であることを加味しても、それにしたって「音楽」への嫉妬がはげしい。音楽ってのはいいよなぁ、言葉が通じない人とも肩を組めるし、言葉の意味がわからない曲でさえも、感動して涙が出たりしちゃうんだから。いちばん尊敬している人にも、「音楽ってずるいと思うんです。どう思いますか?」みたいな質問を最初にしちゃうくらい、ぼくは音楽が好きだし、憧れているし、嫉妬しています。

でね、人間をこ

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まちあるき集

まちあるき集

*近頃、街のクリーニング屋さんの看板を撮ることにハマっている。ただのクリーニング屋ではない。営業しているかどうかもわからないような、老舗のクリーニング屋の看板だ。そういうところの看板はおもしろい。年季が入りすぎていて、汚れまくっていたり、褐色していたりするのだ。まず「クリーニング」と言い張る前に、あんたがクリーニングされてきなさいよ、と言いたくなるような看板で、あれがいいんだよなぁ。今確認してみた

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まがりにまがりくねった樹

まがりにまがりくねった樹

*人生でたびたび、まがりにまがりくねった樹を見つけては、軽く感動してぽかーんと眺めてしまうことがある。ああいう樹が、ぼかぁ大好きだ。どでかい樹より、ぶっとい樹より、神々しい樹より、曲がり曲がった樹が大好きだ。上へ上へ伸びようと思ったのに、天井があったり屋根があったりして、方向を変えては伸び、また方向を変えては伸びを繰り返しているうちにおおきくなった、まがりにまがった樹。

そんな樹に見惚れながら、

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人生は壮大なコントだ

人生は壮大なコントだ

*先日、お世話にしかなっていない人に、とある偉い人を紹介してもらった。といっても、僕から紹介してくれと頼んだわけではない。なかば無理やり「紹介するよ」と言われ、断れず、待ち合わせの10秒前までイヤだなと思いながら向かった。待ち合わせの10秒前まで悩んでいる出会いに、いい出会いなんてあるわけがないことをこの時点で分かっておくべきだったのだ。

僕と親ほど歳の離れたその人は、お店について挨拶するなり、

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文字通り「ともにつくる」こと

文字通り「ともにつくる」こと

*障害のある人もない人も楽しめる福祉フェス「ミーツ・ザ・福祉」に今年も遊びに行ってきた。去年はボランティアで終日はたらいていたけれど、今年はふらっと遊びに。前回同様、あの独特な空気感は唯一無二のものだよなぁ。でっかい野球場を貸し切って、縁日やブースがたくさんあって、そこに車椅子や目の見えない人、へんてこな格好をしている人、大人や子どもがたくさん入り混じって過ごしている。目を凝らして見れば見るほど、

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マナーの一言

マナーの一言

*昨日は九州から、アートディレクターの佐藤瞳さんが来られていたので、夕方から神戸をぶらぶらと案内した。

廃業する銭湯を常連が引き継ぎ、リニューアルされた飲める銭湯「湊河湯」。番台をなくしてロビー空間を作り、そこに立ち飲みスペースを設けているのがおもしろい。立ち飲みしてから風呂に入ってもいいし、風呂に入ってから飲んでもいいよね。なんなら、飲んでから風呂に入って、出てからまた飲んだっていいわけだし。

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MY地蔵盆

MY地蔵盆

*この前、なにかの打ち合わせの帰りに「そういえば地蔵盆って今でもあるのかな?」と思い出したように言うと、その場にいた6人全員に「地蔵盆ってなんですか?」って聞かれたんですよね。年齢も20代から50代までバラバラで、出身も違ったり同じだったりするのに、聞かれたんですよ。え、地蔵盆ってないの?って思って調べたら、あれ関西地域がほとんどなんですね。知らない方のために説明しておくと、子供が地域のいろんな地

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焦げた肉を好きになった理由

焦げた肉を好きになった理由

*子供の頃、家族でよく行く焼肉屋があった。食べ盛りの僕と弟、妹と父母の5人でよく行っては、じゃんじゃん焼いてじゃんじゃん食べていたのをふと思い出した。年に二度は連れて行ってもらっていたはずだ。はずなのに、今はもう名前すら思い出せない。記憶にあるのは、焦げた肉を食べる母の姿だけだ。

一枚一枚きれいに焼いて食べるほど繊細な家族ではないので、来たお肉をテキトーに網に乗せて、焼けたものから取り合っていた

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