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今日のうんち

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食べたら、でるもの。なにかを食べては、今日も出す。 2018年4月16日よりまいにち更新される、白川烈が書くエッセイです。 クサいときもあるかもしれませんが、それはご愛嬌で。… もっと読む
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2022年12月の記事一覧

2022年の節目に。

*「節目」というものは、なんにでもある。竹にも、時間にも、季節にも、和室にもある(そりゃ、ふすまだっちゅーの)。富士山にだって、何号目だとかあるじゃない。あれも節目。スタートからゴールまでの、キリのいい途中といえば説明になるだろうか。年またぎってのは、きっと1年の中で1番おおきな節目なんだろうな。誕生日を忘れてる人はいても、年越しを忘れちゃう人なんていなそうだ。

「節目」を辞書で引くと「区切り」

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決まって年末は憂鬱な生き物です。

*寒くなってきたら、クリスマスとか正月のことを考えちゃいます。寒さの厳しいのは年を越してからだろうから、寒さの真っ只中では、暖かくなる春のことをかんがえるんだろうなぁ。冬眠してる動物たちは、暖かくなった日の夢を見ながら、ねむりにつくのだろうか。そういえば毎年のように、三月になったら「三月なのに寒いよねえ」って言い合ったりしてますが、そろそろ僕らは「三月は、寒い!」ということを、身に沁みておぼえたほ

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きみは負け続けられるか?

*きのうは、桂九ノ一さんとの落語会終わりに、打ち上げに残ったお客さんを交えながらふたりでこんな話をしていた。「ウケなかったとき、スベッたとき、どうやって自分を励ましたり慰めたりしますか?」なんて、勝ち戦ではなく、負け戦について三十手前の男二人が真剣に語っていたのである。いや、ぼくたちも、まだまだ負けてばっかりなんですよ。

九ノ一さんは、即座に次の舞台を考えて切り替えるという。ただ、やっぱり引きず

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「おりじなる」をどうやって見つけるか。

*少し前に、ある話芸を観に行った。そこで、女性の芸人さんが出ていた。凛としていて綺麗な方で、品格があるのでステージにいるだけで引き込まれてしまう。しかし、正直なところ、その話を聞きながら、シロートがこんなことを言うのも大変恐縮なのだが、「もったいないなぁ」と思ってしまった。ほんとうに、恐縮なんだけどね。なにがもったいないかって、「声」と「話し方」が合っていないように感じたのだった。

漫才でもそう

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いいまちがい対ききまちがい

*ほぼ日さんで、佐渡裕さんの連載が始まった。佐渡さん、近くにお住まいだったと聞いてたり、じつは行きつけのお店が一緒だったりと、なにかと縁を感じる方なんですよね。来年は佐渡さんが指揮棒を振るクラシックを聴きたいな、なんてシロートばりに思っていたところ、この連載ですよ。タイトルは「ベートーベンの第九がよくわかる授業」。これをシロートのぼくは「だいく」じゃなくて「だいきゅう」って読んで笑われたのでありま

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「裏側の質問」遊び。

*「裏側の質問」という、遊び方がある。この遊び方は、みんなけっこうやっているんだけど、意識的にやってみるとおもしろかったり、役に立ったりするものだ。

例えば「好きな食べ物は何ですか?」という質問の裏返しは「嫌いな食べ物は何ですか?」ということになる。好きなものが決められない人に、嫌いなものを聞けば、それ以外はとりあえず好きなんじゃない?といった感じだね。もちろん、そんなことはないんだけれど、「好

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無能の人

*きのう、1991年に放映された、竹中直人さんが主演、かつ初監督の『無能の人』という映画を観ていた。30年も前の作品、映像技術も、時代も、街並みも何もかもに良い意味での「古さ」を感じる。しかも、つげ義春さんが原作なもんだから、その「古さ」に情緒を感じずにはいられない。

竹中直人さん演じる父親と、風吹ジュンさん演じる母親(これがまたキレイでね…)と、お子さんの三人家族の話だ。父親は描いていた漫画が

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わるいこにももちろん、赤い服着たおじさんはやってくる。

わるいこにももちろん、赤い服着たおじさんはやってくる。

*無事、クリスマスがことしもやってきた。よいこもわるいこも、よいおとなもわるいおとなも、どっちつかずの皆さんにもひとしく、クリスマスってのはやってくるもんだね。なんなら、少し早い雪なんて降っちゃったりして。

この日には欠かせない、赤い服を着て、白いヒゲをたずさえたおじいさんのお話がある。そのおじいさんは、シカだかトナカイだかにソリを引いてもらいながら、あらゆる人たちのところへ赴いては姿を見せず、

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「下味」という考え方。

*料理をよくするようになって、いろんな料理本や動画を見ながら作っているのだけれど、ところどころに「下味」という言葉がお出になる。最初はよく分からなかったし、醤油の味付けならお醤油だけをドバッとかけていたのだけれど、少しずつこの「下味」というのが大事なんだと分かってきた。下味の塩胡椒とか、よく揉み込んでおくとかね。

なんというのかな、下味をしておくと、「味の乗り」がちがうのだ。同じ醤油の味付けにし

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素直な人と話すのは楽しい。

*ぼくが話していて、「この人と話すのはおもしろいなぁ」と思うのは、いったいどんな人だろう? と、この前、家までの帰り道に考えていた。どうしてそれを考えていたかというと、なによりもぼく自身が、話している相手に「おもしろいなぁ」と思われていたいからに他ならない。ぼくがそう思われていたいから、ぼくにとってのそんな人を考えてみる。

話すのが上手な人、聞くのが上手い人、そもそも会話がおもしろい人、よく笑う

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宝箱と鬼が同居する。

*いま、いろんなイベントを催している会社の友人と、あーだこーだと揉んでいる企画がある。いや、企画というほど形になっていない。まだ雑談の段階で、粘土をお互いからこねながら、形を模索している最中だ。仕上げの細かい作業より、じつはこういうときが、ぼくは一番楽しい。「なにつくろう?」って言いながら、手を適当に動かしているあの感じ。決まりきっていなくても、手を動かし続けることが鍵なんだよな。

で、その粘土

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緊張と緩和のセンス。

*年の瀬の楽しみのひとつに「落語」というのはいかがでしょう。これぐらいの時期は、落語家さんも大ネタをやってくれたりするものなのです。有名なところで言えば「芝浜」とか「文七元結」だとか、普段はなかなかかけないネタを、年末だからとしてくれる。他にも十二月は、忠臣蔵の討ち入りの日でもありますから、忠臣蔵に関するネタをかけてくれたりなんかね。

ちょうど先日、柳家喬太郎師匠の落語を聴きに行った。十二月の独

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少しずつ他人じゃなくなっていく。

*きのう、どうして接客のあるお店とないお店があるのか、ということを書いた。同じ「モノ」を売るお店なのに、書店に接客はない。薬屋にも接客はない。しかし、服屋さんには接客がある。それは他者からの評価があるモノだということや、店頭に置いてあるものだけが全てじゃないことが理由なのではないか、なんてことをウダウダ書いたものだ。

そのなかで、服屋さんの接客が苦手、という人は一定数いる。かくいうぼくも、どちら

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接客のある店とない店が

*思えば、同じ「モノを売る店」でも、接客のあるお店と、ないお店とがある。たとえば、書店だ。書店に入って本棚を見つめていると、店員さんに「今日はどんな本をお探しですか?」なんて話しかけられたら、きっと驚いてしまうと思う。何回も足を運んでいる書店で、顔馴染みの店員さんならまだしも、初めて入った書店で、初めて見る店員さんが声をかけてきたら、え?と思ってしまうだろうな。でも別に、わるいわけじゃない。

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