「裏側の質問」遊び。

*「裏側の質問」という、遊び方がある。この遊び方は、みんなけっこうやっているんだけど、意識的にやってみるとおもしろかったり、役に立ったりするものだ。

例えば「好きな食べ物は何ですか?」という質問の裏返しは「嫌いな食べ物は何ですか?」ということになる。好きなものが決められない人に、嫌いなものを聞けば、それ以外はとりあえず好きなんじゃない?といった感じだね。もちろん、そんなことはないんだけれど、「好きなもの」に近づくことはできるわけだ。

ぼくがよく使うのは「大事にしていることはありますか?」という質問に対して、裏側の質問をよくする。それが「ゆるせないことや、怒ってしまうことはありますか?」というものだ。大事にしていること、を即答できる人はすくないが、「ゆるせないこと、怒ってしまうこと」なら、少し考えやすくなる。そしてその「ゆるせない、怒ってしまう」ことは、大事にしている何かを無視されたり、ないがしろにされたから、ゆるせなかったり怒ったりするわけだ。反対側から、「大事にしていること」に近づこうとする、裏側の質問である。

なにかひとつの物事について考えるとき、一緒に「その裏側」について考えてみるのは、解像度を上げたり、近付いたりするのに役に立つ。会社で「志望動機」なんて聞かれたりするけれど、逆に「応募しなかった会社に、応募しなかった動機」なら思いつきやすかったりする。しかし、この裏側の質問は、必ずしも「表側」の答えとピッタリ一致するわけではないことには、注意が必要である。

「諦められないものってありますか?」なら「妥協できることってなんですか?」になったり、「仕事のこだわり」なら「仕事と遊びの違い」を聞いてみてもいいかもしれない。聞いてみたいことを、違う角度から考えてみる「裏側の質問」は、訊かれる方も訊く方もおもしろい練習になるよ。そしてなにより、自問自答にいちばん役立つんだよな、この遊び。


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