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わるいこにももちろん、赤い服着たおじさんはやってくる。

*無事、クリスマスがことしもやってきた。よいこもわるいこも、よいおとなもわるいおとなも、どっちつかずの皆さんにもひとしく、クリスマスってのはやってくるもんだね。なんなら、少し早い雪なんて降っちゃったりして。

この日には欠かせない、赤い服を着て、白いヒゲをたずさえたおじいさんのお話がある。そのおじいさんは、シカだかトナカイだかにソリを引いてもらいながら、あらゆる人たちのところへ赴いては姿を見せず、痕跡だけを残していくそうだ。

ただ、あまり知られていないことなのだが、その赤い服のおじいさんは小指くらいの大きさしかない。トナカイはもう少し大きいけどね。ただ、小指くらいのおおきさしかないが、たいへん力持ちなので、軽々といろんなものを持ち上げたり、運んだりできる。赤色は、ちからもちの象徴なのだ。

小さいもんだから、玄関のドアは届かない。仕方がないから、窓のすきまからおじゃましたり、えんとつを通って入ってくるそうだ。そして、ちいさいので、なかなか気付かれない。気付いてもらいたくて痕跡を残していくのだけれど、来た事実だけ知らされて、どうも本人を見たことはほとんどの人がないそうだ。お父さんもお母さんも見たことがない。なにせ、小さいからね。あ、タマって猫とは目が合ったが。

巷では「よいこにしてないと、来ないよ!」なんてウワサされている白ヒゲのおじいさんだが、そんなこたぁないよ。よいこのところにだってくるんだから、当然、わるいこのところにもやってきている。安心しなさい、そのどっちでもないこのところにも、ちゃーんときていますから。なんなら、大人のところにも来てるけど、なかなか気付かないみたいだ。ま、でも、それはナイショにしておこう。

ほんとうのことを言おう。赤い服を着た、白いヒゲのおじさんはいるよ。ただ、ちいさくって、見えないのだ。よくよく目を凝らしたら、見つけることができるかもしれない。今日と明日は、ちいさいおじさんが、みんなに気づいてもらおうとあちこちを駆けずり回っている日だね。


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