接客のある店とない店が

*思えば、同じ「モノを売る店」でも、接客のあるお店と、ないお店とがある。たとえば、書店だ。書店に入って本棚を見つめていると、店員さんに「今日はどんな本をお探しですか?」なんて話しかけられたら、きっと驚いてしまうと思う。何回も足を運んでいる書店で、顔馴染みの店員さんならまだしも、初めて入った書店で、初めて見る店員さんが声をかけてきたら、え?と思ってしまうだろうな。でも別に、わるいわけじゃない。

他にも、薬屋だ。薬屋で店員さんがこそっと寄ってきて「そのクスリ、大変人気ですよ」なんてささやいてきたら、怪しすぎるだろう。あらぬものを、あらぬ価格で売りつけられそうでもある。

いまあげた2つは、「接客のない店」だ。他にも雑貨屋とか、CDショップだとかもある。じゃあ、接客のある店は?と言われれば、まず最初に出てくるのが「服屋さん」だろうね。今風の言い方をすれば「アパレルショップ」っつーのかな。

こちらは入店した途端、ちゃんと店員さんにロックオンされているよ。スッと声をかけてくる人もいれば、ちょっと間を空けてから寄ってくる人もいる。それぞれのタイミングで、お客さんであるぼくたちにアプローチを図ろうというわけだ。これが苦手な人も一定数いるだろうし、気にならない人もいるだろう。ぼくは「苦手派」の人間なんだけれど、どうして苦手だと思ってしまうのか、はまた別の機会に書こうかな。

さて、どうしてアパレルショップにはこうした「接客」があって、書店や薬屋にはないのだろうか。大きく挙げられるのは、衣服の場合、ひとりで完結しないことだね。他人からも見られるモノだから、誰かの意見が必要だったりする。がゆえに、店員さんという近くの他人がいらっしゃる、というわけだ。

もうひとつは、「勧めることができる」からだろうね。好きな色やシルエットを聴いたり、体型を見て似合いそうなモノをあてがう。なんなら、店頭に並んでいない商品だってあるだろうから、裏から持ってくる。これが本屋さんだと膨大な数なのでできない。クスリは「お勧めする」というのがちょっと怪しすぎる。

でも、小さい本屋とか雑貨屋さんってのは、自然にこういうことをやっているように思うんだよなぁ。規模が大きくないからこそ、接客をはじめ、小回りを利かせて様々なことが身軽にできる、というのはありそうだ。

以上、接客のある店とない店から考える、その理由でございました。


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