「下味」という考え方。

*料理をよくするようになって、いろんな料理本や動画を見ながら作っているのだけれど、ところどころに「下味」という言葉がお出になる。最初はよく分からなかったし、醤油の味付けならお醤油だけをドバッとかけていたのだけれど、少しずつこの「下味」というのが大事なんだと分かってきた。下味の塩胡椒とか、よく揉み込んでおくとかね。

なんというのかな、下味をしておくと、「味の乗り」がちがうのだ。同じ醤油の味付けにしたって、下味をきちんとしておけば、よく味が乗るというのかな。旨みが引き立つというか、大事なもんなんだなという感覚が今になってようやく分かった。

思えば、料理でいう「下味」は、他にも至る所にある。建築だって基礎がなければ、ちゃんと建たない。建ったとしても、なかなか危ない建築物になってしまう。お化粧だって、あの「ふぁんでーしょん」ってやつは、基礎工事にあたるんだよと友人から聞いたことがある。料理と一緒で、それをするかしないかで、化粧の乗りがちがうのだそうだ。

この「下味」の考え方を、ほかのまったくちがったことに引用してみると、どうなるだろう。イベントの下味として、来てくれるお客さんたちに何かできないだろうか。久しぶりに会う友人との下味に、友人のSNSで近況を把握してみたり。好きなアーティストのライブに行く前に、そのアーティストの曲を聴きながら向かうのは、まさに「下味」だよねー。

本チャンの味付けをより染み込ませるために、できること。丁寧な下準備と言い換えても良いかもしれない。その時間をより良くするための、丁寧な下準備。思えば、人付き合いにおいて「礼儀」というのは、大切な下味なのかもしれないなぁ。


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