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子どもの詩

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自分の子どもに育てられている大きな子どもの詩です。 子どもの掛けがえのない今を残しておきたいから作ります。いつかのあなたに届くといいな。
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#写真詩

♯子どもの詩(エッセイ風絵本用) いつも大好き

♯子どもの詩(エッセイ風絵本用) いつも大好き

「いつも大好き」

あなたのその言葉が嬉しすぎて
私は思わずあなたを抱きしめた

そしてあなたの言葉を繰り返すようにして
私があなたに返した時
あなたも私の言葉をなぞるようにして
またその言葉を私にくれた
そうして何度もその言葉を二人で繰り返したね

あの日は日曜日で
あなたを私の大好きな場所へ連れ出した

朝ご飯を食べるのも
待っていられなくて
すぐに家を飛び出した

お腹が空いたのも忘れて

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♯子どもの詩 ある休日の朝

♯子どもの詩 ある休日の朝

私はもうとっくに起きているのに
苦しいくらいあなたは顔を
私の顔に
くっつけてくるから
私はまだ起きることができない

無理やりくっつけた顔と顔の間は
温かい

目を瞑ると
さっき見ていた夢を思い出せそうで
でもやっぱり思い出せなくて

諦めて
あなたの寝顔を見たいと思ったけど
顔と顔がくっつく距離では
それもできなくて

あなたの寝息に耳を澄ませる

規則正しく聞こえてくるあなたの寝息を聞きなが

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♯子ども いま何が見えるの?

♯子ども いま何が見えるの?

ある日のあなたが忘れられない

真っ青な空の中を
ヘリコプターが泳いでいる

それを見つけたあなたは
ただヘリコプターだけを見て
全速力で追いかけた

私はあなたが誰かにぶつかったり
転んだりしないか心配だったんだけど
そんな心配は必要なかった

あなたは誰かにぶつかることも
転ぶこともなく
ただ前へ前へと進んでいった

迷うこともなく突き進んでいったあなたには
いま何が見えるの?

さっきいた場

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♯子どもの詩 ごめんねとありがとう

♯子どもの詩 ごめんねとありがとう

日曜日
お腹が痛いと言い張るあなたが
無理やり仕事だったパパを
連れ戻した

お腹が痛いのは親の気を引きたかったからかもしれない
そう話す医者の話に
身体が悪くなくてよかったと思えるだけではない
何かが私たちを変えた

お腹が痛かったはずのあなたは
よく食べよく走りよく笑った

パパが仕事に行くのを嫌がって
結局パパはあなたと一緒にいた
一昨日のパパが
いつもと違うのに
あなただって気付いていたん

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♯子ども どっちかだけじゃ

♯子ども どっちかだけじゃ

あなたは今日も口ずさむ
お手てを振りかざして
身体も揺らして
あなたの口から漏れる歌は
あなたみたいに飛び跳ねている

あなたが走り出した
それはパパが帰ってきた合図
誰よりも早く
あなたはパパのところに飛んで行く
勢い余って危ない時は
よくパパに怒られるけど
どんなに怒られたって
あなたは変わらない
いつもやっぱりパパが好き

パパにべったりなあなた
あなたにべったりなパパ
どっちも同じだけど

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♯子ども 見えると見えないの境い目

♯子ども 見えると見えないの境い目

さっきまでのカンカン照りの
ぎっらぎらの太陽が
積乱雲に飲み込まれた
雨が降って降って降って
雷の音もして
それでもまだまだ雨は降り続けて
どこもかしこも水浸し

そんな日のあなたと一緒の帰り道
その時にはもうすっかり空が明るんでいた
雨の痕跡だけが風景にうまく馴染んでいない
あなたは水溜りを踏もうかどうか迷ってやめた

あなたと一緒に見た虹は
見えると見えないの境い目
私はそれを指差したんだけど

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♯子ども 私たちが家族だから

♯子ども 私たちが家族だから

今日もあっという間に過ぎてった
あなたはオムツ1枚で
絵本を見開き
電車の名前を読み上げている

また風邪を引いてしまうよ
やんちゃなあなたがもっとやんちゃになるのはパパがいるせいだよね
どんなにおちゃらけて、あなたに振り回されても
パパはちっとも嫌そうじゃない

あなたは時々お腹をポンポン叩いて
パパを誘っている
作戦通りパパはすぐに来て
あなたはパパに電車の名前を聞いた

そんなにあなたが電車

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♯子ども なんだかいつも心残り

♯子ども なんだかいつも心残り

今日あなたと過ごした時間も
あっという間に過ぎ去ってしまった
それはいつも通りなんだけど
なんだかいつも心残り

何かを忘れた気がして
その何かがどうしても思い出せない感じ
忘れたことに気づいたって
思い出せなきゃ意味がない

あなたとの時間が今日も終わってしまった
そんなこといちいち考える方がどうかしている
でもいつもそう
だったら考えなきゃいい
でもそれができない

さっきまで泣き喚いたり

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♯子ども 楽しいを追いかけて

♯子ども 楽しいを追いかけて

確か今日の朝掃除機をかけたはずだよね?
まるで嘘のよう
あなたはただ楽しくて
その楽しい先を追いかけていただけだけど
もう足場がないね

できればその使っていないものを片付けてほしいところなんだけど
あなたにはきっと届かない
いま私がいる場所より
もっと楽しいところにいるんだから

お腹痛いね
電車のおもちゃを労るあなたの気持ちはきっと伝わってるよ
楽しいを追いかけて
今日はどこまで行くの?

♯子ども 戯れる

♯子ども 戯れる

あなたと戯れる4体のぬいぐるみたち
パンダに自分の名前をつけて
もう一つのパンダの名前はパパ
カアサンと名付けたのはネコ
ヒトと名付けられたのはピカチュウ

寒くないように
タオルケットを被せて
足寒いねーって
気持ちも被せてあげた

4体のぬいぐるみと一緒にタオルケットに包まった
私はどのぬいぐるみより可愛いあなたを探していた
タオルケットから
あなたはひょっこり顔を出して
いつもと同じハニカミ

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♯子ども 飴玉

♯子ども 飴玉

知らないお姉さんの後を
置いてかれないように
追いかけて
お姉さんは振り向いて
あなたを待ってくれていた

一緒にボールを投げ合って
飛んでいったボールを取ってきて貰って
顔に水が掛かったら
当たり前のように心配して貰っていた

すっかり打ち解けているあなたが
あなたらしくて
私じゃなきゃいけないあなたが
あなたじゃないような気がした

お姉さんから飴玉を貰ってきたあなたは
いつまでもその飴玉を離

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♯子ども 電車の置き去り

♯子ども 電車の置き去り

あなたより
小さいあの子が
あなたが遊ぶ電車を眺めていた

勇気を出してパパと一緒に
こっちに来てくれたんだけど
すぐに泣き出してしまったあの子

あなたはあの子が行ってしまってから
しばらくして
持っていた電車を
あなたから少し離れた場所に置いた
さっきまであの子がいた場所から
ほんの少し離れた場所
あの子は気づいてくれるだろうか

もうあの子の泣き声は遠いところ
電車はまだあなたが置いた場所の

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♯子ども 目を覚ますと

♯子ども 目を覚ますと

目を覚ますと
いつも家を出る時間だった

あなたはいつも通りだったけど
私は焦っていた

あなたはのんびりしていたいだけだったのに
そうはさせてもらえなかった
あなたは車で遊びたい気分だったのに
少し遊んだだけで
いつもより怒られた

大人って訳分かんない
きっとあなたはそう思っただろうね
いや、勝手にそんなふうに決めつけないでよ
本当はそう思っているのかも

私は確かに焦っていた
でもあなたにと

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♯子ども 残ったジュース

♯子ども 残ったジュース

あなたがコップを落とした時
さっきまで入っていたフルーツジュースが
全部床の上に広がった

さっきまでの楽しかった気分も
落ちたジュースと一緒に流れてしまったみたい

すぐに店員さんが来て
新しいジュースを持ってきてくれた

あなたは黙ったまま
ごめんなさいも
ありがとうもしないで
ただ足元をじっと眺めたままだった

無理やり私に言わされた言葉に
あなたは無理やり合わせて
新しくなったジュースを見

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