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作家の高野史緒さんの講演会に行ってきた。

――自分の大学に本物の作家が来るわけですから、僕はこの機会を逃すわけにはいかないと思いました。必ず実りのある話を聴くことができる。そんな確信がありました。


人生は物語。
どうも横山黎です。

大学生作家として本を書いたり、本を届けたり、本を届けるためにイベントを開催したりしています。

今回は「作家の高野史緒さんの講演会に行ってきた」というテーマで話していこうと思います。



📚高野史緒さんの講演会

昨日のことです。作家の高野史緒さんの講演会に行ってきました。僕の通う茨城大学に来てくださって、会場からの質疑応答や学生との座談会の時間を含め1時間半以上のイベントでした。

高野さんは 1995年、『ムジカ・マキーナ』でデビューした作家で、2012年には『カラマーゾフの妹』で第58回江戸川乱歩を受賞しました。

そんな高野さんは7月に新作『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』を出版しました。「グラーフ・ツェッペリン」という飛行船を見たという、あるはずのない記憶を持つふたりの男女が織りなす青春SF小説です。物語の舞台は茨城県の土浦。高野さんの地元でもあります。



今回高野さんが茨城大学にお越しになられたのは、物語の舞台が茨城でもあり、学生に響きやすい青春ものであり、高野さん自身が茨城大学を卒業したOGだからでした。

僕は大学生作家を名乗っていますが、商業デビューしているわけではありませんからアマチュアです。自分の大学に本物の作家が来るわけですから、僕はこの機会を逃すわけにはいかないと思いました。必ず実りのある話を聴くことができる。そんな確信がありました。

案の定、実りはたくさんあったので、今回はそれについてまとめていきます。


📚凄い人は努力をしている

高野さんの話のなかで印象的だったことが2つあります。1つは、「凄い人は努力をしている」ということ。

当たり前といってしまえば当たり前ですが、成功を収めている人というのは、それ相応の努力をしているのです。

以前、作家の石田衣良さんが言っていたことですが、作家になりたいなら書きたいジャンルの本を国外問わず1000冊読まないといけません。それくらいの読書をこなすことで、型が見えてきて、執筆の際の参考になるというのです。

作家に限らずどの分野にもいえることではありますが、辿り着きたい未来があるなら、正しい方向で、正しい歩き方で努力をする必要があるのです。「ミステリ作家になりたい。日本のミステリー漫画ばかり読んでいます」……では、ミステリ作家になる夢には辿り着きにくいのです。

簡単に成功を物にしている人だって、周りが努力をしていないと思っているだけで、ちゃんと陰で努力をしている。あるいは本人ですら努力をしていると認識していないこともあるでしょう。つまり、努力することが習慣化されているということです。

とにもかくにも、手に入れたいものがあるなら、闇雲に手を伸ばすのではなく、必要な努力を必要な量こなすべきということですね。

高野さん自身、大学時代に病気を患ってしまったそうですが、それを機に創作と向き合う時間が増え、小説に限らず歴史学、科学、心理学など、様々な本を読み、物語をつくっていたそうです。

その努力が実り、第6回日本ファンタジーノベル大賞の最終選考作となった「ムジカ・マキーナ」デビューすることができたというわけです。


📚自分のルーツに目を向ける

もうひとつ印象的だったのが、『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』を書くに至るまでの経緯でした。

デビューして30年近く経った高野さんが、地元の土浦を舞台にした物語を書いたのは今回が初めてでした。講演のなかでも話されていたことなんですが、高野さんは自分自身のことを物語ることに抵抗を感じる人だったそうです。録音した自分の声を聞くのに抵抗があるように、自分のこと、地元のことを語る一歩を踏み出せなかったのです。

ただ、5年くらい前から、親が亡くなったことなどを受け、自分の足元を見るようになったらしく、その頃には自分と同じ50代の作家が主人公の短編を書いたらしいんです。初めて、自分をモデルにした作品を書いたのです。

思うよりも抵抗を感じることなく書くことができて、今ならずっと書きたかった「グラーフ・ツェッペリン」の話を書けるかもしれないと思い至ったのです。自分のルーツともいえる地元土浦を舞台にした物語を書こうと決意したのです。

作品のタイトルにもなっている「グラーフ・ツェッペリン」ですが、最初の方に触れたように飛行船の名前です。実は、その飛行船、実在していました。フィクションではないんです。

昭和が始まって間もない1929年のこと、ドイツの飛行船「グラーフ・ツェッペリン」が世界一周を果たしました。実は、その寄港地のひとつとして、現在の土浦の近くにある霞ヶ浦航空隊が選ばれたのです。当時は東京から見物に来るほど話題を呼んだらしく、観衆は約30万人もいたといわれています。

その史実をもとに書かれたのが、「グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船」というわけです。青春SFではありますが、史実を元にしているし、現存する地名が登場するので、リアルな視点をもって読むのも楽しみ方のひとつといえます。


サインもいただきました!


さて、話は最後になりますが、僕がこの講演会に参加した理由は「大学生作家として本物の作家の話を聴きたかった」の他に、「今度ビブリオバトルで紹介する本についての知識を深めておきたかった」があります。

ビブリオバトルとは、自分のお気に入りの本を5分間で紹介する書評合戦のことです。僕は高校時代から公式戦に参加してきて、今までに2度、全国大会に出場することができました。しかし、そのどちらの大会でも、全国優勝には届かず惜しい結果で終わりました。

僕は今大学4年生なので、全国大学ビブリオバトルに出場できるのは今年が最後。ラストイヤーだから有終の美を飾りたいと燃えているんですが、そんな僕が予選の大学大会で相棒にするのが、『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』なのです。

茨城大学のOGである作家が、茨城を舞台にした青春SFを書いたわけですから、茨大生がこれほど親近感を持つ本はなかなかありません。SFだし物語を説明するのは難しそうだけれど、ビブリオバトルに向いていないわけではないと結論付けました。

まずは、この本で、大学大会を突破していきます。

大学大会は4年ぶりに対面で行われるんですが、リスナーはオンライン参加も可能です。もし興味を持たれた方は、是非、僕の紹介を聴きにきてください。以下のリンクから、申し込みいただけると参加できます。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20231012 横山黎



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