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「小説×◯◯」を考える。

――実は僕は、以前から、自分の小説と脱出ゲームをかけ合わせたら面白そうだなという思いがありました。


人生は物語。
どうも横山黎です。

今回は「小説を他のコンテンツと組み合わせる」というテーマで話していこうと思います。


📚「小説×◯◯」を考える

僕は普段大学生作家として活動しているわけですが、ただひたすらに小説を書いているわけではなく、どうすれば作品を届けられるのか、どうすれば作家として長く生きていけるのか、そんなことを探っています。

本が読まれない時代になってきたからこそ、読者は読む本を選びますし、当たりじゃないと読もうとすら思わないのです。読書を体験しきるには少なからず時間がかかりますから、できれば時間を無駄にしたくないという気持ちが読者にあるのです。普段から本を読む読書家はともかく、あまり本を読まない人からすれば特にそう。本を読むくらいなら、映画や漫画に手を伸ばしたいという人は少なくないのではないでしょうか。

だからこそ、「小説×◯◯」の可能性を探る必要があると考えます。小説を小説として売り出す、届けるのではなく(もちろんそれに越したことはないけれど)、他のコンテンツやサービスに紐づけると片方が当たればもう片方も当たるという相乗効果を狙えます。



📚小説に何をかける?

分かりやすい例でいえば、小説×映画。小説を原作とした映画が公開されれば、その小説が本屋さんに並び、再び日の目を見ることができます。映画が公開ともなれば、映画の作り手は作品を届けるために宣伝しますから、原作である小説の知名度も高まっていくわけです。

他にも、小説×音楽。音楽グループYOASOBIの登場により注目され始めた掛け算です。小説からインスピレーションを受けて、その物語をベースにした歌詞をつくり、そこに流行りのサウンドを乗せ、MVを公開したところ爆発的にヒットしたのが「夜に駆ける」ですよね。それ以降も数々の物語から音楽が生まれ、ちょっと前には「YOASOBI小説集」が出版されたり、直木賞作家とコラボして小説×音楽の可能性をさらに広げにいったりしています。

また、小説×コーヒーという掛け算を見たこともあります。毎月コーヒーと共に小説が届くというサブスクリプション方式のサービス。読書をしながらコーヒーを飲む人は一定数いますよね。そこに注目したビジネスです。



以上のように、小説×〇◯はこれまでにも追求されていて、分かりやすく結果が出ているものもあります。もちろん小説だけで回ることに越したことはないけれど、小説だけじゃ届けられない領域にいる人にもリーチするために、掛け算を考える必要があるのではないでしょうか。

僕もこれまでにいくつか試してきました。

小説×音楽を実現するために、短編小説『初めましての恋』のテーマソングをつくったんです。バンドをやっている高校時代の友達がいたので、お願いしました。爽やかなナンバーをつくることができました。

×音楽は、僕の初書籍『Message』でも実現していることで、テーマソング「Message」をつくったんです。それを、自分で企画したイベントの演出として利用しました。やっぱり音楽は小説よりも簡単に味わってもらえるので、効果的なんですよね。

さて、最後に、次に僕が手掛けようとしている小説×〇◯について語ろうと思います。小説×脱出ゲームです。




📚小説×脱出ゲーム

リアル脱出ゲームとは、密室に閉じこめられたプレイヤーが部屋の中にある謎を解くことで、部屋の外に脱出することを試みる体験型ゲームのこと。10年くらい前に爆発的に認知を広め、人気を集めたエンタメコンテンツです。

僕は中3くらいから興味を持ち、あの頃2回公演に参加した記憶があります。鮮やかな謎もさることながら、考え尽くされた物語の構成に惹かれました。最後の最後に伏線が回収されたりするんですよね。あのときのあのアイテムを、ここで使うのか!という発見があったりします。

で、僕の友達にリアル脱出ゲームにはまっている人(しゅんちゃん)がいて、今度一緒に公演をつくることになったんです。前から脱出ゲームが好きという話は聞いていたんですが、最近は特にはまっている様子、月に3,4回行っているんじゃないかな。ちなみに先月、僕もしゅんちゃんと一緒に行きました(笑)

プレイヤーとして参加するだけではおさまらず、自分で謎をつくって、物語をつくって、お客さんを呼んで体験してもらう脱出ゲームイベントを開催したいという思いが、しゅんちゃんにはあるのです。

僕も元から興味があるコンテンツだったし、やりたいことに夢中になっている人は応援したいし、自分にできることがあったら手伝いたい気持ちがあったので、運営にまわることにしました。僕の役割はストーリーづくり。大学生作家と名乗っているわけですから、引き受けないわけにはいきません。

昨日は、しゅんちゃんと案を練ったり、会場候補となるスタジオのオーナーと打ち合わせをしたりしました。で、ぼんやりと演目となる物語の方向性が決まったんです。


実は僕は、以前から、自分の小説と脱出ゲームをかけ合わせたら面白そうだなという思いがありました。ついにそのタイミングがやってきたので、自分の作品と結び付けたいと端から考えていたんです。

で、今、書いている作品のひとつに、『君はマスクを取らない』があります。コロナ禍を舞台にした青春純愛物語なんですが、今回の脱出ゲームの物語を、この小説の世界をベースにしようという結論になったんです。

しゅんちゃんから、「えもい感動系が良い」「夏休み中に開催したい」という要望があったので、舞台は「夏祭り」とか「花火」とかがいいなと考えました。そういえば、『マスク』には花火大会のエピソードを挿入するつもりだったので、これを使わない手はありません。

ということで、仮題ではありますが、「息苦しい夏祭りからの脱出」という演目の脱出ゲームをつくっていきます。

本にするにしろ、noteで公開するにしろ、『マスク』の物語を認知してもらう、届けるきっかけになるなと思い、今回は小説×脱出ゲームという掛け算に挑戦してみます。どんな答えが出るのか、楽しみです。最後まで読んでくれてありがとうございました。

20230615 横山黎



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