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2017年12月の記事一覧
即興実験小説「シンプルなくらし、シンプルなころし」
お題:シンプルな殺し 必須要素:ビール 制限時間:1時間
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シンプルな暮らしにシンプルに殺される。俺の自尊心。
「ミニマリズムにハマっているの」と言って同棲中の彼女がどんどんモノを捨てはじめた。同棲中というか、求職中で一文無しの俺が彼女の家に転がり込んだだけだからこの部屋をどうこうする権利も彼女にあるのだが、服は全く同じものを5枚買いローテする、とか、シャンプーも要らない
即興実験小説「その民族の言葉には」
その文化人類学者は秘境に住む民族の言葉を知るために、これは? これは? これは? と聞いて、まず木や枝や動物の名前を知る。あなたや私は父や母や子もそのうち知る。抽象語については具体的な場面、「親が死んだ時の気持ちは?」と聞けば良い。でもそもそもその民族は悲しいと思わないのだとしたら、親が死んだときに。
子供が死んで悲しむのが母かというとそうとも限らず、ある民族は産気づいた女は里から離れた森に一人
即興小説「急逝アルコール中毒」
お題:燃える新卒 必須要素:靴の中敷 制限時間:15分
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「熱意があるやつから先に灰になる。竜頭蛇尾、燃え尽き症候群。見せかけの熱意なんて要らないから定年まで冷めるな。人生は長い。」
燃える新卒は燃料になる。会社というデカい機関の動力として。どの会社でも3年以内でやめる新卒が3割いると言われているが、それは会社というデカい機関が一定の燃料を求めているからだ。つまり入社式のあの社長の