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即興小説「急逝アルコール中毒」

お題:燃える新卒 必須要素:靴の中敷 制限時間:15分

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「熱意があるやつから先に灰になる。竜頭蛇尾、燃え尽き症候群。見せかけの熱意なんて要らないから定年まで冷めるな。人生は長い。」
燃える新卒は燃料になる。会社というデカい機関の動力として。どの会社でも3年以内でやめる新卒が3割いると言われているが、それは会社というデカい機関が一定の燃料を求めているからだ。つまり入社式のあの社長の訓示は7割本当、3割嘘。きくところによると3年以内に転職したものは熱意を補填されるものの転職先でも燃料にされ、また会社をうつるらしい。そんな短期熱源みたいな生き方もあるようだが、おれはごめんだ。
ちなみに俺の姉ちゃんは「運命の人」を3年以内に交換する、絶対結婚できないタイプ。燃える恋愛のタイプ。

新卒歓迎会でいきなり革靴に酒を注がれるほどの会社とは思っていなかった。そりゃイッキくらいは覚悟していたが。
飲み干してクラクラになっている俺の手の革靴を見た先輩が目ざとくみつける。
「お前のインソール、分厚くね? 酒吸ってぶくぶくに膨れてるわ!!」
「いやそれは」
姉ちゃんの好みの男が背の高いおとこと気付いてからインソールを欠かさぬこと、それほど重度のシスコンのこと、姉ちゃんの恋愛が短く終わるたびに安堵していること・・・全て見透かされた気がして俺の頬が真っ赤に燃える。
アルコールが引火した俺は会社の燃料第一号となって消えた。

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※「即興小説トレーニング」サイトを使用して書きました。 http://sokkyo-shosetsu.com お題が出てきて制限時間も図ってもられるし、同じお題で書いた人の作品も見られて楽しいです! みんなもやろーぜ即興小説。ほかにも私が書いた即興小説はこちらでみられます http://sokkyo-shosetsu.com/author.php?id=71540902

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