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#パルプ小説

ジビエのレシピは信じない

ジビエのレシピは信じない

 まさかこんなカジュアルに撃ってくるとは思わなかった。さては素人だな。
「ばか! 発砲するなって言ったろ!」
 怒られてやんの。そりゃそうだ。
 あたしは屋上に乱立する室外機を踏み台にして跳躍する。視野がひらけるこの瞬間は好きだ。となりのビルに着地し、身体を一回転させて衝撃を逃す。
 人間よりも優れた聴覚が、狩人たちの困惑を捉えてくれる。また火薬の爆ぜる音がした。
「撃つなって! 傷ついたら味が落

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日記「進捗ダメです! 怖い話、あとアフガニスタンのこと」

日記「進捗ダメです! 怖い話、あとアフガニスタンのこと」

東京はそれほどでもないですが、大雨が続いてますね……。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。僕はなんか眠たいです。

進捗ダメです!地味に本業が忙しかったり、この間の寒暖差や気圧やらでどうにもテンションがあがらず(なんかふだんより眠気が強めだ)、ダラダラと過ごす日々が続いてしまっている。前回の日記で予告した次回作(アラガイザル)をちょろちょろと書き続けているものの、推進力というか、爆発力が足りずにうま

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全裸の呼び声 -16- #ppslgr

全裸の呼び声 -16- #ppslgr

 輝ける流星の一撃は、かすみがかって周囲をどんよりさせる不快な暗黒露出闘気を真っ二つに切り裂き、大地に着弾した衝撃の余波は残り霞を一発で吹き飛ばした。あたり一面に、あの不快極まりない汚濁した大気が戻ってくる。さらには、流星の着弾点を中心に光輝のドーム状結界が立ち現れたではないか。

「裸道流奥義、裸身流星脚!からの、光輝夏浜裸身結界!」
「助っ人。助っ人……?」

 輝ける流星の正体を見て、レイヴ

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簒奪者の守りびと 《総合目次》

簒奪者の守りびと 《総合目次》

▶︎ 第一章 ジョンブリアン(14,000字)
 【1,2】【3,4】【5,6】【7,8】

▶︎ 第二章 交叉(13,600字)
 【1,2】【3,4】【5,6】【7,8】

▶︎ 第三章 魔女(13,500字)
 【1,2】【3,4】【5,6】【7,8】

▶︎ 第四章 ティラスポリス(13,600字)
 【1,2】【3,4】【5,6】【7,8】

▶︎ 第五章 対敵(12,900字)
 【1

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簒奪者の守りびと 第一章 【7,8】

簒奪者の守りびと 第一章 【7,8】

第一章は8シークエンス構成です。4日連続更新。
<4,200文字・読むのにかかる時間:8分>

簒奪者の守りびと
第一章 ジョンブリアン

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【7】

 ミハイがいなくなった。
 リャンカが少年のために調達したのは、白いTシャツと紺色のパーカーだった。一般人に紛れ込むための選択としては間違っていない。しかし、今まさにその選択が裏目に出ていた。
 眼を覚まし、ラドゥとリャン

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簒奪者の守りびと 第一章 【5,6】

簒奪者の守りびと 第一章 【5,6】

第一章は8シークエンス構成です。4日連続更新。
<4,000文字・読むのにかかる時間:8分>

簒奪者の守りびと
第一章 ジョンブリアン

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【5】

 ミハイの一族が代々統治してきた王国。名をドニエスティアという。
 地理区分では東ヨーロッパに含まれる。この地域の国々の多くがそうであるように、ソビエト連邦に飲み込まれたあと、91年に独立を果たしている。
 東のドニエ川、

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簒奪者の守りびと 第一章 【3,4】

簒奪者の守りびと 第一章 【3,4】

第一章は8シークエンス構成です。4日連続更新。
<3,200文字・読むのにかかる時間:6分>

簒奪者の守りびと
第一章 ジョンブリアン

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【3】

 反射的に身を隠したが、狙われているのは自分ではない。ラドゥは階段を駆け下りる。オリアはすでに同じ行動をしていた。
 狙撃者が吐き出した銃弾は、ゾフの左脇腹をかすめてアスファルトに穴を穿った。ゾフは立ち上がると、その広い背

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簒奪者の守りびと 第一章 【1,2】

簒奪者の守りびと 第一章 【1,2】

第一章は8シークエンス構成です。4日連続更新。
<3,000文字・読むのにかかる時間:6分>

簒奪者の守りびと
第一章 ジョンブリアン

総合目次:次頁→

【1】

「さぁ、王太子どの。召し上がっていただけませんか?」
 今朝も、メディアは新王を讃える映像を流している。
「わずかでも構いませんから」
 ベッドに腰掛ける少年の顔は青白い。
「朝食をか? そのようなこと、お前らを喜ばせるだけだろう

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絶叫杯参戦日記「しのごの言ってる場合じゃねェ……!」

絶叫杯参戦日記「しのごの言ってる場合じゃねェ……!」

【現在の進捗】
「無数の銃弾」最新号向けの叩きを書き上げたので、これから人類救済学園の第弐話に取りかかるのだ……!

要するに進んでいません。

前回
3月はこうだ!
とりあえず「無数の銃弾」最新号用の叩き……そう叩き……は書き終えました。ふぅ……。

が、やはり叩きは叩きに過ぎないという悲しい現実に直面した……ぶっちゃけ小説としての体裁が整っていないのである! ガーン! ショック! たぶんこのま

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絶叫杯参戦日記「逆噴射小説ワークショップなんだぜ!」

絶叫杯参戦日記「逆噴射小説ワークショップなんだぜ!」

【現在の進捗】
ちょ、ちょっと待って……!

時代は常に動いていく……事態は常に流動的である……。

前回ぎゃ、逆噴射小説ワークショップだって!?
すべてはこの発表によって覆されたのだった。

自作品に対して、PROからアドバイスをもらうことができるだって!? そ、そんな凄いことが! うおおおおおおおおおお! こんな機会、本来ならお金払ってもやってこないわけですよ。革命ですよ、こんなの。応募するし

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救いのクリスマ……

救いのクリスマ……

「メリークリスマス、ダーンくん」
 サンタはガスマスク越しにささやき、枕元にギフトボックス置いた。男児の腐敗はそれほど進んでおらず、表情は安らかに見えた。冬場にもかかわらず窓が少し開いているのは、両親によるせめてもの配慮だったのだろう。サンタは痛む腰をのばし、薄暗い子供部屋を見回す。家具の配置は昨年と変わりないが、どうやらこの一年でフットボールに興味がわいたようだった。
「ボールのほうがよかったか

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#パルプアドベントカレンダー2020 閉会式

#パルプアドベントカレンダー2020 閉会式

(CV:千葉繁)
 2020年、12月ッ!
 宇宙空間に発生した時空の歪みから、サンタクロースの群れが出現したッ!
 さらにッ!
 地底で! 海底で! そしてサイバー空間上で! サンタクロースは無数に発生ッ! サンタクロースによる世界征服はあと一歩のところまできていたッ!

 しかァしッッ!
 人類は諦めていなかったッ!

 イマジネーションを力にかえ、パルプの弾丸を放つ猛者たち──パルプスリンガ

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ハンティング #第一回お肉仮面文芸祭

ハンティング #第一回お肉仮面文芸祭

「ねぇカズヤ、お肉仮面って知ってる?」
「なにそれ? 時代劇かなんか?」
「違うよ、都市伝説! ほら、きさらぎ駅とか、口裂け女とか、人面犬みたいな!」
「あ、またそういう系? そんなのどこで仕入れてくるんだよ」
「インスタだよ! ほら、これ。生肉のマスクかぶってて、いろんなとこで写真撮ってるの!」
「インスタやってる都市伝説がいるわけないだろ……」
「いやいや、わかんないよー? だって──」

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ファイヤーファイター #パルプアドベントカレンダー2020

ファイヤーファイター #パルプアドベントカレンダー2020

約9,300文字 <読むのにかかる時間:18分>

 世界は荒廃した。
 というのは祖父からの受け売りで、俺自身は実感したことはない。生まれた時から世界はこの状態だった。
 過去、どれだけ繁栄していたのかは知らない。知らないほうが幸せなのかもしれない。祖父は、現在に嘆き、過去を懐かしんで、人生の晩年を愚痴で染め上げた。最期の言葉は「雪が見たい」だった。もちろん、叶うことはない。叶わない願いは、やは

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