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らら
2020年7月2日 11:53
気が付くと外は明るくなり、時計を見ると10時を過ぎていた。昼過ぎには娘が帰って来る、私は飛び起きて、部屋を掃除して洗濯機を回し、お酒の瓶を捨てて、見ていたテレビの履歴を消して、私の堕落した生活の証拠が残らないように、すべてを片付けた。2時過ぎ頃に娘が帰って来た。「ただいま~」「お帰り!お疲れ様!」私の母親スイッチが入った。その日の夜は娘と2人だった、塾合宿の
2020年7月1日 10:28
真っ暗な家に入るのは少し怖かった。家に入ってすぐにすべての電気をつけた。お風呂に入り、下着だけで、リビングでくつろいでいた。雑然とした部屋に下着だけの私。明日からはまたいつもの生活。「片付けないと・・・・」始めは1人の空間に慣れなかったけど、今はすっかり1人に慣れた。慣れ過ぎて、堕落した自分に少しうんざりした。動くのがめんどくさい。私はテレビをつけてソファで
2020年6月30日 09:32
「すみません、そろそろ閉店なんですけど・・・」店員のお姉さんが申し訳なさそうに話しかけて来た。「えっ?」時計を見ると11時を過ぎていた。私たちは7時間も話していた。「遅くまでごめんなさい、会計お願いします。」私たちは会計を済ませてバタバタとお店を出た。真夏のじめじめとした夜の風が、エアコンで冷え切った私の体を温めた。「ねえ、みづき、昔みたいに一緒に働かない?今は
2020年5月26日 10:52
翌日、私はギャラリーに向かった。1年前、なぜこの裏道を通ろうと思ったのか?これも運命の流れなんだろうか?あれから1年か、早かったな、楽しい時間は早く過ぎるのね・・・「子供」わかっていたけど、私はそこから目をそむけていた。年齢的にも逃げてはいられない歳になった。「おはよう!」後ろから声を掛けられ驚いて振り向くと南さんが立っていた。「どうしたの、顔色悪くない?具合
2020年5月22日 09:44
私たちはパスタを食べて事務所に帰って来た。南さんに指示された仕事が意外と早く終わり、帰ろうとしたその時、南さんと合田さんが帰って来た。「みづき帰るの?お疲れ様。じゃ年明け5日からお願いね。」「はい、わかりました。」「あっ!そうだこれあげる。」そう言って南さんは私に、ターコイズブルーの刺繍糸で編んである、ブレスレットをくれた。「かわいい!いいんですか?」「うん、
2020年5月20日 09:32
いつも通りの朝。祐一を送り出して、私はギャラリーに向かった。「おはようございます。」「おはよう!」奥から南さんが出て来た。「昨日は大丈夫でしたか?」「うん、あんまり記憶が無いけど、朝起きたら自分のベッドで寝てたから大丈夫!」「かなり酔ってたから家に帰れたか心配だったんですよ。」「ごめん!何も食べないで飲んでたから、すっかり酔っちゃった。みづきはお酒強いんだね!
2020年5月13日 09:46
私の予想と異なり、オープンするとお客さんは後から後から来て、狭いギャラリーは人でいっぱいになった。「1人でも多くの人に芳名帳を書いてもらって」という、南さんの指示で色々な人に声を掛けて芳名帳を書いてもらった。お昼頃になるとやっとお客さんは減って来た。「思ったよりたくさんの方が気てビックリしました。」「誰も来ないと思った?」「いえいえ!そうじゃないです!」「今のうちの何
2020年5月12日 10:05
12月25日、ついに私は北沢海月になった。一緒に暮らして始めてのクリスマス。今日は早く帰ってクリスマスディナーを作って、そして入籍のことも話そう!今日から展示会が始まる。昨日はお客さんに配るリーフレットの準備をしたり、ギャラリーを花で飾ったりと、久し振りの仕事が力仕事でドッと疲れてしまったけど、南あゆみの世界が出来上がった時は嬉しかった。まだ会って2日なのに、前からの
2020年5月8日 13:49
私はギャラリーの中の写真を見た。普段なら見過ごしてしまうような、日常の何気ない一場面を、主人公にした写真が多かった。脇役をメーンにした写真。「ねえ、この近くに住んでるの?」「えっ?はいそうです。」「主婦?」「えっ?まっ一応、最近結婚して引っ越して来たんです。」「そうなんだ、何か仕事してるの?」「今探してて、でもなかなか希望の仕事が無くて。」「会ったばかりで
2020年5月5日 10:41
祐一は私が婚姻届けを出していないことに気が付いていなかった。引越しの前に色々と二人で話し合った。結婚式をやるか?やらないか?いつ婚姻届けを出すか?どこに引っ越すか?親族の挨拶はどうする?仕事は?お金は?結婚は大変。「好き」だけじゃ結婚は出来ない、って言っていた人がいたけど、今なら意味が理解できる。他人が一緒に暮らすには、譲り合いが必要。そこには愛と許しが無いと
2020年3月30日 12:25
「川崎さん来週の金曜日って暇ですか?」後輩の中谷が聞いて来た。「来週?べつに予定は無いけど・・・」「みんなで暑気払いをしようって社長が言ってて、川崎さんも参加ですね。」中谷は相変わらず少し変わっている。私は参加するなんて一言も言ってない、でも社長が来るなら強制飲み会なので欠席は許されない。「この前、忘年会をやったお店に仕事が終わったら集合です。」「うん、わかった。」
2019年12月18日 11:06
私は重たい気持ちを引きずって、1人で家に帰った、家にいても、会社に行っても、私は孤独、このまま孤独死するのかな?私の心は底なし沼に沈んでしまった。次の日も私の心は沈んだままだった、底なし沼から這い上がるには時間がかかる。朝起きてカーテンを開けて、「会社行きたくない!」と独り言を言って見た。わかってる、生きる為に働かないといけない。私はがんばって仕事に行った。そして
2019年12月12日 14:28
会社に着いて私はまず自分の紅茶を入れた。そして席に座って温かい紅茶を飲んだ。私の名前は川崎海月(みづき)海の月なんて暗い名前でしょ?この会社に勤めてもう6年になる。ここで働く前は雑誌の編集の仕事をしていた。と言っても1年だけだけど・・・私は大学を出て雑誌の編集の会社に入社した。みんな意識の高い女性ばかりで、私はみんなの輪に入ることが出来ず、いつも疎外感を感じてい