マガジンのカバー画像

運命と私

180
運命には逆らえない。運命に翻弄されながら生きた女性の一生。
運営しているクリエイター

#運命

敏感な私(世界と私7)

敏感な私(世界と私7)

扉から顔を出したは、
細身で色が白く、私より少し背が高く、
髪の長い女性だった。

「25日からだけど、良かったら見て行って!
中にもいっぱい写真があるから。」

そういうと彼女は私の手を引いて中に入れた。

とても狭いギャラリーだったけど、
中には写真と絵がたくさん飾ってあった。

「絵も描くんですか?」

「うん、そうなんだ、写真がほとんどだけど、
良いアイデアが浮かんだら絵も描く!
写真好き

もっとみる
新たな出会い(世界と私6)

新たな出会い(世界と私6)

クリスマスまであと2日。
私は簡単に家クリスマスをやろうと、
準備の為に買い物に出かけた。

風は冷たいけど、
外の空気は気持ちがいい。

スーパーは歩いて10分のところにある。

私はいつも大通りを歩いてスーパーに行くのだけど、
たまには違う道で行って見ようと、
路地を曲がり、住宅街を歩いていた。

閑静な住宅街を歩いていると、
小さなギャラリーがあった。

「こんなところにギャラリー?」

もっとみる
優しい眠り(世界と私4)

優しい眠り(世界と私4)

私は夜道を久しぶりに1人で歩いた。

クリスマス一色の町、
みんなが忙しそうに見える。

私は夜の散歩を楽しんで家に帰って来た。

マンションの前に立って、
マンションを見上げた、
ここで何人が生活してるのかな?
みんなそれぞれの生活があって、
みんなそれぞれの運命に従っている。

なにか不思議な感じがする。

家に帰ると祐一はもう寝ていた。

私はお風呂に入り、
部屋を片付けて、
リビングのソフ

もっとみる
運命と私88( 甘い味)

運命と私88( 甘い味)

私たちは夜道を散歩しながら祐一の家に向かった。

祐一の部屋はいつもより綺麗だった。

私は紅茶をいれてアップルパイをお皿にに取り分けた。

「長野のお土産?でも男の人にアップルパイをワンホールって
めずらしいお土産だね。」

「彼女さんと食べて下さいってくれたんだよ。」

「そうなんだ、優しい人だね。」

アップルパイを一口食べると、
甘すぎないでしっとりしたおいしいアップルパイだった。

「昨

もっとみる
運命と私 55

運命と私 55

お弁当とお蕎麦とお酒を買って祐一の家に帰宅。

お昼ごはんを食べていなかった私たちは、
早めに夜ごはんを食べて、
テレビを見ながらまったりしていた。

「1年って早いね。」

「うん、でも今年の年末も1人だと思ってたのに、
みづきと出会えて良かった。
人生って何が起こるか本当にわからないよな。」

「うんうん、運命って急に動き出すから、
ときどき戸惑うよね。」

「オレはいつも運命に身を任せて、

もっとみる
運命と私 17

運命と私 17

最近は食欲が無かったのだが、
サンドイッチを見たら、
久し振りに食べたいという気持ちになった。

私は迷わずお店に入った、
出来たばかりの綺麗なお店で、
お店の奥を見るとテラス席もあった。

12月にテラス席に座る人はあまりいないようで、
誰も座っていなかった。

「テラス席でもいいですか?」

「えっ!いいですけど、寒いですよ。」

「大丈夫です。」

私はテラス席に座ってローストビーフのサンド

もっとみる
運命と私 1

運命と私 1

また朝が来た。

まだ外は暗く重い空気が流れている。

冬の朝は憂鬱。

布団から出るだけでも大変。

いつもと同じ朝。

いつもと変わらない私。

ただ季節と時代だけが変わっていく。

私は重い体を起こして、
布団から出て、
石油ストーブを点火する。

石油ストーブ独特の匂いが部屋の中に広がる。

私はストーブの前で膝を抱えて座って、
膝に顎をのせてストーブの火を見ていた。

薄暗い部屋に煌々と

もっとみる
運命と私 6

運命と私 6

「もうこんな時間行かなきゃ!」

とるみがカバンから財布を出した。

その財布はエルメスの財布だった。

「私ね去年独立して、
今は自分で会社経営してるんだ。
明日はニューヨークに行かないと行けなくて、
これから明日持って行く物を買いに行くのよ!」

「えっ!?独立?会社経営?社長ってこと?」

私は頭が混乱した。

「うん、小さな会社で従業員は6人だけどね。」

「すごい!社長なんて・・・
ニュ

もっとみる
運命と私 5

運命と私 5

「るみ?」

「海月だよね?久しぶり!昔と変わらないね!」

「るみも変わらないよ!ここで何してるの?」

「これから買い物に行こうと思ってて、
あっそうだ!今って時間ある?」

「今?大丈夫だよ、1人で買い物してただけだから。」

「お昼食べようと思ってて、
1人だとさみしいから一緒に食べない?」

「うん、いいよ!」

私は旧友に会えて嬉しかった。
変わってないと言うのは褒め言葉なの?
それと

もっとみる
運命と私 4

運命と私 4

4年前。

この会社に入社して2年が過ぎた25歳の時、
学生の時の友達が結婚ラッシュで、
結婚式に招待されることが多かった。

ウエディングドレスを着た友達を始めた見た時は、
違和感があった、
学生の時はいつも一緒にふざけていた友達が、
結婚して家庭を築くなんて・・・
大人になったんだと実感した瞬間でもあった。

みんなキラキラした笑顔で幸せが溢れていた。

当時の私は彼氏もいなく、
自分だけ取り

もっとみる
運命と私 3

運命と私 3

会社に着いて私はまず自分の紅茶を入れた。

そして席に座って温かい紅茶を飲んだ。

私の名前は川崎海月(みづき)

海の月なんて暗い名前でしょ?

この会社に勤めてもう6年になる。

ここで働く前は雑誌の編集の仕事をしていた。

と言っても1年だけだけど・・・

私は大学を出て雑誌の編集の会社に入社した。

みんな意識の高い女性ばかりで、
私はみんなの輪に入ることが出来ず、
いつも疎外感を感じてい

もっとみる
運命と私 2

運命と私 2

いつもと同じ電車、
いつもと同じ車両に、
いつもと同じ高校生や、
いつもと同じおばさんが座っている。

いつもならスマホでどうでもいいニュースをみたり、
音楽を聴いたりするのだが、
その日は違っていた。

私は電車の音、人の足音、洋服の擦れる音、
外の車の音、すべての音を聞いていいた。

なぜだろ?

生きているって実感が欲しかったのかもしれない。

気が付くと私はなぜか泣いていた。

急いで下を

もっとみる