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講談社児童文学新人賞・3年分の選評の補足のようなもの
講談社児童文学新人賞の選考委員を務めるようになって3年が経ちました。
今年も「王様のキャリー」という全力で推したい作品と出会い、その作品に賞を贈れたことを、心からうれしく思っています。
こちらのサイトに選評も掲載されていますので、ご興味がありましたらお読みください。
その選評について、前々から心苦しく思っていたことがありました。
私は15年前に講談社児童文学新人賞の佳作をもらった「サナギのしあわ
第63回講談社児童文学新人賞受賞作『波あとが白く輝いている』のご紹介
昨年の講談社児童文学新人賞で佳作を受賞した、蒼沼洋人さんの『波あとが白く輝いている』が発売されました。
佳作ではありますが、それは応募原稿の段階では、この作品が未完成ともいえる状態だったから。これだけのものを書ける作者が、応募規定の枚数制限を気にせず改稿をすれば、大賞レベルの作品になるに違いない。
応募原稿を読んだときからそう期待していましたが、大幅な加筆・修正を経て出版された完成版の作品は、予
土屋文明記念文学館企画展「新進気鋭の作家たち」について
群馬県高崎市にある群馬県立土屋文明記念文学館で、企画展「新進気鋭の作家たち ―阿部智里・如月かずさ・武内涼・友井羊の世界―」が6月18日(日)まで開催中です。
群馬県出身の4人の現役作家の創作にまつわる資料などを展示する企画で、光栄にもその作家のひとりに私も選んでいただきました。企画の詳細はこちらのページをご覧ください。
その土屋文明記念文学館に、展示を見にうかがってまいりました。
館内に入ると
「サナギのしあわせ」を書いたときのこと(後編)
2008年の講談社児童文学新人賞の応募期限は、現在とは違って4月8日でしたが、3月1日の時点で「サナギのしあわせ」のアイデアはまったく思いついていませんでした。
40日弱でまったくゼロの状態から長編のリアリズム作品を完成させる。いまそういう依頼をもらっても、まず「無理です」とこたえます。
それでもなんとか応募原稿を書きあげることができたのは、そのころ自分自身が感じていたことや過去の経験をうま
「サナギのしあわせ」を書いたときのこと(前編)
選考委員を務めている講談社児童文学新人賞の応募期限まで2ヶ月を切りました。応募を目指している皆様は、応募作の執筆は順調でしょうか。
ちなみに15年前、私自身がこの賞に応募したときは、期限の2ヶ月前にはまだ作品を書きはじめていないどころか、アイデアのかけらさえもなかったのですが…。
私は2008年に『サナギの見る夢』で講談社児童文学新人賞の佳作をいただいて、児童書作家としてデビューしました(