如月かずさ

児童書作家をしています。著作は『カエルの歌姫』『スペシャルQトなぼくら』『給食アンサン…

如月かずさ

児童書作家をしています。著作は『カエルの歌姫』『スペシャルQトなぼくら』『給食アンサンブル』「なのだのノダちゃん」シリーズ「ミッチの道ばたコレクション」シリーズなど。執筆のご依頼や著作物使用等はkisaragi166◆gmail.comまでご連絡ください(◆を@に変えてください)

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  • 創作集団プロミネンス

    • 66本

    「創作集団プロミネンス」とその会員の皆さんの活動をお知らせします。 「創作集団プロミネンス」は、その前身である「少年文芸作家クラブ」時代から半世紀近い歴史を持つ、児童書の作家・画家の職能団体です。 現在、岩崎書店と共に、「福島正実記念SF童話賞」(中学年向け)、「ジュニア冒険小説大賞」(高学年以上向け)というふたつの児童文学新人賞を運営しています。 「少年文芸作家クラブ」は1968年秋に発足しました。 規約には「本会は少年少女を対象としたエンターテイメントの創作、ノンフィクション、翻訳、美術を職能とする者によって、構成される」とあり、 初期の名簿には故石ノ森章太郎氏も名を連ねていました。 規約の文言は「本会は主として年少の読者を対象とした創作、ノンフィクション、翻訳、美術を職能とする者によって構成される」と修正されましたが、 現在も発足当時の精神を受け継いでいます。

  • 『給食アンサンブル2』紹介記事まとめ

    『給食アンサンブル2』に収録されている6編の物語を紹介した記事のまとめです。

最近の記事

新刊『ほんとにともだち?』

新刊『ほんとにともだち?』が小峰書店様から発売されました! なかよしのはずだけど、自分とあの子はほんとに友だちなのかな。あの子は自分のことを友だちだって思ってくれてるのかな。そんなふうに不安になってしまう気持ちを描いた、低学年から読めるあたたかなふんいきの物語です。 挿絵を描いてくださったのは高橋和枝さん。ふんわりとしたやさしいタッチで描かれた動物たちが、それはもう素晴らしくかわいらしいので、まずは挿絵だけでもぱらぱらめくってご覧になってください。 物語の主役はくまのまあ

    • 新刊『まほうのアブラカタブレット』

      しばらくぶりの新刊『まほうのアブラカタブレット』が、12月22日頃にPHP研究所から出版されます。 いたずら好きの小学生・こたろうが、ランプの精ならぬタブレットの精のタブーといっしょに、魔法のアプリを使ってハチャメチャな騒動を巻き起こす、とびきり愉快な物語です。 「アラジンと魔法のランプ」モチーフの話は、『ミッチの道ばたコレクション ドラねこまじんのボタン』ですでに書いているのですが、「アブラカタブレット」なんて心惹かれる呪文を思いついてしまったら、書かずにはいられませんでし

      • 講談社児童文学新人賞・3年分の選評の補足のようなもの

        講談社児童文学新人賞の選考委員を務めるようになって3年が経ちました。 今年も「王様のキャリー」という全力で推したい作品と出会い、その作品に賞を贈れたことを、心からうれしく思っています。 こちらのサイトに選評も掲載されていますので、ご興味がありましたらお読みください。 その選評について、前々から心苦しく思っていたことがありました。 私は15年前に講談社児童文学新人賞の佳作をもらった「サナギのしあわせ」の応募原稿を書いたとき、過去の選評をおおいに参考にしました。オンラインに残っ

        • 待望の続編! 東曜太郎さんの『カトリと霧の国の遺産』を読みました!

          第62回講談社児童文学新人賞の佳作受賞作にして、幅広い読者の好評を博した、東曜太郎さんの『カトリと眠れる石の街』。その続編となる『カトリと霧の国の遺産』が発売されました! 一昨年の新人賞の最終選考で、『カトリと眠れる石の街』の応募原稿を読んだときから、この作者さんの作品をもっと読みたい、願わくばこの『カトリ』の続きを読ませてほしい、と思っていたので、念願の続編を大喜びで読ませていただきました。 前作同様、まず装丁が素晴らしいです。まくらくらまさんが描かれたカバーイラストはも

        新刊『ほんとにともだち?』

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        • 『給食アンサンブル2』紹介記事まとめ
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          第63回講談社児童文学新人賞受賞作『波あとが白く輝いている』のご紹介

          昨年の講談社児童文学新人賞で佳作を受賞した、蒼沼洋人さんの『波あとが白く輝いている』が発売されました。 佳作ではありますが、それは応募原稿の段階では、この作品が未完成ともいえる状態だったから。これだけのものを書ける作者が、応募規定の枚数制限を気にせず改稿をすれば、大賞レベルの作品になるに違いない。 応募原稿を読んだときからそう期待していましたが、大幅な加筆・修正を経て出版された完成版の作品は、予想をさらに上まわる素晴らしいものになっていました。 『波あとが白く輝いている』

          第63回講談社児童文学新人賞受賞作『波あとが白く輝いている』のご紹介

          『YA!ジェンダーフリーアンソロジー TRUE Colors』

          私も作品を書かせていただいた『YA!ジェンダーフリーアンソロジー TRUE Colors』が発売されました。題名のとおり、ジェンダーにまつわる悩みや問題を抱えた中学生たちが主役のアンソロジーです。 執筆陣は小林深雪さん、にかいどう青さん、長谷川まりるさん、水野瑠見さん、菅野雪虫さんと私。イラストを担当してくださった鎌谷悠希さんの読みきり漫画も収録された、なんとも豪華な1冊となっています。 私の書いた作品の題名は「いわないふたり」。作品の語り手である真結は、小学生のころから

          『YA!ジェンダーフリーアンソロジー TRUE Colors』

          土屋文明記念文学館企画展「新進気鋭の作家たち」について

          群馬県高崎市にある群馬県立土屋文明記念文学館で、企画展「新進気鋭の作家たち ―阿部智里・如月かずさ・武内涼・友井羊の世界―」が6月18日(日)まで開催中です。 群馬県出身の4人の現役作家の創作にまつわる資料などを展示する企画で、光栄にもその作家のひとりに私も選んでいただきました。企画の詳細はこちらのページをご覧ください。 その土屋文明記念文学館に、展示を見にうかがってまいりました。 館内に入るとすぐに、『給食アンサンブル2』の大きな書影がお出迎えしてくれて感激。そして展示室

          土屋文明記念文学館企画展「新進気鋭の作家たち」について

          「サナギのしあわせ」を書いたときのこと(後編)

           2008年の講談社児童文学新人賞の応募期限は、現在とは違って4月8日でしたが、3月1日の時点で「サナギのしあわせ」のアイデアはまったく思いついていませんでした。  40日弱でまったくゼロの状態から長編のリアリズム作品を完成させる。いまそういう依頼をもらっても、まず「無理です」とこたえます。  それでもなんとか応募原稿を書きあげることができたのは、そのころ自分自身が感じていたことや過去の経験をうまく物語に活用できたから、そしてキャラクターに助けられたからだったと思います。

          「サナギのしあわせ」を書いたときのこと(後編)

          「サナギのしあわせ」を書いたときのこと(前編)

           選考委員を務めている講談社児童文学新人賞の応募期限まで2ヶ月を切りました。応募を目指している皆様は、応募作の執筆は順調でしょうか。  ちなみに15年前、私自身がこの賞に応募したときは、期限の2ヶ月前にはまだ作品を書きはじめていないどころか、アイデアのかけらさえもなかったのですが…。  私は2008年に『サナギの見る夢』で講談社児童文学新人賞の佳作をいただいて、児童書作家としてデビューしました(諸事情で出版の順番が前後して、ジュニア冒険小説大賞の『ミステリアス・セブンス』の

          「サナギのしあわせ」を書いたときのこと(前編)

          『給食アンサンブル2』収録作品紹介⑥

          『給食アンサンブル』の最終話を飾るメニューは、給食には欠かすことのできない牛乳です。 給食の牛乳が苦手な方、苦手だった方、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。この物語の主役の千秋も、牛乳が嫌いでずっと飲んでいません。そして彼女の片想いの相手もまた、牛乳が苦手だったのですが…。 千秋は中1のときから、クラスメイトの男子に片思いをしていました。2年生でも彼とおなじクラスになれて喜んでいましたが、3学期の終わりが近づいても、気弱な千秋は彼との距離を縮められずにいました。

          『給食アンサンブル2』収録作品紹介⑥

          『給食アンサンブル2』収録作品紹介⑤

          『給食アンサンブル2』第5話のメニューはくじらの竜田揚げです。 昭和の給食メニューという印象がありますが、現在も地域によってはたまに給食に出ることがあるようです。私も何度か給食で食べたような記憶があります。 今回も実際にくじらの竜田揚げをつくってみたのですが、材料の調達に大変苦労しました。あてにしていた大きな魚屋さんではくじら肉が見つからず、ほうぼうのお店をまわってどうにか入手することができました。 くじら肉は硬いとかくさみがあるとかいわれますが、下味をしっかりつけておいたお

          『給食アンサンブル2』収録作品紹介⑤

          『給食アンサンブル2』収録作品紹介④

          『給食アンサンブル』第4話のメニューはクリームシチューです。やさしくあたたかな味の定番メニューですが、物語の主役の高城はその味の印象とは正反対にとげとげしています。 「七夕ゼリー」の美貴も結構とげとげしていましたが、あのときの彼女よりさらにとげとげです。『給食アンサンブル』の物語の主役としてはめずらしいタイプかもしれません。 真面目で堅物の高城は、3年生の引退後、吹奏楽部の部長になりました。 小学校時代に聴いた吹奏楽のコンサートで感動したのをきっかけに、自分も仲間たちとあん

          『給食アンサンブル2』収録作品紹介④

          『給食アンサンブル2』収録作品紹介③

          前回のハヤシライスに続き、題名になっている料理をまたつくってみました。 第3話のメニューはミートボール。そういえばミートボールってつくったことないかも、とつくりはじめてから気づきましたが、そんなに難しい料理じゃないでしょ、とあまく見ていました。 ところは鍋のサイズを間違えて、ミートボールが鍋のなかにぎゅうぎゅう詰めになり、その状態で無理に転がしているうちに、形が崩れてしまいました。レシピになかった玉ねぎのみじんぎりを勝手に追加したのもまずかったのかも…。 形が比較的い

          『給食アンサンブル2』収録作品紹介③

          『給食アンサンブル2』収録作品紹介②

          『給食アンサンブル2』第2話はハヤシライスの物語。主役は前作でも美貴や桃、梢の友人としてたびたび登場していた漫画好きの朋華です。 朋華が愛読している漫画は、72の魔剣と悪魔をめぐる剣戟バトルファンタジー漫画『ヴァイス・ブレイド』。朋華はその漫画に登場する悪魔の美青年イベルのことを、小学校時代から熱烈に推していました。 ところがその『ヴァイス・ブレイド』の連載が、打ち切り同然の形で終わってしまい、朋華は悲しみに暮れています。 突然の連載終了からしばらくたっても、朋華はそのショ

          『給食アンサンブル2』収録作品紹介②

          『給食アンサンブル2』収録作品紹介①

          学校給食をテーマに、中学生の少年少女の心模様を描いた連作短編集『給食アンサンブル2』の発売まで、あと2週間となりました。 前作『給食アンサンブル』と同様に、『2』でも6品の給食の定番メニューを題名に冠した物語が収録されています。発売までのあいだ、その6編の収録作品を、ひとつずつご紹介したいと思います。まずは第1話の「アーモンドフィッシュ」から。 「アーモンドフィッシュ」の主役はもとバスケ部員の慎吾。前作でもバスケ部員の満や雅人の友達として、ちょこっとだけ登場しています。

          『給食アンサンブル2』収録作品紹介①

          第62回講談社児童文学新人賞受賞作のご紹介

          昨年の講談社児童文学新人賞の受賞作が、続々と出版されています。 大賞の鳥美山貴子さん『黒紙の魔術師と白銀の龍』と佳作の林けんじろうさん『星屑すぴりっと』はすでに好評発売中。もうひとつの佳作受賞作、東曜太郎さんの『カトリと眠れる石の街』も9月末に発売予定となっています。 選考委員としてわずかでも受賞作の応援ができればと思い、紹介記事を書くことにいたしました。過去最高の795作の中から選ばれた3作品は、どれも素晴らしく魅力的なものばかり。興味を惹かれる作品があったら、ぜひ手に取

          第62回講談社児童文学新人賞受賞作のご紹介