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『YA!ジェンダーフリーアンソロジー TRUE Colors』

私も作品を書かせていただいた『YA!ジェンダーフリーアンソロジー TRUE Colors』が発売されました。題名のとおり、ジェンダーにまつわる悩みや問題を抱えた中学生たちが主役のアンソロジーです。


執筆陣は小林深雪さん、にかいどう青さん、長谷川まりるさん、水野瑠見さん、菅野雪虫さんと私。イラストを担当してくださった鎌谷悠希さんの読みきり漫画も収録された、なんとも豪華な1冊となっています。

私の書いた作品の題名は「いわないふたり」。作品の語り手である真結は、小学生のころから自分はレズビアンなのではないかと疑っていました。中学生になった真結は、大人びたクラスメイトの千歳に惹かれていきますが、あるとき千歳もまたレズビアンで、真結に恋心を抱いていたことを知り、晴れて彼女と恋人同士になります。

それから1年とちょっと、真結と千歳は周囲にふたりの関係を隠し、ごく普通の友達として振る舞ってきました。学校では恋人らしいことはできなくても、千歳のそばにいられるだけで、真結は満足していました。ところが中3になるときのクラス替えで、真結と千歳はクラスが離れ、なかなか会うこともできなくなってしまいます。
不自由な日々が続く中、千歳が真結に提案します。「そろそろ隠すのをやめない?」と。恋人同士であることを隠すのをやめれば、もっと自由に学校で会うことができるから、と。

突然の千歳の提案に、真結は動揺してしまいます。そんな真結の反応を見て、千歳は無理強いをするつもりはないとつけたすのですが…。

「いわないふたり」は、カミングアウトをテーマにした物語です。カミングアウトはご存知のとおり、自身がセクシュアルマイノリティであると打ち明けることを意味する言葉ですね。

昨年出版した『スペシャルQトなぼくら』を書くときにも、セクシュアルマイノリティ関連の資料をだいぶ読み漁りました。たいていの資料ではカミングアウトについて、しなければいけないものではないし、カミングアウトをしないという選択も決して間違ってはいない、と書いてありました。

しかしその一方で、特にカミングアウトを行った方々のエッセイや自伝を読んでいると、そんなふうに書かれたら、カミングアウトをしないことを選んだ人々は肩身がせまくなってしまうんじゃないか、自分の選択に胸を張れなくなってしまうんじゃないか、と感じることが少なからずありました。
そのときに感じたもやもやが、「いわないふたり」を書くきっかけになりました。

「いわないふたり」の真結も、カミングアウトはしなくてはいけないものではない、ということはわかっていますが、秘密を明かしたときの周囲の反応を怖れて、恋人の提案をとっさに受けいれられなかったことに、うしろめたさを感じてしまいます。そしてまた、カミングアウトを拒み続けていたら、いつか千歳に愛想を尽かされてしまうのではないかと不安に駆られます。

千歳の提案をきっかけに、ふたりの関係はぎくしゃくしはじめ、心と心の距離が徐々に開いていってしまいます。真結と千歳の物語がどんな結末を迎えるのか、ぜひ作品を読んでたしかめてみてください。

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