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『給食アンサンブル2』収録作品紹介②

『給食アンサンブル2』第2話はハヤシライスの物語。主役は前作でも美貴や桃、梢の友人としてたびたび登場していた漫画好きの朋華です。
朋華が愛読している漫画は、72の魔剣と悪魔をめぐる剣戟バトルファンタジー漫画『ヴァイス・ブレイド』。朋華はその漫画に登場する悪魔の美青年イベルのことを、小学校時代から熱烈に推していました。
ところがその『ヴァイス・ブレイド』の連載が、打ち切り同然の形で終わってしまい、朋華は悲しみに暮れています。

いや、なにやってるんだろうね、ほんとに。
クラスメイトがキラキラした恋愛の真っ最中だってのに、
こっちは好きだった漫画のキャラのことを考え続けて
一ヶ月も落ちこんでるとか、不毛にもほどがあるでしょ。

「ハヤシライス」より

突然の連載終了からしばらくたっても、朋華はそのショックから立ちなおることができません。連載終了と同時に、ずっと好きだったイベルがどこかに消えてしまったように感じて、喪失感にさいなまれているのです。
朋華はあくまでイベルのことを、漫画のキャラとして愛しているつもりでした。実在しない相手に本気で恋するなんて不毛で痛すぎる。そう考えていた朋華でしたが、イベルを失った悲しみは、まるで現実の恋人との別離のように深く、そんなふうに感じてしまう自分に彼女は戸惑い、あきれています。
イベルの好物で得意料理だったハヤシライスは、果たして朋華の心を癒やすことができるのでしょうか。
 
この朋華を主役とした物語は、『飛ぶ教室』で前作を連載していたときからアイデアを思い描いていました。
しかし全6回の連載で主人公をバランスよく男女3人ずつとすると、女子の枠は美貴と桃と梢で埋まってしまうので、朋華主人公のアイデアは残念ながら採用を見送ることにしたのでした。
なのでこうして『2』で朋華の物語を書くことができて、とてもうれしく思っています。
 
また、この紹介記事を書くにあたって、題名の料理を実際につくって写真を載せることにしました。上に載せてあるハヤシライスの写真がそれです。
前作のときはこのように光村図書の編集者さんに作中で登場するメニューをつくっていただいたので、今度は私が自分でつくってみることにしたわけです。
 
ひとり暮らしでずっと自炊をしてきたので、料理はある程度できるつもりです。ただ、基本アドリブ重視というかフィーリング重視というか、要はとてもいいかげんなので、今回のハヤシライスをつくるときもいろいろとトラブルがありました。
「あっ、これカットトマト缶じゃん。レシピだとホールトマトだけど、開けちゃったしまあいいか」とか、「薄力粉がない!? もうつくりはじめちゃったから片栗粉でなんとかするしか…!」とか、「味が薄いからクレイジーソルトをいれよう。クレイジーソルトはたいていのことを解決する」とか。
とりあえずハヤシライスらしい外見のものが完成してほっとしました。次回以降も料理頑張ります。

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