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只々耽美な日本語が好きなだけの成人。 気軽にいいねしてくれたら喜びます。 垂らす言葉は…

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只々耽美な日本語が好きなだけの成人。 気軽にいいねしてくれたら喜びます。 垂らす言葉はありがちな。

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短編小説 / アリス。

彼の金の髪はまるで 絹糸のようにつややかで 触れることすら憚られるほどのそれを、 ふと、取り去ってしまいたくなったの。 どうしようもなく、 それが欲しくなってしまっ…

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1年前
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自己紹介

#自己紹介 今更ながらの自己紹介をさせて頂きたく思います。 初端からなんだなんだと思われることでしょうが、わたくし、これと言って別段、紹介するようなこともありませ…

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1年前
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短編小説 / わたくし

こう思うのです。 わたくしめは、きっとこの世に一人だけの 大層素晴らしい才能を持った人間だと。 わたくしめは、他の誰よりも見目が良く ほがらかに笑う人間だと。 わ…

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1年前
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AM.9:55。規則正しく音を立て時を刻む古びた壁掛時計を忌々しげに見遣る。日光が遮断された部屋には冷ややかな空気が溜まりこみ、時折何処かの隙間から薄らと肌を撫で去っていく。床へ山と積まれた分厚い書籍達はとうに読み終え、幾度も読む内にあらかた記憶してしまっていた。

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1年前
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短編小説 / 嚥下

先ず 言葉が滞る、喉に詰まり、傍から聞いていれば、言わんとする事が何ら理解できないような。声量が上がり、アレは何と云う冪か、吃音症がよほどひどくなったようになる…

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1年前
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短編小説 / 汚泥

腹が脹れ、之以上飲み込めないと訴える、酒に酔ったかの様な酩酊感は始終続いて居る。 おのれの臓腑の中全てに彼奴の言葉が詰まって居る様な、気分は絶えず昂って居て、良…

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1年前
4
短編小説 / アリス。

短編小説 / アリス。

彼の金の髪はまるで 絹糸のようにつややかで
触れることすら憚られるほどのそれを、
ふと、取り去ってしまいたくなったの。
どうしようもなく、
それが欲しくなってしまったの。

はじめて会った時、
あなたお庭で本を読んでいたわ。
林檎の木の下に座って、読んでいたのは

ええと、ええと。
…………そう!不思議の国のアリス。
わたしが青いワンピースを着て、
あなたが時計をもっていたから、

「 しろうさぎ

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自己紹介

自己紹介

#自己紹介
今更ながらの自己紹介をさせて頂きたく思います。
初端からなんだなんだと思われることでしょうが、わたくし、これと言って別段、紹介するようなこともありませんで。

ただただ駄文を書き連ねていこうと思いますので、どうぞ最後まで読んでやって下さい。

あれは私の高校時代のことでありました。
そんなに遡るのかと呆れずに、どうぞ最後まで。

高校三年生の五月、そろそろ皆が進路やら何やらと己の目指す

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短編小説 /  わたくし

短編小説 / わたくし

こう思うのです。

わたくしめは、きっとこの世に一人だけの
大層素晴らしい才能を持った人間だと。

わたくしめは、他の誰よりも見目が良く
ほがらかに笑う人間だと。

わたくしめは、人から好かれ、
また、おなじように人をあいせる素敵な人間だと。

ですがたまに、こうも思うのです。

わたしのような人間は、この世に腐るほどいて、
これのいった才能のない、ありふれた人間だと。

わたしのような人間は、た

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AM.9:55。規則正しく音を立て時を刻む古びた壁掛時計を忌々しげに見遣る。日光が遮断された部屋には冷ややかな空気が溜まりこみ、時折何処かの隙間から薄らと肌を撫で去っていく。床へ山と積まれた分厚い書籍達はとうに読み終え、幾度も読む内にあらかた記憶してしまっていた。

短編小説 / 嚥下

短編小説 / 嚥下

先ず 言葉が滞る、喉に詰まり、傍から聞いていれば、言わんとする事が何ら理解できないような。声量が上がり、アレは何と云う冪か、吃音症がよほどひどくなったようになる。
本人に自覚はないらしい。
次に、立った儘 クンックンッ、と目に見えぬ糸で頭から片方へ引かれているように痙攣し出す。勿論、両の眼も、その方向へ。
そうして 不意に、プツン──と、その吊り糸が切れたように身体が力を失い、地へ落ちた。肌はひど

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短編小説 / 汚泥

短編小説 / 汚泥

腹が脹れ、之以上飲み込めないと訴える、酒に酔ったかの様な酩酊感は始終続いて居る。
おのれの臓腑の中全てに彼奴の言葉が詰まって居る様な、気分は絶えず昂って居て、良い意味での気持ちの悪さ。
喉が抉れるぐらいに甘い甘い蜜を、本来なら薄めてやっと口にする筈の物を、原液その儘流し込まれた。分かるだろうか、此感覚が。否、きっと分からんだろうな、同じ状況下にならぬ限りは。

吐き出したいのに、余りにも美味なそれ

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