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短編小説 / アリス。
彼の金の髪はまるで 絹糸のようにつややかで
触れることすら憚られるほどのそれを、
ふと、取り去ってしまいたくなったの。
どうしようもなく、
それが欲しくなってしまったの。
はじめて会った時、
あなたお庭で本を読んでいたわ。
林檎の木の下に座って、読んでいたのは
ええと、ええと。
…………そう!不思議の国のアリス。
わたしが青いワンピースを着て、
あなたが時計をもっていたから、
「 しろうさぎ
AM.9:55。規則正しく音を立て時を刻む古びた壁掛時計を忌々しげに見遣る。日光が遮断された部屋には冷ややかな空気が溜まりこみ、時折何処かの隙間から薄らと肌を撫で去っていく。床へ山と積まれた分厚い書籍達はとうに読み終え、幾度も読む内にあらかた記憶してしまっていた。