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短編小説 / 嚥下

先ず 言葉が滞る、喉に詰まり、傍から聞いていれば、言わんとする事が何ら理解できないような。声量が上がり、アレは何と云う冪か、吃音症がよほどひどくなったようになる。
本人に自覚はないらしい。
次に、立った儘 クンックンッ、と目に見えぬ糸で頭から片方へ引かれているように痙攣し出す。勿論、両の眼も、その方向へ。
そうして 不意に、プツン──と、その吊り糸が切れたように身体が力を失い、地へ落ちた。肌はひどくあつい。
言わば、ねつを持ったこおりのよう。
桃色のかんばせは色を失い、次第に青白く。眼は上瞼に上がり、支える筋肉が働かぬ口元は緩み切りダラリと涎を垂れ流す。
吐瀉物か唾液か何かは分からんが、何やら何かが詰まっているようで、女の喉がゴポッと音を立てた。

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