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2024年、TikTokを取り巻く世界の動向

今月4月20日付けのフランス版新華社通信(XINHUANET/French.news.cn)によれば、中国商務部のデータによると、中国の第1四半期の越境ECは前年同期比9.6%増の5,776億元(約813億ドル)に達したとのこと。

以下、記事全文です。

この期間、ハンガリー、アラブ首長国連邦、カンボジア、ブラジルといったシルクロードECのパートナー国とのEC輸出入が急成長した、と商務部は述べている。

国際的なEC協力のペースは加速しており、同部は初めて中国のECプラットフォームを組織し、外国でロードショーを実施したと指摘した。同部によると、この取り組みのおかげで、中国のEC企業はイタリアの60社以上の中小企業と接触したという。

第1四半期の中国のオンライン小売売上高は3兆3,000億元に達し、前年同期比12.4%増となった。

出典:(Multimédia) Chine : le commerce électronique transfrontalier en hausse de 9,6% au premier trimestre(XINHUANET/French.news.cn)

ちなみにスペインの2023年第3四半期の越境EC売上額は、約3億1,000万ユーロで、米ドルに換算すると約3億3,000万ドル。(1€=1.07ドルで計算)
日本の2024年の越境ECの収益は、1,910億米ドルに達すると予測されているので(by Statista)、それを4等分して単純計算すると、1四半期は約477億5,000万ドルです。

それに比べて中国はやはり規模が違いますね。

中国から海外に向けた越境ECは、TemuやSHEIN、AliExpressなど、私たちもよく知っているECサイトがいくつもあります。
また、今回取り上げるTikTokは、中国の企業ByteDanceが開発・運営しているSNSサイトですが、現在はECとの連携にも力を入れています。

広告配信プラットフォーム「TikTok For Business」サービスを開始したり、その後、2020年にはShopifyがソーシャルメディアプラットフォームのポートフォリオにTikTokを追加し、オンライン販売者がTikTok上で消費者に製品を直接販売できるようになりました。
2022年にはイギリスで「TikTok Shop」を立ち上げ、現在はインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、アメリカ、ベトナムで展開されています。
(現時点で日本ではまだのようですね…。)

TemuやSHEINなどもそうですが、注目を浴びるようになると出る杭は打たれるとでもいいますか、TikTokのEC市場進出にも様々な紆余曲折があります。
個人的に記憶に新しいのは、このニュースです。

さて、今回はスペインのECニュースサイト「Ecommerce News」から、TikTokにまつわる2つの大国の明暗入り乱れた話題をお届けします。



TikTok Shop、高級中古ファッションを英国に拡大

TikTokのソーシャルコマース・マーケットプレイスであるTikTok Shopは、英国で中古高級ファッション・カテゴリーを開始する。
このカテゴリーはTikTok Shop USではすでに半年以上前から存在していた。新カテゴリーでは、英国の顧客はデザイナーハンドバッグやその他のアクセサリーを含む高級中古服を購入することができる。Sellier、Luxe Collective、Sign of the Times、HardlyEverWornIt、Break Archiveなどのブランドからスタートする。

セカンドハンド・ラグジュアリー市場は、2023年までに世界で約493億ドルを生み出すと推定されていた。さらに今回の事業拡大は、英国における中古品購入のトレンドの高まりに沿うもので、The RealReal、Vestiaire Collective、Depop、Poshmark、Mercariなどに対抗する新たなマーケットプレイスを提供する。

TikTokにおける中古ファッションの人気は明らかで、ハッシュタグ #secondhandfashion を使ったTikTokへの投稿は14万4,000件を超え、約12億ビューを記録している。

TikTokショップ、米国で高級品販売の問題に直面

2022年に開始されたTikTok Shopは、それ以来約10億ドルの売上を達成している。しかし、良いニュースばかりではない。同プラットフォームでは、偽造品や低品質商品の存在が著しく増加している。偽造品は、中古の高級品をオンラインで購入する際の最大のリスクであり、AmazonやeBayなどの大手Eコマース企業でさえ、同様の真贋問題に直面している。

現在、他の転売プラットフォームと同様、販売者が偽物を販売したことが証明された場合、全額返金を提供している。さらに、TikTok Shopで中古の高級ファッション製品を販売するすべてのブランドに対し、第三者検証機関が発行する真正品証明書の発行を義務付けている。同社は現在、プラットフォーム上のデザイナーハンドバッグの真正性を確保するため、Entrupy社やReal Authentication社などと共同で新たな認証手段を検討しており、偽造品防止ポリシーの改善を実施している。

現時点でTechCrunchを通じて明らかになった情報によると、英国のTikTokは、中古品の販売を開始する5つのブランドが独自の内部認証プロセスを持っているため、当面の間、特別な措置は講じないとのことだ。

Source:TikTok Shop expande la moda de lujo de segunda mano a Reino Unido(Ecommerce News)


米国がTikTok禁止にGOサイン

米下院は、人気ソーシャル・ネットワーク「TikTok」の所有者である中国企業ByteDance社がこれを売却しなければ、全国的な禁止につながる可能性のある法案を可決した。
米下院議員たちは、TikTokが国家安全保障を脅かす中国のツールであることを懸念している。特に、11月の大統領選挙で中国が偽情報を流すことが懸念されている。

法案は352票対65票で可決され、今後は上院に移るが、見通しは不透明だ。ジョー・バイデン大統領の署名後、TikTokは1年以内に米国子会社であるByteDanceを米国企業に売却しなければ永久拒否権を発動される。

このいわゆる「外国敵国が管理するアプリケーションからアメリカ人を保護する法律」は、中国、ロシア、イラン、北朝鮮などの国が管理するすべてのプラットフォームを国家安全保障上の脅威として指定することを認めるものだ。

施行されれば、このSNSはスマートフォンやタブレットのアプリショップやウェブホスティングサービスから禁止されることになる。今年初めにもTikTokに米国子会社を売却させようとする試みがあったが、結局上院で頓挫した。しかし、今回は条文を修正した上で、来週にも上院で可決される見込みだ。

TikTokが反撃

このニュースに対し、TikTokは「この禁止は、米国の1億7,000万人の登録ユーザーの表現の自由に対する権利の侵害になる」との声明を発表し、「このアプリケーションのおかげで発言力を持つ中小企業やインフルエンサーに害を与える」と主張している。

加えて「米国下院は、1億7,000万人のアメリカ人の言論の自由を踏みにじり、700万社のビジネスに壊滅的な打撃を与え、年間240億ドルの米国経済への貢献をもたらすプラットフォームを閉鎖する禁止法案を再び押し通すために、極めて必要とされている外国からの援助や人道的援助を利用していることは残念だ」と吐露した。

Bloombergによると、TikTokは米国政府に対し、中国とのつながりについて国家安全保障上の懸念が生じないよう「十分な対応」をしていると説得するため、協議の指揮を執っていた幹部を更迭する準備をしているという。

問題となっているのは、TikTokとその中国の親会社であるByteDanceの顧問弁護士であるErich Andersen氏である。同氏は、アプリが中国による米国ユーザーのデータへのアクセスやフィードに表示される内容への影響を防ぐために機能していることを証明するため、長年にわたって米国当局との対話を主導してきた。

しかしこうした努力は米国議会の下院を納得させるには十分ではなかったため、中国企業はAndersen氏を現職から退かせる予定だと、この問題に詳しい関係者は述べている。

禁止令はどのように機能し、TikTokユーザーにとってどのような意味を持つのだろうか?

The New York Timesによると、TikTokを配布またはアップデートしたAppleやGoogleなどのアプリショップには民事罰が課されるという。同アプリはすでに米国で数百万台のスマートフォンに搭載されているが、アップデートを制限することは、ユーザーのアクセス能力を損なう可能性が高い。これは、ウェブホスティング会社がアプリの配布を支援することを禁止する措置によって補完されるだろう。

Source:EE.UU. da luz verde a prohibir TikTok(Ecommerce News)

おわりに

今日は前置き含め3つもニュースを詰め込んでしまいました。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
(「おわりに」は短く締めたいと思います笑。)

今年アメリカは大統領選挙を控えているため、今回の記事でも政界がどれだけナーバスになっているかがうかがえます。
一方、Brexit、パンデミック、インフレと、経済がなかなか上向かないイギリスは、まさしく世相を反映しているとでも言えるのか、中古品のブームと、そのブームに商機を狙うべくTikTokを採用。

お国変われどTikTokを取り巻く環境は、こうも大きく変わるんですね。


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