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コラム

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#日記

夜が怖い

夜が怖い

(映画ミッドサマーについて:若干ネタバレ有)

トラウマを植え付けられる映画だと事前情報でわかっていたはずなのに、つい好奇心に負けて観に行ってしまったミッドサマー。

結論から言うとかなり最高だった。

私はこの映画を観ている間、結構主人公のダニーに入りこんでいた。

早くこの村から逃げ出したい、けれど逃げ出せない絶望と救いのない孤独感が映画館に一人閉じ込められた私の状況と重なる。
村の人たちが次

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自分の位置を見る目を取得したがまた閉じてしまいそうで怖い

自分の位置を見る目を取得したがまた閉じてしまいそうで怖い

目を覚ました私を引き止める温まった羽毛布団。

ティーバッグで簡易的に煮出せる紅茶。

運転免許。

Macのキーボードを打ち込む手と、生産されていくレポートの文字。

水槽の中を優雅に泳ぐゴールデン・エンゼルフィッシュ。

机の引き出しの中から取り出すエステの会員証。

湯の張られた湯船。

私が今日を生きる上で出会ったものたち。

ほんの一部ではあるが、これらのものは資本主義を首尾良く生き延び

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生きるというのはあり得たかもしれない今日を捨てていく作業だ

生きるというのはあり得たかもしれない今日を捨てていく作業だ

この歳になると現実じゃない、叶わなかったいくつもの現在をあれこれ想像できてしまう。
そして幾度か通り過ぎた過去の分岐点に遡っては、あの時こうしておけば良かった、ああしておけばもっと違ったって悔やんでほうっとため息をついたりする。

(もしあの時、あの子に怒ったりしなければ、今もずっと親友でいられたのかも。
もしあの時、あの人に勇気を出して告白していれば、ずるずる引きずってつらい思いをすることはなか

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時を逆走する鳩ぽっぽ

時を逆走する鳩ぽっぽ

恐竜から進化して生き残ったのが鳥だというのは有名な話だ。
ではなぜ鳥は唯一生き残れたのか。
それは、身体的な飛行能力と臆病な性格のおかげなのである。

鳥類全般の特徴としてその二点は特に際立っている。
恐竜絶滅の理由は定かではないが、一説では空を飛べる鳥は逃げることができたから生き延びれたと言われている。
また鳥は、危険を察知したらその正体を確認する前に、本能的にまず逃げることを優先する。たしかに

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私は感情への服従をやめられません。

私は感情への服従をやめられません。

富良野のスキー場で、子グマ3頭が射殺されるニュースが飛び込んできた。

リフトに乗っていたスキー指導員の女性がクマを目撃し、危険を察知して警察に通報、巣穴を発見したのちに3頭の子グマを駆除したという。

このニュースのいたたまれなさは何だろうか。
もちろん、クマを野放しにしていたら、人間の方がやられる危険性があるのは分かる。でも、本来クマの住処だった山を開拓してレジャー施設を作ったのは人間の方だ。

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我がインコたちよ、世に翔け

我がインコたちよ、世に翔け

最近、子どもの写真をSNSにアップする際、スタンプなどで顔を隠して投稿する様子が見られる。たとえ赤ちゃんであってもちゃんと目元が隠されていて、賢明な配慮である。
今はどんな手を使って個人情報を知られるかわからないし、そもそも子供の肖像権を考えたら
大事な加工だと思う。

では、インコに肖像権はあるのだろうか。

わたしは自分のインスタグラムに、実家で飼っている4羽のセキセイインコの写真を載せまくっ

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言霊と新しき世界、自ら切り拓く

言霊と新しき世界、自ら切り拓く

昨日締め切りの仕事を提出し、迎えた徹夜明けの朝。朝といっても目が覚めると昼の12時半。すぐにピンときてスマホを開ける。

新元号「令和」

和風の美しい響き。予想外の爽やかさに、心がほろほろほぐれていく。希望の兆し。解放の予感。

今年大学に合格した弟が、今日東京の寮に引っ越した。家族の新生活が始まる。私の大学も今日から新学期。久々の大学に出向く。桜がまちを所々で色付けしている。貼り出される連絡事

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「男に生まれたかった」を死語にしたい

「男に生まれたかった」を死語にしたい

東京に一人で住みたいと言った時、親に異常に反対された。
サークルの飲み会に参加するといった時、あまりいい顔をされなかった。
ナンパされた、と気軽な気持ちで報告すると、「気をつけなさい」と釘を刺された。
その度に思ったものだ。「なぜそこまで心配されなきゃいけないの?」

今ならその理由がわかる。本当に胸が痛くなる悲惨な事件の判決が、不起訴または無罪になる事例が、あまりにも多すぎる。平成も終わるこの時

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