時を逆走する鳩ぽっぽ
恐竜から進化して生き残ったのが鳥だというのは有名な話だ。
ではなぜ鳥は唯一生き残れたのか。
それは、身体的な飛行能力と臆病な性格のおかげなのである。
鳥類全般の特徴としてその二点は特に際立っている。
恐竜絶滅の理由は定かではないが、一説では空を飛べる鳥は逃げることができたから生き延びれたと言われている。
また鳥は、危険を察知したらその正体を確認する前に、本能的にまず逃げることを優先する。たしかに我が家の飼い鳥も、怖いもの、得体の知れないもの、大きな音に出会ったら光の速さで逃げていく。
それが臆病な性格とも言えるのだが、実は生き延びる上でとっても優秀な性格だったのだ。
みなさんも、猫なんかとはたまに触れ合うことができても、野生の鳥と触れ合った経験がある人はやはり少ないのではないだろうか。
その他にも、鳥は危険から逃げるという上でかなり合理的な身体を持っている。
例えば、体を軽くするため、飛ぶ直前は排便をする、足の骨の8割以上が身体の中に折りたたまれて埋まっているため、空気抵抗が少ない、交尾の時間もかなり短い、など。
そんな風に、優秀な進化を遂げてきた優秀な鳥類であるが、唯一退化してる鳥がいることに最近気づいた。(危険が比較的少ない地に住むペンギンなどの鳥は除く)
それは、上野公園の鳩である。
地方から来た私は都内に住む鳩全般に対し、人への警戒心がほとんどないことにまず驚いたのを覚えている。
そんな中でも、上野公園の鳩は特に呑気なのだ。
あの子達は人間がほんのすぐそばを通っても1ミリも動じない。それどころか、人間がじっとしているとエサがもらえると思って結構寄ってくる。(もらえないとわかったら呆れたように去っていくが)
そして、なんといっても太っている。
首の下の脂肪をタプタプいわせて歩いているのをよく見かける。こんなに太っていては、何か危険にさらされた時に逃げられないではないか。
まあ、鳩が太るほど上野公園は無害、安全ということなのだろう。休日はもとい平日でさえも絶えない人の群れは怖いというよりむしろ、餌をくれる食糧源としか見なしていないのかもしれない。そこはまるで鳩のパラダイス。ここに住んでいる鳩達は富裕層の鳩なのだ。
そんな彼らを横目に見ながら私は上野公園を通り抜ける。2割引のシールが貼られた惣菜パンを手に持って。
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