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週刊少年松山洋

家庭用ゲームソフト開発を行うゲーム会社・株式会社サイバーコネクトツー代表取締役・松山洋の継続課金マガジン。ゲーム・漫画・アニメ・映画などエンターテインメント業界の話を中心に毎週記… もっと読む
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2020年10月の記事一覧

第280号『ゲームソフトの工数見積り④ドラゴンボール編』

第280号『ゲームソフトの工数見積り④ドラゴンボール編』

『ドラゴンボールZ KAKAROT』はストーリー体験と成長を軸としたオープンフィールドRPGでしたので、対戦アクションゲームのような工数見積りとはちょっと意味合いが変わってきます。

RPG(特に本作)ではバトルで敵と闘って成長させるだけではなく、様ざまなフィールド上で探索したり釣りや料理を食べるなど要素が非常に多いのが特徴です。

そうした全ての要素を工数見積りしだすとキリが無いですし(開発時は

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第279号『ゲームソフトの工数見積り③ジョジョ編』

第279号『ゲームソフトの工数見積り③ジョジョ編』

今回は先に具体的なタイトルについてお話しした上でゲーム業界が抱える問題点について言及する流れでいこうと思います。

ということで早速行きましょう。

『ジョジョの奇妙な冒険』の工数見積り過去にサイバーコネクトツーが開発を手掛けてきた『ジョジョの奇妙な冒険』のゲームソフトは以下の二作品です。

『オールスターバトル』は1対1の対戦格闘アクションゲーム。『アイズオブヘブン』は2対2の対戦アクションゲー

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第278号『ゲームソフトの工数見積り②ナルト編』

第278号『ゲームソフトの工数見積り②ナルト編』

ゲームソフトの開発を行う際には必ず工数見積りを行います。そのプロジェクト自体の達成目標に見合った予算を設定するために不可欠な作業です。

サイバーコネクトツーが企画提案することによってプロジェクトが立ち上がったとしても、全ては発注を行うパブリッシャー側の判断で「高すぎる」と判断されたら契約締結とはなりません。

お互いが「これくらいの予算とスケジュールでこれくらいの売上目標を達成させましょう!」と

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第277号『ゲームソフトの工数見積り①基本編』

第277号『ゲームソフトの工数見積り①基本編』

ゲームソフトの開発を行う時には『工数見積り』という考え方で、開発着手時に「全体でいくらのお金がかかるのか」という計算を行います。

企画書にある内容をさらに分解して仕様書に落とし込んでそれをさらに細かくバラしていって工数を算出するのです。

開発スタッフひとりを雇うのにいくらかかるのかは会社によって異なりますし、まさにバラバラですが要するに【工数×人月単価=全体の開発費】という考え方そのものは変わ

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第276号『とあるゲームの禁止目録』

第276号『とあるゲームの禁止目録』

最近わたしがプレイしている『とあるゲーム』の話です。

「あー、やっちまってるな、コレ、うちでは禁止しているゲームデザインだ」

その『とあるゲーム』の先日のアップデートで新たに実装された要素を遊んでいて、挑戦しようとしたら「〇〇〇が200以下でないと挑戦できません」と表示されてプレイそのものが出来なかった時に、そう思いました。

最初は「挑戦条件を満たしていません」とだけ表示されたので「なんでだ

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第275号『キャラクターの死は心に穴が空く』

第275号『キャラクターの死は心に穴が空く』

これは脚本家や漫画原作者など『物語やキャラクターを生み出す仕事』をしている人であれば心当たりがあることかもしれません。

よく漫画やアニメ・映画・ゲーム作品などの架空の物語のなかでその登場人物たちの『死』が描かれることがあります。

もちろん見ていて感動的だったりして思わずそのキャラクターの死に涙を流したことがある人も多いでしょう。

ただ今回のお話はそうした受動的な涙ではなく『生み出す側』の涙の

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