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汐見夏衛「明日の世界が君に優しくありますように」を読んで
あらすじ ヒロインの私(白瀬真波)は中学時代、家族とのすれ違いや友人の陰口を聞いたことから、長い間不登校だった。これを見かねた父は彼女に、T市の高校へ通うことをすすめる。家族に何も打ち明けず、主体性を失っていた真波は言われるがままこれを受け入れる。
高校へ通うため、とある田舎町、鳥浦にある母方の祖父母の家へ引越してきた真波。ほとんど覚えていない祖父母と、二人の世話になり同居している美山漣に対し
ポストモダンの人間関係及び「エヴァンゲリオン」以前のオタク文化
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ポストモダンの記号論的世界観において、人間および創作のキャラクターは「記号」の組み合わせとして現れる。「萌え」る「記号」の集積たる「データベース」(東浩紀)から「記号」が取捨選択され、人格を形成しているのだ。「アウラの喪失」(ベンヤミン)の結果、彼らのうちに「物語」を表象するものは残されていない。よってコミュニ
「日本民族の情緒性」への同族嫌悪
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私は貴族の優雅さと、武士の勇敢さの極稀な連結の結晶である日本文化を誇りに思う。だが一方で、遂に日本民族は過剰なまでの情緒性を補いうる論理性を身につけるに至らなかった。私は平安文学の胸焼けのするようなまでの優雅に憧れてやまないが、同時にその優雅に、同族嫌悪のような複雑な感情を抱かざるを得ない。私が守りたいのは日本
道徳的人間としての私と政治
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思えば私は、幼少より道徳的人間であることによって多数派の人間から自我を保ってきた節がある。その関係性は受験によって一度崩壊し、断念された。私は政治を巡る議論によってこれをもう一度回復しようと試みてきたのかも知れない。これはある意味他罰的な行動とも考えられよう。私はニーチェに共感しながらもその超個人主義とも言える