あべおんじ

正しいかたちで与えて、はじめて与えられるのだね

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記事一覧

エイト

怒りが生まれたとき 吐き出せば莫迦の相手は殺されて 飲みこめば莫迦の自分が殺される どうしたら怒りは生まれなくて済む? りんごを食べていた りんごを食べていた …

あべおんじ
1か月前

ushio

遠くで船の汽笛がなった。田舎で人がいないからか、はたまた平日の昼間だからか、閑かな港には人がすくない。海は午後三時の太陽を浴びて、嬉しそうにきらきらと光っている…

あべおんじ
3か月前
4

足りすぎたうえで欠けすぎる

バレリーナがお床のうえをくるくるくるくる回るとき 裏側で 空はもっともっと白いのか 手の甲に血管は青いのか キーンという音が確かなら、それは飛行機の音か、はたまた…

あべおんじ
4か月前
3

みちのり はやさ じかん

 寮の喫煙所でタバコを吸いながら、スマホを片手に秋学期の履修登録をしている時、僕が上京してから一年半が経ったことに気づいた。今年の夏はあんまり暑かったので、夏も…

あべおんじ
6か月前
10

11月9日

実家からの仕送りは毎月米とシーチキンです。僕は料理が面倒くさいのでそれしか食べていません。自炊とは言い難いが、まあギリ自炊。それ以外のものも当然。食ってるわけや…

あべおんじ
7か月前
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第七回 みはじ

蝿や蜚蠊の類いは余りにも速く動く それこそ彼らが永い地球の生物史に燦然と輝く所以であり、また彼らを、新参者の我々人間にとっての嫌悪の対象たらしめるところである。…

あべおんじ
10か月前

第六回 屁理屈

いい年こいて、という言葉が通じるんだば 爺さんや 婆さんは オナラとの置換性があると そうおっしゃるのですか? 屁理屈をこねるな 馬鹿たれが と時々おもっていた…

あべおんじ
10か月前

第五回 I was bored

ある晴れた空に向かい 北風浴びて祝福たまうなり 齢は弱ひ 熟れひは憂ひとほざけども 別段と屑でもあるまいし 別段とめぐまれもしないけれど だからって無為というの…

第三回 ブタメン

ごきげんよう。あべおんじです。 背の順は基本的に前から3番目です。 僕の誕生日は4月12日です。平成15年4月12日。つまり、あとちょうど1ヶ月で20歳です。 まだまだ大人に…

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第二回 ハローキティをあなたへ

またお会いしましたね。あべおんじです。    僕には「足利のおばあちゃん」がいます。もちろん苗字が足利氏で、僕が室町幕府将軍家の末裔なんてわけではありません。僕…

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エッセイ第一回 トマト

みなさんどうも。あべおんじです。 バイトもせず、恋愛もせず、徒然なるままに日暮らし、スマホに向かひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、…

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エイト

エイト

怒りが生まれたとき

吐き出せば莫迦の相手は殺されて

飲みこめば莫迦の自分が殺される

どうしたら怒りは生まれなくて済む?

りんごを食べていた

りんごを食べていた

質量もないままに りんごを食べていた

口が酸っぱくなって朝を知り

小腹がぐうとなって夜を知り

いつも付きまとう いつも付きまとう

身体からパノプティコンまで わずか20mm

りんごを食べていた

りんごを食べていた

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ushio

ushio

遠くで船の汽笛がなった。田舎で人がいないからか、はたまた平日の昼間だからか、閑かな港には人がすくない。海は午後三時の太陽を浴びて、嬉しそうにきらきらと光っている。春の気温と潮のにおいとが混ざりあった、心地のいい陽気。一年に数日だけ僕たちの前に訪れる、「一年じゅうこのくらいの天気だったらな」という時空間がそこにはあった。初めて来た街だから、舞い上がってそう思うだけなのかもしれない。

「アカイさん、

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足りすぎたうえで欠けすぎる

足りすぎたうえで欠けすぎる

バレリーナがお床のうえをくるくるくるくる回るとき

裏側で

空はもっともっと白いのか
手の甲に血管は青いのか
キーンという音が確かなら、それは飛行機の音か、はたまた野良猫避けのモーデムか
週一の恋人に果たす義務は権利を上回りゃあしないか

ずっと裏側が
裏側が気になるの。

だってコインの表が僕に見えたら
そりゃあ裏側だって存在するのでんし
ことばは指して指されて、片っぽなんてことは
許され得な

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みちのり はやさ じかん

みちのり はやさ じかん

 寮の喫煙所でタバコを吸いながら、スマホを片手に秋学期の履修登録をしている時、僕が上京してから一年半が経ったことに気づいた。今年の夏はあんまり暑かったので、夏も終わるいまになって蚊がわいているらしい。入道雲は見当たらなくなって、風も心地よくなってきたのに、吐き出す煙の下では蚊がぷうんと飛び回ってわずらわしい。激しい暑さが嘘だったかのように、この数日で急に涼しくなった。夏休みは大学に入ってから一か月

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11月9日

実家からの仕送りは毎月米とシーチキンです。僕は料理が面倒くさいのでそれしか食べていません。自炊とは言い難いが、まあギリ自炊。それ以外のものも当然。食ってるわけやけどね。シーチキンの食い過ぎで死んだ、そんな話を聞いたことがない、それだけを頼りに今日も全幅の信頼をシーチキンに寄せつつシーチキンを食べます。

ところで何かが「ない」ことを証明するのは、「ある」ことを証明するよか断然難しいということらしい

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第七回 みはじ

第七回 みはじ

蝿や蜚蠊の類いは余りにも速く動く

それこそ彼らが永い地球の生物史に燦然と輝く所以であり、また彼らを、新参者の我々人間にとっての嫌悪の対象たらしめるところである。

ある晴れた縁側に、「やい婆さん、ゴキブリは足が速いねえ」「そうですねえ爺さん」なんて茶を啜ってみたり。

誰も彼らの速さを疑ってもみない。

でも、彼らはそんな速くないじゃないか、ということに最近気づいてしまったのだ。

彼らの「速さ

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第六回 屁理屈

いい年こいて、という言葉が通じるんだば

爺さんや 婆さんは

オナラとの置換性があると

そうおっしゃるのですか?

屁理屈をこねるな

馬鹿たれが

と時々おもっていたんですけれど

よくよく調べてみたら

「こく」という動詞は

「する」に近い感覚で

色々な動詞の代動詞になるんだそうです

ただ羅列、羅列とやっていくと

嘲笑や侮蔑のイメージも含むみたい

嘘をこく

調子をこく

びっく

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第五回 I was bored

ある晴れた空に向かい

北風浴びて祝福たまうなり

齢は弱ひ 熟れひは憂ひとほざけども

別段と屑でもあるまいし

別段とめぐまれもしないけれど

だからって無為というのは

救いのように見えても

人に生まれてしまえば

それは狂気じゃあるまいか

それで

ただ 猫が猫であるように

歩くときも 眠るときも

触れ合う地面からの返事だけが

僕のすべてであればいいのにと

第三回 ブタメン

第三回 ブタメン

ごきげんよう。あべおんじです。
背の順は基本的に前から3番目です。

僕の誕生日は4月12日です。平成15年4月12日。つまり、あとちょうど1ヶ月で20歳です。
まだまだ大人になりたくないのに、もう大人になっちゃうのか〜、という気持ちでいっぱいです。

本日3月11日は、僕の成人の前月祭というだけではありません。今日で東日本大震災から12年が経ちました。僕はその日、体育着の入った巾着袋で縄跳びをし

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第二回 ハローキティをあなたへ

第二回 ハローキティをあなたへ

またお会いしましたね。あべおんじです。   

僕には「足利のおばあちゃん」がいます。もちろん苗字が足利氏で、僕が室町幕府将軍家の末裔なんてわけではありません。僕の地元の街の名前が佐野で、母方の祖母が住む隣町の名が足利というので、彼女のことは「足利のおばあちゃん」と呼ぶのです。
都会とも田舎とも呼べない、だだっぴろい関東平野の隅っこの話です。

僕は幼少期を足利で過ごし、小学校にあがるタイミングで

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エッセイ第一回 トマト

エッセイ第一回 トマト

みなさんどうも。あべおんじです。

バイトもせず、恋愛もせず、徒然なるままに日暮らし、スマホに向かひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

ということで、エッセイを書いてみようと思います。ずぼらなので、投稿頻度はチョベリバになるかと思われます。

僕は大学に入学してから3ヶ月くらいの間、哲学サークルに顔を出していました。そこで書かせていただい

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