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子供を産むということは
最近、子どもの夢をよく見る。
夢の中で、大切に抱えた我が子をうっかり地面に落としてしまったことを、時折思い出しては胸が苦しくなる。
なぜ、子どもの夢ばかり見るのだろう。その答えにはなっていないけれど、「子どもを産むって、どういうことだろう」というテーマで過去にあげた文章を、リメイクして載せ直すことにした。
子どもを産むってどういうことだろう。
「将来、子どもが欲しいですか?」という質問に、今ま
捨てられない日記、戻れない日々
2018年、高校3年生の日記を読んだ。
字も、書いていることも幼いけれど、その当時の率直な想いは日記を読むことでしか思い出すことはできない。
人には見せられない黒歴史が詰まっていても、捨てられないのはそのためだ。
いまでは関係が途絶えた人が、たくさん日記のなかにいた。
そのときは、感情をコントロールできないくらいに大好きで、大切にしたいと思っていたことが分かった。
自分の手で壊してしまったもの
10月下旬〜11月上旬の日記
10/20
貨物列車と並走
視界の端で無限に点滅している踏切
10/21
波の音を聴く。自分が海のある街で育ったことを、身体に思い出させる
10/24
深夜2時に白菜を煮る
10/25
夜眠る前の、また明日
10/27
君が黄色信号か赤信号か分からない時、ずっと隣で教えてあげたかったと、思う時もある。
11/6
さつまいもを洗ったら土の匂いがして懐かしかった
11/9
ペットショップ
9月〜10月上旬の日記
9/4
愛した人も愛している人もたくさんいる自分を受け入れていたい。
ふと、「綺麗だね」と言ってくれたこと、多分ずっと覚えている。
9/5
朝からアイスを2個も食べるの、休みの幸せ
9/14
朝に見た夢を夜になってもふと思い出すような、ゆらっとした1日。
世界中の人間が一斉に視力を失ったらどうなるんだろう、と最近考える。
9/20
新幹線の音に驚いて、空き地にいる小鳥たちが一斉に飛び立った
最愛は海色 第13章
海に注ぐ夕日は私とあなたの輪郭をあいまいにした。
秘密の場所なんてない。だれかの思い出が入り混じる海辺で、今だけはふたりきりだった。
すっかり水温は下がりきっているというのに、優多さんは海水に足を浸し夕日に顔を向けたまま、私に別れの言葉を言った。
覚悟をもった重みのある言葉は、夕日の届かない海底へと沈んでいくようだった。
「四月になったら上京する」
なにを言っても優多さんが揺らがないことは分かっ
最愛は海色 第12章
こんなに近くにいるのに孤独になることもあるのだと、優多さんと出会ってからはじめて知った。
十六年生きていても、はじめて知ることがたくさんあるから驚く。
優多さんが教えてくれたことが、抱えきれないほど胸の内にある。
「窓見て!」
珍しくアラームよりも先に起き、しゃんと目が覚めた。
窓から差しこむ光を眺めていると、携帯が鳴った。画面を見ると、久々に優多さんから連絡がきていた。
「雪だ」
「初雪だね」
最愛は海色 第10章
「学校、行きたくない」
八戸大橋で歌っていたときに遠くに見えた黒い雲は、夜になると分厚く空を覆った。
重たげな雨音を聴きながら、久しぶりに優多さんと電話をつなぐ。歌をからかわれたことを思い出しては、憂鬱になっていた。
「そんなに行きたくないならさ、学校さぼっちゃおうよ」
優多さんは言った。唐突な提案に、私は戸惑った。
「軽々しく言わないでよ」
「ごめん。でも、たまにはいいんじゃない? 毎日を駆け