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宮澤賢治のまちに住んでいます。多趣味だけど不器用貧乏。

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玩具みたいな人生

目が覚めて、換気扇が回るのを眺める。また一日が始まることにうんざりする。 人生もゲームみたいに、セーブしてシャットダウンできたらいいのに。起きているかぎり頭が動き続けることに耐えられない。天才がごろごろいる世の中で、この足りない頭で生きていかないといけない。 それでも心は動く。何度生まれ変わっても私が私の魂であるかぎり到達できないような作品が世の中には溢れていて、それを読み私の持つ全てを使って感動して、この作品にここまで没入できるのは私だけだと思う。 世界のどこかで、どんな

    • 私はあなたの溜飲じゃない

      生きるということは、すぐには答えを出せないことの連続で。 関係が近ければ近いほど、他人事として分けきれずに苦しむ。 私に相談する形で、自分の肩の荷を降ろそうとする人がいる。 自分は都合があって動けないけれど、なんとか気にかけてほしい、と。 具体的に書けなくて漠然としてしまっているが、私はこれに何日も憤っている。 あなたの溜飲を下げるために、私を使わないでほしい。 私はあなたの溜飲じゃない。 どこまでやって動いたと言えるのか、その底のなさは自分事として考えて動く人ほど知って

      • 甘くないスイカ

        8月下旬、及川がスイカをひと玉貰ってきた。一個丸々のスイカは、部屋に夏を呼ぶ。貰うとやっぱり、嬉しい。 でも2人だとちょっと多くて、ちょうど8月最後の日に友人たちと海に一泊する予定があったから、その日に食べることにした。 スイカを車に積んで、出発。 宿先の部屋でスイカを割って食べようとしていたはずが、(手拭いに包んでしっかり包丁も持参した)夕飯とお酒でお腹はたぷたぷになって、私たちはただ、スイカに日本海の風を感じさせただけになった。 家に帰ってひと段落してから、旅の、夏の締

        • ちょうどよく知れない2

          知れば知るほど、割を食う。 今ある持ち物で、のほほんと幸せに生きていればそれでいいのに、その幸せをわざわざ分解してじっくり考えるのは、エネルギーのいる作業だ。 でも、私にとっての他人が誰かの大切な人であるかぎり、自分が満たされていても、自分の幸せと関係がなくても、知らないといけないときもある。 自分が当事者になったタイミングで知るのでも、いいのだと思う。でもいざ当事者になったとき、周りに味方や自分の声を拾ってくれる人がいた方が、きっと心強い。 だから自分に関係がなくても、な

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          13本

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          ちょうどよく知れない

          「ちょうどよく」知るにはどうしたらいいんだろう。 知れば知るほど不幸になる。 知れば知るほど、今までなんの疑いもなく幸せだと思っていた生活にメスを入れることになる。 枠にはまることが幸せである人もいることを、今更ながら知る。というか、これがマジョリティなんだろう。 大雑把に言えば、政治とかジェンダーとか。 結婚して自分の名字を選択できなくても幸せな人。女性として見られて男性を癒やす役割に落ち着くことが幸せな人。税金をたくさん払っても今の生活が支障なく送れていれば幸せな人。外

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          爆音ヒグラシ

          7月に入ってすぐのこと。窓を開け、扇風機を回し汗だくになりながら夫と夕ご飯を食べている時、あの夏を象徴する雅な鳴き声を、今年はじめて聴いた。ヒグラシだ。 迷いのなく、まっすぐでいてどこかもの悲しい旋律は、日本人である我々の心に響く。今年初めてのヒグラシの声を、好きな人と一緒に聴けたこと、こうして季節の巡る喜びを共有できたことが嬉しくて、たまらない気持ちになった。 この時は知らなかった。私達が爆音ヒグラシに悩まされる羽目になるとは。 ヒグラシは、夕暮れを知らせる蝉だと思って

          爆音ヒグラシ

          悪意の量

          根っから心の優しい人に憧れる。 生まれるときに神様から手渡される悪意の量は、人それぞれだ。 私の体内は人よりも多い悪意が充満している、と思う。 良い人になりたい。でも、我慢できないことは我慢できない。思考からくる怒りもあれば、生理的に生まれる怒りもある。私は後者が圧倒的に多い。怒りは疲れる。私もできることなら怒りたくない。 人には悪意の量を嗅ぎ分ける力が備わっていると思う。優しい人に、心底、かなわない。 どんな最低な人とも同じ土地の上で共生しないといけない事実が、たびたび

          悪意の量

          無様日記

          仕事を辞めて、好きな時間に毎日起きて、好きな本を読み好きな人に会い自由に過ごしているはずなのに、なぜだか幸福じゃない。 没頭できるものから目を離した途端、意味もなく悲しくなって、涙が止まらなくなる。 日を追うことに自分が憔悴している自覚もあるけれど、お腹は空くし眠たくもなり、自分が動物としての生命力を失っていないことに嫌気が差してくる。何もせず、食物と資源ばかりを消費して、排泄を繰り返すだけの生き物。 社会に何の役にも立っていないのに、問題提起ばかりして、私の声は暗闇に溶け込

          無様日記

          のこのこ生きて #tanka

          日の光浴びた弁当頬張れば今年はじめて聞いた鶯 飛躍しない、わたしの言葉は飛躍しない 紙飛行機はたいして飛ばない 押し花は匂いがしない 本棚のいちばん右の分厚い辞典 文章が川のようだと褒められて名前に流れる水にかざす手 アルコールも煙草も頼りたくはない 季節の果実ひとりで食べる 海のない街で生きると決めたのにわたしはたやすく寂しいと言う オーロラをはじめて見た日の寄る辺なさ 明日はきっと額縁を買う 引きこもり私の生きた証明に やることリスト塗りつぶし黒 毎日を誤

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          私の軌跡は私だけのもの

          だいぶ昔の出来事がずっと引っかかっていて、自分のために書き記しておきます。 「病んでいる人って魅力的だよね」 「昔の辛かったことを思い出して」 「メンヘラって撮ってて楽しいんだよね」 被写体として撮影されていたとき、ある人がそう言いました。 言いたいことはすごくよく分かるのですが、どうしても腑に落ちませんでした。 私は健全な今を生きる私を愛している。 病んでいた過去も同じように受け入れている。 でもそれは、私だけのもの。だれかに消費されるために生きているわけではない。

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          ZINEを作りました

          旅の記録を1冊のZINEにしました。 題して「かえる場所めぐる場所」。好きな場所には何度だって足を運びたいし、見たことない世界を見にどこまでも飛んでいきたい。旅に対する底のない想いが、このタイトルには込められています。 今回は1冊1冊自分の手で紐を括りました。表紙の写真も1枚1枚違い(内容は同じです)、手づくりならではの良さがあるかと思います。 なぜ旅をしたいのか。なぜ残したいのか。なぜ景色に惹かれるのか。生きているうえでの様々な疑問に、この冊子をつくるうえで向き合えた

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          退職日記

          今日、24歳になりました。今日は、退職日でもあります。 自分への贈り物が退職という、なかなかない経験をしました。 今は、執筆をメインに開業するために、準備を進めているところです。 開業、といっても書く仕事をたくさん持っているわけじゃないし、この年齢では早すぎるんじゃないか、ちゃんと生活できるのか、と不安は絶えません。 けれどまわりの人達が、たくさんの言葉をくれました。言葉が背中を押してくれました。本当にありがたいことです。 いつ死んでもいい、ずっとそう思ってきたけれど、先輩

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          子供を産むということは

          最近、子どもの夢をよく見る。 夢の中で、大切に抱えた我が子をうっかり地面に落としてしまったことを、時折思い出しては胸が苦しくなる。 なぜ、子どもの夢ばかり見るのだろう。その答えにはなっていないけれど、「子どもを産むって、どういうことだろう」というテーマで過去にあげた文章を、リメイクして載せ直すことにした。 子どもを産むってどういうことだろう。 「将来、子どもが欲しいですか?」という質問に、今まで私は「赤ちゃんは可愛いから欲しいなあ」くらいしか考えていなかった。 けれど考え

          子供を産むということは

          休職日記

          23歳、社会人1年たらずで休職中。 将来への焦りと、仕事が続けられなかった情けなさで押しつぶされそうな毎日。今できることは書くことで整理することだから、少しずつ現状を言葉にして残していこうと思う。 今の心身の状態について。 もともとは、超がつく生き急ぎタイプだった。やりたいことはどんなに忙しくてもやっていたし、予定も詰め込まないと落ち着かない。休日をだらだらして過ごしたい、という人の気持ちを理解できない。 でも今は、やる気が湧かない。集中力がなくて、すぐに横になりたく

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          捨てられない日記、戻れない日々

          2018年、高校3年生の日記を読んだ。 字も、書いていることも幼いけれど、その当時の率直な想いは日記を読むことでしか思い出すことはできない。 人には見せられない黒歴史が詰まっていても、捨てられないのはそのためだ。 いまでは関係が途絶えた人が、たくさん日記のなかにいた。 そのときは、感情をコントロールできないくらいに大好きで、大切にしたいと思っていたことが分かった。 自分の手で壊してしまったもの、もう戻れない時間がそこにはあった。 いまもいまで愛しいけれど、少しだけ戻りたく

          捨てられない日記、戻れない日々

          言葉はお守り

          忘れられない言葉を、2回も私にくれた人がいる。 1度めは、かつて親友だった人と心の距離ができてしまったことに、いつまでもぐだぐだしている私に対して。 「おむはドMじゃないだろ?○○の隣にいて幸せそうなおむをもう想像できない」 2度めは、メンタルを拗らせ負のオーラを放ちまくっている私に対して。 「今年はどんどん文章依頼するから。おむは文章を書かせていないとだめになるから」 その人はとっても顔が広いのに、ひとりひとりとの縁を大切にしている。仕事にイベントにせわしなく動き回って

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