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お念仏と読書

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これまで読んで感銘を受けた本を紹介して、それを通して味わった仏様のお話をしていこうと思います。
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#浄土真宗

お念仏と読書22光と影

お念仏と読書22光と影

水道橋博士さんのユーチューブで、みうらじゅんさんの浪人時代の話に出あい、「光と影」について考えるご縁をいただきました。

みうらじゅんさんは美大への受験を二度失敗していて、二浪目には東京に出てきて彼女ができ、もう大学には行かず結婚しようと親に言うと「ばかやろー」と怒鳴られました。
そんな時、西荻窪の汚いアパートで、昼過ぎか夕方にカーテンを閉めていたら、そこから光が直線になり入ってきて、四畳半に、3

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お念仏と読書21『ヘレヘレじいさん』

お念仏と読書21『ヘレヘレじいさん』

『ブータンで本当の幸せについて考えてみました。「足るを知る」と経済成長は両立するのだろうか?』本林靖久・遠藤智樹(光文社新書)を読みました。
GNH(国民総幸福量)を提唱するブータンについて書かれてあり、読むと「本当の幸せ」とは何なのかを考えずにはおられなくなる本です。

その中で大変興味深い民話、昔話に出あいました。その主人公の名を「ヘレヘレじいさん」というのです。
ブータン人の生き方を見ていく

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お念仏と読書⑰平均以上効果と愚者のすくい/『自分では気づかないココロの盲点』池谷裕二著

お念仏と読書⑰平均以上効果と愚者のすくい/『自分では気づかないココロの盲点』池谷裕二著

今回は脳科学で言われる私たちの脳の持つ特性、「平均以上効果」を通して、私たちの抱える苦しみは、「自分をよく見せたい」、「愚かに思われたくない」という心から生じることについて書きたいと思います。
そして、アミダ様のすくいの中で、私達は愚か者と知らされていくということを書かせていただきます。

池谷裕二さんの『自分では気づかないココロの盲点』を取り上げるのは、このブログでは二回目ですが、興味深く、色々

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お念仏と読書⑯プラス思考の向こう『あしたのねこ』/きむらゆういち文・エムナマエ絵

お念仏と読書⑯プラス思考の向こう『あしたのねこ』/きむらゆういち文・エムナマエ絵

今回は私が一番好きな絵本『あしたのねこ』をとおして、私たちの「プラス思考」や「解釈」はこの世を渡っていくのに最強だが、そこにも限界があるということ、そしてその解決について書いてみたいと思います。

いつものように、ネタバレ注意ですが、宜しければお読みくださいませ。

『あらしのよるに』のきむらゆういちさんが文を書かれ、完全に失明をされているエム・ナマエさんが絵を描かれています。
エムさんの淡いタッ

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お念仏と読書⑮慈悲のこころを聞く/『ココロ屋』梨屋アリエ作・菅野由貴子絵

お念仏と読書⑮慈悲のこころを聞く/『ココロ屋』梨屋アリエ作・菅野由貴子絵

今回取り上げるのは、うちの子ども達に人気の本で薦められて読んだ『ココロ屋』です。
可愛い絵と、優しい文章で、大変読みやすい小学生向けの本ですが、とても深く考えさせられる作品でした。
また、浄土真宗は私たちは仏様の「慈悲心」を獲得していく道ではなく、聞かせていただく道ということについて書きたいと思います。

今回、多分にネタバレをしますので、未読の方はご注意くださいませ。

「ココロを入れかえなさい

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お念仏と読書⑭自分の「枠組」を知る/佐藤雅彦著『プチ哲学』

お念仏と読書⑭自分の「枠組」を知る/佐藤雅彦著『プチ哲学』

Eテレ『ピタゴラスイッチ』『考えるカラス』の監修もされている佐藤雅彦さんの『プチ哲学』という本が面白くて、読んで色々と考える機縁をいただきました。

今回はこの本の内容を踏まえて、今回は仏さまのお法りは「自分の枠組み」を知らせてくれることについて味わいます。
また、最後に私が法話の現場でした失敗談を少し書いてみたいと思います。

『プチ哲学』内容紹介この本に紹介されるプチ哲学は「不変」「想像力」「

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お念仏と読書⑬『でんでんむしのかなしみ』殻を背負う私と、私を背負うナモアミダブツ

お念仏と読書⑬『でんでんむしのかなしみ』殻を背負う私と、私を背負うナモアミダブツ

新美南吉さん作『でんでんむしのかなしみ』という絵本があります。

この絵本を通して、私たちの抱える苦しみの根源について味わいました。
また、そこに「そのまま背負う」とはたらくアミダ仏のおすくいを書かせていただきます。

あらすじ一匹のでんでんむしがいました。でんでんむしはある日、自分の悲しみの原因が何によってであるか気づくのです。

「ああ、自分の背中には殻がある。その殻の中には、悲しみがいっぱい

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お念仏と読書#11無限にあう

お念仏と読書#11無限にあう

今回は初めて仏教書からの紹介です。森田真円先生の『ひらがな真宗』を通して、無限につて考えていきたいと思います。

京都女子大学教授で、本願寺派勧学の森田先生は、浄土真宗のおみのりをやさしく、わかりやすく、豊かにお示しくださいます。この本は著作がたくさんある先生の最初の本です。

この本には、「迷い」や「他力」「老苦」といった仏教の言葉について、初めて仏教に触れる方にも楽しく味わえるように、簡潔に浄

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お念仏と読書#12「風呂のすな」とお仏壇

お念仏と読書#12「風呂のすな」とお仏壇

今回は「風呂のすな」という作文を通して、お仏壇に手をわせる意味について書かせていただきます。

作文「風呂のすな」おとうさんが湯からあがってきた
わたしがそのあとにはいった

底板をさわったら
すこしすながあった
真っ黒になって
はたらいたからだ

わたしはだまってはいっていた

『おとうさんはとうめい人間』(光雲社)

これは尊敬する先輩から聞かせていただいて感動し、私が法話をする時にも紹介して

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