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お念仏と読書

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これまで読んで感銘を受けた本を紹介して、それを通して味わった仏様のお話をしていこうと思います。
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#読書

お念仏と読書22光と影

お念仏と読書22光と影

水道橋博士さんのユーチューブで、みうらじゅんさんの浪人時代の話に出あい、「光と影」について考えるご縁をいただきました。

みうらじゅんさんは美大への受験を二度失敗していて、二浪目には東京に出てきて彼女ができ、もう大学には行かず結婚しようと親に言うと「ばかやろー」と怒鳴られました。
そんな時、西荻窪の汚いアパートで、昼過ぎか夕方にカーテンを閉めていたら、そこから光が直線になり入ってきて、四畳半に、3

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お念仏と読書⑮慈悲のこころを聞く/『ココロ屋』梨屋アリエ作・菅野由貴子絵

お念仏と読書⑮慈悲のこころを聞く/『ココロ屋』梨屋アリエ作・菅野由貴子絵

今回取り上げるのは、うちの子ども達に人気の本で薦められて読んだ『ココロ屋』です。
可愛い絵と、優しい文章で、大変読みやすい小学生向けの本ですが、とても深く考えさせられる作品でした。
また、浄土真宗は私たちは仏様の「慈悲心」を獲得していく道ではなく、聞かせていただく道ということについて書きたいと思います。

今回、多分にネタバレをしますので、未読の方はご注意くださいませ。

「ココロを入れかえなさい

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お念仏と読書⑭自分の「枠組」を知る/佐藤雅彦著『プチ哲学』

お念仏と読書⑭自分の「枠組」を知る/佐藤雅彦著『プチ哲学』

Eテレ『ピタゴラスイッチ』『考えるカラス』の監修もされている佐藤雅彦さんの『プチ哲学』という本が面白くて、読んで色々と考える機縁をいただきました。

今回はこの本の内容を踏まえて、今回は仏さまのお法りは「自分の枠組み」を知らせてくれることについて味わいます。
また、最後に私が法話の現場でした失敗談を少し書いてみたいと思います。

『プチ哲学』内容紹介この本に紹介されるプチ哲学は「不変」「想像力」「

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お念仏と読書⑬『でんでんむしのかなしみ』殻を背負う私と、私を背負うナモアミダブツ

お念仏と読書⑬『でんでんむしのかなしみ』殻を背負う私と、私を背負うナモアミダブツ

新美南吉さん作『でんでんむしのかなしみ』という絵本があります。

この絵本を通して、私たちの抱える苦しみの根源について味わいました。
また、そこに「そのまま背負う」とはたらくアミダ仏のおすくいを書かせていただきます。

あらすじ一匹のでんでんむしがいました。でんでんむしはある日、自分の悲しみの原因が何によってであるか気づくのです。

「ああ、自分の背中には殻がある。その殻の中には、悲しみがいっぱい

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お念仏と読書#3 いのちの見方

お念仏と読書#3 いのちの見方

3回目となる今回は、福岡伸一さんの『最後の講義 完全版 どうして生命にそんなに価値があるのか』を読んで、内容を少し紹介します。そして仏教の「いのちの見方」について味わってみたいと思います。

「あなたは人生最後の日に何を語りますか」?
NHK BSで放送され、大反響をよんだ「最後の講義」が、本になってよみがえりました。

まず、「人生最後の講義であったとしたら?」何を語るのかというのが、とても興

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お念仏と読書#2「ギブ アンド ギブ」

お念仏と読書#2「ギブ アンド ギブ」

浄土真宗では、仏さまや、仏教についてのお話のことを法話と言い、それを聞くことを「聴聞」と言います。この聴聞をとても大切にしています。
なので、ご法事やお通夜でお経のお勤めの後に必ずと言っていいほど法話があるのです。お経に説かれている内容を、一緒に聞かせていただく時間と場所を大事にして、今まで仏さまのおこころは伝わってきました。

今回は、仏さまのおこころについて、シェル・シルヴァンスタイン作、村上

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お念仏と読書#4 不思議な踊りをおどるハト~迷信が生まれる訳~

お念仏と読書#4 不思議な踊りをおどるハト~迷信が生まれる訳~

今回は脳科学者の池谷裕二さんの『自分では気づかない、ココロの盲点 本当の自分を知る練習問題80』を取り上げます。
脳科学の研究から、私たち誰しもが抱える「認知バイアス」という脳の癖をわかりやすく解説されます。

脳が私をそうさせる。「認知バイアス」の不思議な世界を体感。たとえば買い物で、得だと思って選んだものが、よく考えればそうでなかったことはありませんか。こうした判断ミスをもたらす思考のクセはた

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お念仏と読書#5「苦しみを語る」

お念仏と読書#5「苦しみを語る」

今回で5回目となります。この「お念仏と読書」では、お念仏のお法(みのり)を、読んだ本を通してお伝えできたらと書いています。
浄土真宗の教えが、このブログで伝えたいことの根底にあります。
魅力あふれる本を読んで感銘を受け、その中で私自身が仏様のこころを感じたり、考えたりしたことを書き綴っています。どうぞお聴聞くださいませ。

今回は私たちの抱える苦しみについて、どう解決し、どのように受け止めていけば

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お念仏と読書#6「名前のすくい」

お念仏と読書#6「名前のすくい」

本屋さんで見つけて即買ってしまった絵本があります。竹下文子さん文 町田尚子さん絵『なまえのないねこ』です。
今回はこの絵本を読んで、浄土真宗における「名前のすくい」ということについて味わっていきたいと思います。宜しければお聴聞ください。

まずこの猫の瞳に引き込まれました。私はそもそも猫アレルギーだし、猫がそんなに好きというわけでもないのですが、猫好きな人にとってこの本は堪らないと思います。

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お念仏と読書#8「認めてもらいたい!!」

お念仏と読書#8「認めてもらいたい!!」

今回は、太田肇さんの著書『「承認欲求」の呪縛』を読んで、現代社会に生きる私達の抱える最も大きな苦悩とも言える「承認欲求」について、感じたこと書かせていただきます。

SNSで「いいね!」をもらうことに全身全霊を傾けてしまう人がいる。職場で表彰されるために「もっとがんばらねば」と力んでしまい、心身を蝕む人がいる。エリートであるがゆえにプレッシャーを感じて、身を滅ぼした人もいる……すべての原因は「承認

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お念仏と読書#9「承認欲求」をこえる

お念仏と読書#9「承認欲求」をこえる

前回の記事「認めてもらいたい!!」では、太田肇さんの著書『承認欲求の呪縛』を読んで感じたことを書きました。
書いていて一番思ったのが、自分自身がまさに「承認欲求の呪縛」の中にいるのだなということです。
前回のブログに著者の太田肇さんからイイネ!がついていて、また承認欲求を刺激されてしまう自分がいました(笑)

私達は誰しも褒められたら嬉しいし、貶されたら悲しいものです。
多かれ少なかれ「承認欲求」

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お念仏と読書#12「風呂のすな」とお仏壇

お念仏と読書#12「風呂のすな」とお仏壇

今回は「風呂のすな」という作文を通して、お仏壇に手をわせる意味について書かせていただきます。

作文「風呂のすな」おとうさんが湯からあがってきた
わたしがそのあとにはいった

底板をさわったら
すこしすながあった
真っ黒になって
はたらいたからだ

わたしはだまってはいっていた

『おとうさんはとうめい人間』(光雲社)

これは尊敬する先輩から聞かせていただいて感動し、私が法話をする時にも紹介して

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